自治会の見守り隊に参加して2年が過ぎた。週1回だけ早朝か夕方、近所の小中学校の通学路に立っているだけなのだが、なんだかんだと用事が入って、皆勤にはほど遠い。
はなも実は見守り隊のメンバー。ただし、見守りの対象は子どもたちでなく、父しゃん。この数年、夜が更けて父しゃんがふらふらと階段を上がろうとすると、滑り落ちないか心配そうに同伴してくれる。それから、コテコテ言いながら布団に入った父しゃんの枕元に座りこんで、父しゃんの顔をじっと見下ろす。うんともすんとも言わない。ただ父しゃんがおとなしく寝つくまで監視しているだけ。実に律儀な見守り猫。ときには父しゃんの枕に顔を載せているうちに、眠ってしまうこともあるようだ。
外国の老人介護施設に、危篤状態に陥った老人の傍らに必ず寄り添う猫がいたという。はじめのうちは、不幸を呼ぶ猫だと嫌がられていたが、そうではなく、孤独な老人を励まし最期を看取る、けな気な猫だと評価が変わり、名物猫になったそうだ。
はなが、枕元でじっと見つめる眼差しは、気のせいか、母猫の目のように優しく静かだ。年取った猫にとって、人はみな子どもに見える? それとも看取りの練習? いずれにしろ、父さんは、はなに見つめられるとすぐ寝つける。(2019.7.26)
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