澤田ふじ子という、面白い時代小説を書く作家がいました。彼女の作品
はほとんどすべて読みましたが、今は引退して娘の澤田 睦子が書いてい
ます。 娘の作品は全く読んでいません。 彼女の小説は面白いのも一興
ですが、作品の随所に彼女の人生哲学ともいうべき言葉がちりばめられて
いて、それを知るのも楽しい。 「店が繁盛すれば賢い主は頭を低くする」
が「傲慢になり我がままになるのは馬鹿の証拠」とか「徳川幕府は親孝行を
美徳とし・孝行者に褒美を与えたのは、巧妙な老人対策だった」など。 本来
幕府が面倒を見なければならない福祉政策を、カッコよく領民に押し付けた
7ものである。 などなど、まさに慧眼というべき思考がある。 知らないだ
けかもしれませんが、最近こういう作家が少ない。