27.05.09 蛙 NO.789
小山田の庵 近く鳴く鹿の音に おどろかされて おどろかすかな(良寛)
山田の庵近くまで鹿が寄ってきて鳴くので、驚いて目を覚ましてしまったから、今度はこっちの方が鹿
を驚かせてやろうかな・・・というユーモア。
また誰でも知っている俳句 「古池や かわず飛び込む 水の音」も、西洋人の感覚からすれば「それ
がどうした なんぼのもんじゃ」ということになるのでしょうが、こういう「わび」「さび」は日本文化の真髄
であり、世界に誇りうる伝統思想ではないでしょうか?
歌は奪い合い・支配し合い・殺し合う人の世を悲しみ、生を美しい彼岸へと誘うもので、命のありがたさ
を目覚めさせるものではないでしょうか。
今の日本人は金銭欲・物欲・所有欲の奴隷になって、この古来の美しい文化を軽視し刺激されるまま
に欲望を膨らませ、次から次に出てくる魅力的商品(宣伝)に心を奪われ、いつのころからか「ひと」とは
呼ばれずに「消費者」なんて侮辱的な言葉に置き換えられています。
「お金で買えないものはない」(堀江 貴史)などお金に換算できないものは評価されない唯物論社会に
なっています。
「本当に大事なものは 目に見えないのだよ」とは、なにかの童話にありましたが、それが今では「お金
に換算できないものは価値がないんだよ」・・・となっている。
病原体のウイルスは目には見えないけれど、人間の命さえ奪います。
目に見えないもの、お金に換算できないものだって、何物にも代えがたい価値が(危険も)ある。
そういうことに目を向けるべき段階に来ていませんか?