新・本と映像の森 103 <135 再録> 北森鴻さん『うさぎ幻化行』東京創元社
本と映像の森 135 北森鴻さん『うさぎ幻化行』東京創元社
2011年02月18日 05時56分28秒 | 本と映像の森
本と映像の森 135 北森鴻さん『うさぎ幻化行』東京創元社、2010年2月25日初版~4月15日3版、296ページ、定価1900円+消費税
浜松中央図書館で、たぶん「ウサギ年」コーナーで展示していて、「あ!北森さんの本だ」と、予約を申し込んで、やっと昨日、図書館で借りた本です。
推理小説家、北森鴻さんの著書では、「民俗学者・蓮丈那智」さんシリーズと、お店を持たない骨董屋「冬の狐」こと「宇佐見陶子」さんシリーズが大好きです。
もともとは、次女のIさんがなぜか気に入っていて買っていたので、ぼくは、それを借りて読んだだけです。
「うさぎ幻化行」では、義兄に「うさぎ」と呼ばれた女性が主人公で、冒頭は、その義兄が、「日航ジャンボ機墜落事件」のような旅客機墜落事件で遺体が発見されるところから始まります。
義兄は、音響技術者で、義兄が残した録音の謎を解きたくて、主人公の女性「リツ子」は行動を始めます。
北森鴻さんの小説の魅力は、やはりすべての登場人物が、生き生きと生きていることでしょうか。
主人公のリツ子さんも、録音された音に絡んでいるそれぞれの土地の人たちも、ナオも、女優エリカも。
この推理小説の焦点は、やはり「音」です。
音の聞こえ方、音の発信源、などをめぐって駆け引きと謎解きが、すてきです。
ぼくが一番好きなのは、巨漢の鉄道マニアで鉄道雑誌ライターの「岩崎鈴音(すずね)」です。
名前からして「鈴音(すずね)」という鈴の音です。
岩崎鈴音さんが、仲をとりもって、媒介して、はじめてこの事件の主要な2人の人間が会うことができたわけです。
いい作品ですが、いまいち、布石を展開していない気もします。
なお、北森鴻さんは、昨年平成22年1月25日に心不全で亡くなりました。
もっとたくさんの作品を読みたかったです。