昨年12月27日の記事「年末関西旅行 最終日のダイジェスト」の詳細版、そして、きのう書いた「年末関西旅行記(その12)興福寺の巻」のつづきです。
いよいよ年末関西旅行の最終日です。関東に戻る飛行機は、早々に伊丹空港発13:30の便を確保していました(先得です)。かなり早めの時間帯です。
そんなわけで、最終日は、せいぜい阪神百貨店に行って、デパチカ(スナックパーク)と阪神タイガースショップで時間調整するくらいかと考えていました。
ところが、事前勉強として司馬遼太郎さんの「街道をゆく(24) 近江散歩、奈良散歩」を読んでいたところ、見返しにこんな情報を発見しました。
「司馬遼太郎記念館」ですって
なんてったって、近鉄奈良線沿線というのがキモです
近鉄奈良駅から奈良線に乗って八戸ノ里(やえのさと)駅で降りて、「司馬遼太郎記念館」に行って、そのあとは、八戸ノ里駅から大阪難波駅まで乗って、そこからリムジンバスで伊丹空港まで行けば、ほとんどロスがありません
ということで、「司馬遼太郎記念館」訪問で決定です。
でも、まぁ、行ってみましょうか…、とホテルをチェックアウト
私は駅すぱあとのご指示に従って、近鉄奈良駅9:28発の急行に乗って出発したのですが、乗り換え駅の石切駅で気づきました。近鉄奈良駅9:19発の区間準急に乗れば(余裕で乗れました)、乗り換えが1回少なくて済んだのでした。
そして、10:00ちょいと過ぎに八戸ノ里駅に到着。
荷物をコインロッカーに放り込んで、「司馬遼太郎記念館」を目指しました。
それほど遠からず、近からず、歩くのにはほどよい距離です。
10分もかからずに、「司馬遼太郎記念館」に到着しました。
記念館の入口は、司馬さんの元私邸の庭の先にあります。
その途中で、司馬さんの書斎を窓ガラス越しに見ることができます。
なんだか、司馬さんが、トイレからこの部屋に戻ってきて、「あんた、誰?」と聞いてきそうな気がします。
そして、ゆったりとカーブしたプロムナードを通って、記念館(設計は安藤忠雄さん)の受付へと歩きました。
で、「順路」に従って踏み出した先に広がる光景が…。
ことばのあやではなく、ホントに息を呑みました…。
なんですか、この本の壁
司馬さんの脳内の一部を覗かせていただいたような気がしました。
これが司馬さんの「脳の中の引き出し」…。
もちろん、これが司馬さんの作品のネタのすべてであったわけではなく、ご本人が歩いて感じたこと、考えたことが加わって、あの膨大な作品群になっていったんだよな、と思うと、ただただ圧倒されるだけでした。
この本の壁の部屋の外れ、上に載っけた絵はがきでいえば、ずっと奥の左側の天井に、もはや名物になった(名物になっているらしい)ものがあります。
それは、坂本龍馬そっくりの「シミ」。
コンクリート打ちっ放しの天井に見える黒いシミが、何の先入観なく見ても、まっこと坂本龍馬の顔に見えるぜよ、ですよ。
もうひとつ、感動的な展示がありました。
司馬さんが小学校5・6年生用の国語教科書のために書き下ろした「二十一世紀に生きる君たちへ」の全文です。
なんと心に響く文章なんだろうか、と思います。パネル展示できるような短文ですが、そrだけに、この文章に込めた司馬さんの思いが胸に響きます。
二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ) 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:2001-02-12 |
この文章が、これまた素晴らしい本になって、司馬遼太郎記念館で販売されていました。
ここ限定だそうです。
装丁がステキだけじゃなくて、中身もホラ
自筆原稿も載っていて、推敲に推敲を重ねた跡をたどれるのですよ
難しい事を難しく書くのは、その方面の専門家であればなんてことはありません。
ホントに難しいのは、難しいことを誰にでも理解できるように易しく書くことだと私は思っています。
この「難しいこと」に立ち向かう作家の苦闘を目の当たりにできる本です。
東大阪方面に出かける機会がありましたら、この本を買うためだけの目的でも司馬遼太郎記念館に行く価値はあると思いますよ
これまた、大きな満足感を追加して、私は八戸ノ里駅に戻りました。
大阪難波行きの電車が来るまで、ちょいと間が空きましたので、駅の周りをブラブラしていますと、ちょっと衝撃的(わたし的に、です)なものを見つけました。
近鉄が作って、駅に置いてあるもののようですが、私はこれまでまったく気づきませんでした。
近鉄沿線の観光案内パンフレット(無料)です。
もし大和西大寺駅か西ノ京駅でこのパンフレットを見つけていれば、ケータイで小さなGoogleマップを見て歩き回ることもなかったのにネ…。
う~む、まだ年末関西旅行記が終わらない…。
でも、あと1回で完結させる予定ですヨ。
つづき:10/01/09 年末関西旅行記(完結編)首都高の巻