黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

近ごろの出来事

2012年01月31日 09時37分44秒 | ファンタジー
「走るトラックの荷台から逃げ出した豚へ」
 事故で横転した家畜運搬車から、家畜が弾みで道路に放り出されたという事故はこれまでも記憶があるが、一週間ほど前に、高速道路を普通に走っている運搬車から300㎏もある豚が逃げた、というニュースを聞いて不思議な気持ちがした。今どき、馬車やリヤカーを改造して作った運搬車ではないだろうし、家畜が勝手に荷台から下りられるとは奇妙としか言いようがない。きっと搬出入用の扉の留め金の閉め方が甘かったというような人為的ミスがあったのだろう。人はときには豚よりも、気が付かないことがあるものなのだ。でも高速道路を走る車から、転落するときの衝撃を覚悟で一目散に逃走するとは何という度胸か、と彼らに賞賛をおくりたい。逃げおおせていたら、これほど痛快なことはなかったのだが。

「昨朝のカラス」
 昨日の朝、カラスと二度もニアミスした。一度目は、通勤のため自家用車に乗って駅に向かう途中、信号で止まろうとしたときだ。右後方から二羽のカラスが舞い降りてきて、先頭の一羽があわてた様子で車のボンネットに羽をこすりつけて飛んでいった。二羽のカラスの姿を目で追ったのだが、前方の信号が青に変わり、私の車は前後の車にはさまれたまま、その場を立ち去るしかなかった。彼らはたちまち見えなくなった。
 およそ三十分後、大きな駅で電車を降り、五分ほど歩いて会社の建物の正面にたどり着き、車道をはさんで真向かいの歩道の端に立ち止まった。一方通行の道なので右を確認して、車道の方へ一歩踏み出したとき、右手の上空がわっと一瞬暗くなった。一羽の大きなカラスが頭の上を音もなく飛び、すぐ左手の洒落た街灯のてっぺんに止まった。見上げると、そのカラスはくちばしをこちらに向けて二度三度振った。その仕草は、なにかを言いたそうにしているように思われてならなかった。
 ハリーポッターの映画に入り込んだみたいな気分だ。ファンタジーなどとつき合っていると、どうも人の目に見えない形象や聞こえない声が知覚できるようになるのかと、思い込むのは自由だが、この歳になると老年性の病気を疑う必要がある。
 そのひとつにレビー小体型認知症といって、リアルな幻覚を見たり、寝言で叫び声を上げるレム睡眠行動障害などの症状を伴う病気がある。「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱくが大脳皮質に出現して発症するとされ、このレビー小体が脳幹に増殖するとパーキンソン病を発症する。本質的には同じ病気とされているようだ。
 しかし、一日考えてみると、以前住んだ浦河でもずいぶんカラスにからかわれた記憶がよみがえった。車の屋根の上に陣取られてしばらく近づけなかったり、野外で食べ物を食していたら周りをカラスやカモメに取り囲まれて家に逃げ帰ったり、ノコギリと金槌を使って日曜大工をしていたら、なにやってんだよとヤジガラスがたくさんやって来たり、なにかとカラスにはつきまとわれた。
 私の場合、建前だらけの社会に縛られて、野生とともに生きたころの感性を忘れかけたころ、彼らはそのことを察知するのか、素早くやって来るような気がする。やはり彼らはいつでもどこでも、私とともに、いや、ヒトとともにあるべき鳥なのだ。(24/1/31了) 

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