六月三〇日の猿払からの帰り道、車のラジオで、「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」というタイトルの米映画のあらすじを聞いた。一九六〇年代初頭、ボブ・ディランが憧れた伝説のフォークシンガー(名前はまったくわからない)の若き日の一週間を描いた作品。コーエン兄弟が脚色、監督し、カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞した作品だという。初耳だった。
主人公のフォークシンガーは何をやっても裏目に出、うまくいかない自分の人生と苦闘しながら、ひたすら夢を追う。そのフレーズを聞いただけで、私の心はその頃の年代に引き戻された。おまけにディランの初期のレコーディングから漏れたという曲を聞き、うれしさのあまり、しばし車の運転さえ忘れた。
その二日後、私はヘルニア手術で入院。その後十日間、傷の痛みが治まらないとぐちぐち嘆いていたためか、多大な衝撃を受けたはずの映画の件をすっかり忘れていた。そして昨日、なんの前触れもなくその記憶がよみがえった。忘れたこと自体問題なのだが、思い出したきっかけがはっきりしないので、そっちの方が少々気持ち悪い。
期待に胸弾ませネット検索してみたら、北海道では七月四日に上映終了し、これから上映する映画館はないとのこと。いつものことだが、傷が良くなるのを待って、本州に飛んでいけばいいのだ。(2014.7.17)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます