黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

本と巣ごもり

2022年02月19日 18時09分58秒 | ファンタジー
 飲み代ならあっさり一晩で使ってしまうところだが、ネット通販で本を買うとなると、選定するのにずいぶん手間がかかる。届いた包みをほどいて手にした本が、思っていたものと違ったときのショックを想像すると、慎重にならざるを得ない。本屋に行き、どっぷりその空間に浸って選びたいのはやまやまだが、札幌の地は地球の裏側より遠いし、この町の大型書店と来たら、なんと言ったらいいか、本屋だか雑貨屋だか食事処だか見分けがつかない評判倒れの代物なのだ。
 その本州資本の書店が鳴り物入りで進出したとき(確かに建物は見栄えする)、私は物珍しさに突き動かされて、地元の出版社としてお近づきの挨拶に行った。ところが、書棚はガラガラなのに、地元の本一冊置く素振りをみせない。札幌の本屋はそうではなかった。優しかった。たった15冊しか売れなかったが、儲けさせていただいたと、担当の方から丁寧に礼を言われた。追い払われたのかもしれないけれど、気分はすこぶる良かった。
 こんなことをくどくど書くつもりではなかった。今回購入したのは次のとおり。
「アイヌの世界」瀬川拓郎著(講談社選書メチエ)
「人新世の「資本論」」斎藤幸平著(集英社新書)
「猫に学ぶーいかに良く生きるか」ジョン・グレイ著、鈴木晶訳(みすず書房) 
「故旧忘れ得べき」高見順著(小学館P+D BOOKS)
 瀬川先生の本は、半年間の講義に対し感謝の念を込めて購入した。
 人新世という用語にはあまり賛同できないが、社会にはびこる経済至上主義という不純な考えとその暴力性について、改めて勉強してみたい。
 猫には毎日学んでいるものの、ネコに取りつかれた異文化人の言い分も聞いてみたい。
 高見順といえば、戦後に発表された「いやな感じ」くらいしか憶えていないが、「故旧」という彼の最初期(1936年)の作品があり、これが面白いらしいことを、つい最近の毎日新聞の書評欄で知った。荒川洋治氏の書評は秀逸な文学作品のように感動的だったので購入した。(2022.2.19)
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