日本古代史 本の紹介 森浩一さん『地域学のすすめ』岩波新書新赤版793、2002年7月19日第1刷、178ページ、定価700円+消費税
考古学者の森浩一さんの本のうち、まずこれから紹介します。森さんは「地域学」「考古学は地域に勇気を与える」といい、この本では「関東学」や「東海学」、またヤマトでも「宇陀」など「小地域」の重視を提言しています。
「東海学」でおもしろいのは、森さんは「伊勢湾」「三河湾」という個別の言い方ではなく「三河・尾張・伊勢」の内海として「三尾勢(さんびせ)内海」を提唱していることです。ぼくはもっと簡単に「東海湾」でいいのではないかと思いますが。
さらに、「東海系土器」の拡散の意味、徳川家康など松平氏と東国の関係など、提言されていておもしろいです。
「東海系土器」が奈良県の纏向(まきむく)遺跡で出るのは有名ですが、同じように「東海土器」が関東に拡散している現象をきちんと指摘されています。つまり東海系土器が、纏向遺跡から出ることで東海地方のヤマト国家への従属を説明できるなら、同じように東海地方の関東への従属も童謡としなければなりません。
さらに江戸・浅草にいた「檜前(ひのくま)」氏についての解読も、浜松市「曳馬(ひくま)」地域の住民として興味深いです。この項は、別述します。
津軽海峡の両側の「海峡文化」の話、沖縄の「タカラガイ」の話なども、興味津々(しんしん)です。
なお、どうして「興味津々」の「しんしん」という日本語を、漢字で「津々浦々」の「津々」で書くのでしょうか?「津」というのは、もちろん「港」のことです。
「浜松」は古代「浜津」でした。
その他、いっぱいこの本からまなぶことがあります。随時、書いていきます。