本と映像の森 200 レイチェル・カーソンさん著『沈黙の春』新潮文庫、1974年
記念すべき「本と映像の森 200」を何で飾ろうかと思ったとき、やはり、今、「3・11から1年1ヶ月ちょっと」経った時期には、この本しかないだろうと思って、取り上げました。
なぜなら、今、放射性物質の「生物濃縮」が現実の恐怖として語られているとき、50年前に、初めて、化学物質(農薬)の生物濃縮を語った本だからです。
原著「サイレント・スプリング」がアメリカで出版されたのは1962年、つまり今年から数えて、ちょうど50年前です。
この本を読んでない人の中には、「反農薬」「農薬撲滅」の本と思い込んでいる人もいるかもしれませんが、カーソンさんは、そんな「農薬メーカー廃止」の主張はしていません。
カーソンさんが主張しているのは、自然や生命を損ねるような、農薬の過剰使用を抑制しようということです。農薬は、個別の作物と、個別の被害に対して使用するべきで、軒並み、まるで空からの空爆のような、十把一絡げにした「農薬の絨毯爆撃」は止めましょうと、いうことだけです。
カーソンさんは、科学で明らかになった事実から、著作の全体を組み立てています。
その選んだ事実と、その組み立て方が、あまりにも適切だったので、この英語の本「沈黙の春」は、アメリカで、すごい賛同と、すごい反動を起こし、時代を映す本になりました。
目次を、以下、紹介します。
1、明日のための寓話
2、負担は耐えねばならぬ
3、死の霊薬
4、地表の水、地底の海
5、土壌の世界
6、みどりの地表
7、何のための大破壊?
8、そして、鳥は鳴かず
9、死の川
10、空からの一斉爆撃
11、ボルジア家の夢をこえて
12、人間の代価
13、狭き窓より
14、4人にひとり
15、自然は逆襲する
16、迫り来る雪崩
17、別の道
さて、原発事故と放射能で汚染された日本列島、それでも、まだ原発を「再稼働」させたい人たち、そういう人たちと、対話して、「別の道」を探求したいと思います。
別の道は、見つかるでしょうか?
見つからなければ、人類の未来は袋小路で、人類は「絶滅への道」を歩いていると言うことに、なります。
いまのぼくは、どっちとも判断できません。
則子さんと一緒に「別の道」を歩きたいのですが、それが、まだ、さだかではありません。
夢の中で、ぼんやりと、その道が見えたような気がしますが。