写真上:静御前 中:舞台に上がる前 三面鏡の前で精神統一の図
下右:後ジテ 平知盛
今も心のどこかにある父のことば~
「やってできないことはないんだ、やろうとしないだけだ。」
父は幼少の頃はおばあちゃんっ子で、お稽古事好きのおばあちゃんのお蔭で、
お謡いや仕舞を習っていて、友達が山や川を走り回っている頃、男の子のくせにと
いじめられながらも、本人も案外楽しんでいたらしい。
そんな父は、結婚後その世界から離れていたけれど、子供の頃学んだことは
体のどこかに染み付いているものらしい。
六十歳を前に仕事がひと段落し、またお謡いへの思いがムクムクと。。
いい師匠にも巡り会い、長年の夢だった能舞台への気持ちも高まっていくばかり。
けれど普通常識で考えたら、素人が能舞台なんてなかなかできるものじゃない。
なんてったって、お金がかかる!
(父はいつか~を夢見て30代から密かに貯金をしていたらしい
)
それより何よりも、能舞台はどうするの?
師匠も考えもしないことを、父はあっけらかんとしてのけた。
あの国立能楽堂を借りたのだ。
もちろん素人は、当時は(今はどうなんだろう?)能楽堂始まって以来のこと。
始めはやはり、あっけなく断られたそう。
どうやって説得したの?と聞いたら、
「国立と名がついているのに、なぜ一般に開放しないんだ。 だから能の世界は
どんどん庶民の心から離れ、廃れてしまうんだ!」と、熱く語ったらしい。
そしてめでたく父の還暦祝いに「華甲記念」として、師匠がお祝いに能「鶴亀」を、
狂言は山本東次郎氏の「箕被」、そして父が能「船弁慶」を披露。
入場料は無料ということ、素人が舞台を踏むと言う物珍しさもあって、
家族全員の友人知人の輪だけで600名近くの方々がご高覧下さり、
晴れ晴れとした良い一日となった。
能楽堂の方にも、プロの能楽師でも満席にはならないことが多いのにと驚かれた。
能が好き!という熱い思いは、人を動かすんだということを、父は見せてくれた。
「やってできないことはないんだ、やろうとしないだけだ。」
子供の頃は、いつも一番上を目指す父に褒めてもらえなくて苦しい時もあったけれど、
情熱が人を動かすんだという思いは、今の私の原動力なのかもしれない。
下右:後ジテ 平知盛
今も心のどこかにある父のことば~
「やってできないことはないんだ、やろうとしないだけだ。」
父は幼少の頃はおばあちゃんっ子で、お稽古事好きのおばあちゃんのお蔭で、
お謡いや仕舞を習っていて、友達が山や川を走り回っている頃、男の子のくせにと
いじめられながらも、本人も案外楽しんでいたらしい。
そんな父は、結婚後その世界から離れていたけれど、子供の頃学んだことは
体のどこかに染み付いているものらしい。
六十歳を前に仕事がひと段落し、またお謡いへの思いがムクムクと。。
いい師匠にも巡り会い、長年の夢だった能舞台への気持ちも高まっていくばかり。
けれど普通常識で考えたら、素人が能舞台なんてなかなかできるものじゃない。
なんてったって、お金がかかる!
(父はいつか~を夢見て30代から密かに貯金をしていたらしい
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それより何よりも、能舞台はどうするの?
師匠も考えもしないことを、父はあっけらかんとしてのけた。
あの国立能楽堂を借りたのだ。
もちろん素人は、当時は(今はどうなんだろう?)能楽堂始まって以来のこと。
始めはやはり、あっけなく断られたそう。
どうやって説得したの?と聞いたら、
「国立と名がついているのに、なぜ一般に開放しないんだ。 だから能の世界は
どんどん庶民の心から離れ、廃れてしまうんだ!」と、熱く語ったらしい。
そしてめでたく父の還暦祝いに「華甲記念」として、師匠がお祝いに能「鶴亀」を、
狂言は山本東次郎氏の「箕被」、そして父が能「船弁慶」を披露。
入場料は無料ということ、素人が舞台を踏むと言う物珍しさもあって、
家族全員の友人知人の輪だけで600名近くの方々がご高覧下さり、
晴れ晴れとした良い一日となった。
能楽堂の方にも、プロの能楽師でも満席にはならないことが多いのにと驚かれた。
能が好き!という熱い思いは、人を動かすんだということを、父は見せてくれた。
「やってできないことはないんだ、やろうとしないだけだ。」
子供の頃は、いつも一番上を目指す父に褒めてもらえなくて苦しい時もあったけれど、
情熱が人を動かすんだという思いは、今の私の原動力なのかもしれない。
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