28.03.28 学 歴 詐 称 NO.1112
今時の政治家の中には、出てもいない大学(特に外国の)を卒業したと詐称し、それがばれて議員
の地位を棒に振った見苦しい人がいましたが、実はわが兄も学歴を詐称して就職したのでした。
昭和30年代初頭と言えば「鍋底景気」で働き口がないどん底の時代でした。 母子家庭の上・夜学
とはいっても大学と名のつく学校を出ていた兄は、仕方なく「中卒」の工員を募集していたある大手
メーカーに「中卒」で入社したのでした。
でも、そんなことを隠し通せるものではありません。 「秘すれば現る」の例えの通り、後日幹部社員
にその詐称を見抜かれた。 「君は中卒じゃない!」「申し訳ありません」「学歴を詐称していました」
「でも、中卒の給料で勿論結構ですし、決して昇進を求めたり待遇改善を求めるようなことはしませ
ん」「どうかクビにしないで働かせてください」・・・と懇願したのでした。
会社の幹部は、兄が真面目に働いていたことを考慮して「学歴詐称」を理由に首にはしませんでした。
その後、まじめさを買われて(昇進を断り続けていましたが)昇進を峻拒するんならばクビにすると脅
かされて、「仕方なく」現業出身では考えられない異例の出世コースをたどり、上場会社の部長待遇
まで上り詰め(させられ)ました。
ウソは基本的にはいけないことだけれど、こういうウソは(・・・そのために他の人の職場を奪ってはい
けませんが)あっても良いのではないかと思います。 私は、今は亡きこの兄を尊敬していました。