27.05.21 K 博 士 NO.802
K博士は今や人類の最大の敵である癌を撲滅する、医学界待望の癌を退治する薬品を開発した。
親友のD博士からは絶賛され祝福もされました。 Kさんあなたはその奇跡の薬品を発売すれば、
たちまち世界一の大金持ちになれる・・・とも。 ところが、K博士は悲痛な面持ちで言った。
よく聞いてください、なるほど私はこの薬を開発するために今まで艱難辛苦してきたつもりです。
そしてようやく完成しました。 ところがこの薬が人類にとって役に立つどころか、人類を破滅してし
まうものだと気が付いたのです。 この薬のお陰で人間は120歳くらいまで生きることになるでしょう。
とんでもないことです。 普通人は30歳くらいで結婚するでしょう?
そしてその子孫が同じように結婚して子供を作っていったとすれば、一軒の家には120歳の男女一組
・90歳代の男女一組・60歳代の男女一組・30代の男女一組・赤ん坊も男女一組。
これは一組だけの話ですが、実際には90歳代2組・60歳代4組・30歳代8組・赤ん坊32人となる。
想像するだけでも恐ろしい。 よくも私はこんな「悪魔の薬」を作ってしまったものだ。
こんな薬は誰にもわからない場所に捨てようと思っています。
そして、今後は人間にとって必要な薬(できるだけ早く楽に死ねる薬)の開発に尽くしたいと思います。
そういって研究室に入って行きました。
*深沢 七郎著 「言わなければよかったのに日記」より編集。
なんでもかんでも、経費節減(削減)・合理化推進・2重行政の是正(都構想)なんて言ってる人がいま
すが、何が真実で何が虚飾なのかはホントのことかは判らないものばかりじゃないのでしょうか?