子供のころ、祖父が60歳代で老衰で亡くなったと聞いたとき、軽いショックを受けた記憶がある。いつ、誰からその話を聞いたか、子供なのになぜショックだったか今となってはよくわからない。しかし、思い当たることがないわけではない。
89歳の長寿を全うした祖母の写真を後年じっくり見たことがあるが、祖母は中年のころから老け顔だった。祖母ばかりでなく、私が子供のころの近所のばあちゃんたちは、皆、元気一杯だったが老けて見えた。老けて見えたことはともかく、祖母がこんなに元気なのに、私の生まれるずっと前に、祖父が老衰で死んだというのが幼心に信じられなかったのだろう。
最近聞いた話では、ヒトの年齢の限界は、最新の分析結果で115歳くらいだという。ものすごく長寿に思えるが、20世紀のヒトの最高齢には及ばないらしい。
ところで、東大の小林教授によれば、ヒトの寿命となるとそれよりずっと短く、およそ55歳というのが遺伝的に定められた上限だという。私はとっくに過ぎたから気にならないが、若い方々にはちょっとショッキングな話ではないだろうか。教授の説では、年齢を重ねるにつれて、細胞分裂時の複製エラーが増え、一方、免疫系は衰えるので、がんの発生を抑えられなくなる。ヒトが55年以上生きられるのは、公衆衛生、栄養状態、医学の発展などのおかげだとのこと。
つまり、祖父の60歳代で老衰という話は作り話とか錯覚とかではなかったのだ。今の時代でも、遊び呆けていたら、浦島氏のようにたちまち老いさらばえることがあるということか。せっかくの余生を大事にしよう。(2019.12.6)
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