本と映像の森(第3) 10 萩原遼『ソウルとピョンヤン』文春文庫、1998年
北朝鮮の首都ピョンヤンと韓国の首都ソウルのリアルリポート。萩原遼さんは日本共産党の「赤旗」記者として1972年の5月から1973年の4月まで1年間、平壌に赴任して記者として過ごした。
そして15年経って今度はソウルオリンピックを赤旗記者として経験した。第1部は韓国レポート、第2部は北朝鮮レポートなのだが、明らかに萩原さんの主要な論点は北朝鮮のほうにあると思う。
なぜなら80年代後半の韓国は日本と等質の社会であって、すでに1972年から1973年の北朝鮮が異質の社会だと感じた。
ひとことでいうと「笑いのない社会」。
萩原さんは自分の体験で北朝鮮の異常な収容所社会を裏付けていく。
たとえば見学対象のいつわり。帰国日本人の運命。外国人への執拗な監視。
北朝鮮史の大きな分岐点になったのが1967年の朝鮮労働党の中央委員会総会であるとの指摘。これいご多数の党幹部が粛正された。
その前までが「地上の楽園」であるかの認識は誤っていると思う。絶対権力と悲劇は最初から準備されていたのだ。
また萩原遼には触れる機会があると思う。
☆
以下は2017年に書いた「新・本と映像の森 63 萩原遼『朝鮮戦争 ー金日成とマッカーサーの陰謀ー』文春文庫、1997」年
「新・本と映像の森 63 萩原遼『朝鮮戦争 ー金日成とマッカーサーの陰謀ー』文春文庫、1997年
2017年05月04日 22時47分23秒 | 本と映像の森
375ページ、定価本体543円、1993年文芸春秋刊行
著者は元「赤旗」平壌特派員。萩原さんは、ワシントンにあるアメリカ国立公文書館にある朝鮮戦争時のアメリカ軍奪取文書160万ページを3年かけて読破した。
その文書分析という歴史学の常道から導き出した、朝鮮戦争の始まりの真実と、朝鮮民主主義人民共和国の創立の頃の謎に迫る。
朝鮮戦争は1949年から金日成とスターリン・毛沢東らによって準備され、その軍事的中枢は、国共内乱で活躍した中共軍の朝鮮系部隊3万人だった。
そして、朝鮮北部に1945年からできたのは、ソ連軍の占領下で東欧でできたような「収容所国家」だった。
それが歴史の事実だったことを、資料分析をつうじて語ってくれるドキュメント。
萩原さんは、1945年以前、金日成の通訳をしていた朝鮮人にもインタビューして、金日成の当時のリアルな姿を描いている。
真実かどうかは、皆さんが自分で読んで、自分の頭で判断して欲しい。
ボクは、これが真実に近いのではないかと思う。」
北朝鮮の首都ピョンヤンと韓国の首都ソウルのリアルリポート。萩原遼さんは日本共産党の「赤旗」記者として1972年の5月から1973年の4月まで1年間、平壌に赴任して記者として過ごした。
そして15年経って今度はソウルオリンピックを赤旗記者として経験した。第1部は韓国レポート、第2部は北朝鮮レポートなのだが、明らかに萩原さんの主要な論点は北朝鮮のほうにあると思う。
なぜなら80年代後半の韓国は日本と等質の社会であって、すでに1972年から1973年の北朝鮮が異質の社会だと感じた。
ひとことでいうと「笑いのない社会」。
萩原さんは自分の体験で北朝鮮の異常な収容所社会を裏付けていく。
たとえば見学対象のいつわり。帰国日本人の運命。外国人への執拗な監視。
北朝鮮史の大きな分岐点になったのが1967年の朝鮮労働党の中央委員会総会であるとの指摘。これいご多数の党幹部が粛正された。
その前までが「地上の楽園」であるかの認識は誤っていると思う。絶対権力と悲劇は最初から準備されていたのだ。
また萩原遼には触れる機会があると思う。
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以下は2017年に書いた「新・本と映像の森 63 萩原遼『朝鮮戦争 ー金日成とマッカーサーの陰謀ー』文春文庫、1997」年
「新・本と映像の森 63 萩原遼『朝鮮戦争 ー金日成とマッカーサーの陰謀ー』文春文庫、1997年
2017年05月04日 22時47分23秒 | 本と映像の森
375ページ、定価本体543円、1993年文芸春秋刊行
著者は元「赤旗」平壌特派員。萩原さんは、ワシントンにあるアメリカ国立公文書館にある朝鮮戦争時のアメリカ軍奪取文書160万ページを3年かけて読破した。
その文書分析という歴史学の常道から導き出した、朝鮮戦争の始まりの真実と、朝鮮民主主義人民共和国の創立の頃の謎に迫る。
朝鮮戦争は1949年から金日成とスターリン・毛沢東らによって準備され、その軍事的中枢は、国共内乱で活躍した中共軍の朝鮮系部隊3万人だった。
そして、朝鮮北部に1945年からできたのは、ソ連軍の占領下で東欧でできたような「収容所国家」だった。
それが歴史の事実だったことを、資料分析をつうじて語ってくれるドキュメント。
萩原さんは、1945年以前、金日成の通訳をしていた朝鮮人にもインタビューして、金日成の当時のリアルな姿を描いている。
真実かどうかは、皆さんが自分で読んで、自分の頭で判断して欲しい。
ボクは、これが真実に近いのではないかと思う。」