26.06.19 取 り 下 げ NO.456
民事事件でも刑事事件でも、一旦出したものを「取り下げ」ると、その法律行為は最初からなかったことになる。
暴力団にお金を脅し取られて警察に被害届を出すと、警察では暴力団事務所を急襲して団員を逮捕してくれる。
大手の暴力団になると被告人に弁護士を付けて、弁護活動に入りますがその際弁護士は被害を弁済するから訴えを「取り下げ」てほしいと言って来る。
でも、被害届を取り下げると理屈の上では「被害がなかったこと」になって、おおむね暴力団員は釈放される。
お金が返ってくればいいのかもしれませんが、警察としては「債権回収」の片棒をかつがされたような立場になる。
「債権回収目的」で刑事告訴や被害届を出すことを「便宜告訴」と言って警察はそういう行為を嫌います。
また、一旦取り下げると「一事不再理」の法理によって、その後損害賠償が履行されなかっても、再度訴えを起こすことはできません。
少々の被害を蒙っても、犯罪防止の観点からこういう「取り下げ」すべきではありません。