連続投稿します。
サリドマイド、僕は個人輸入も含めよく使わせていただいた薬ですが・・いまのところよく効いている人が多いです。
まぁ、自家移植後の維持療法に使用したりというのもありますが、白血化した骨髄腫(Hb6.0、Plt 5万、IgG5000:末期状態です)の患者さんに大量DEXののちに個人輸入(のちというよりは、個人輸入するまでの間のつなぎ)したサリドマイドを追加して血液中から骨髄腫細胞が消失、Hb11以上、Plt18万、IgG1000と著効しています。
他にもIgG5000→1000前後、IgA9000→5000(先月から治療開始):両方とも紹介。分泌不全型TK活性 60→5(正常)など
…例の患者さん以外がすべて僕の担当患者さんは著効しているのですよね。
良い薬ですが高いです。
高額サリドマイドに補助金、調査協力名目で
1月13日14時42分配信 読売新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100113-00000758-yom-soci
血液がんの一種、多発性骨髄腫の治療薬・サリドマイドの服用者を対象に、薬の承認・審査を行う「医薬品医療機器総合機構」(東京・霞が関)が今月、薬の使用実態調査を始める。
参加者には協力金として1回3万円が支払われるが、実質的には高額な薬剤費への補助で、こうした調査の実施は前例がない。
サリドマイドは胎児に重大な副作用を引き起こし、1962年に販売停止となったが、海外で多発性骨髄腫への有効性が報告され、2000年頃から、患者や医師がメキシコ製の未承認薬などを月2万円ほどで輸入、使用していた。
08年10月に国内でも承認されたが、その条件として、服用患者全員が製薬会社への登録を義務づけられるなど、厳格な安全管理システムが導入された。そのため、1カプセル(100ミリ・グラム)6570円と高価になり、1日1カプセル服用すると3割の自己負担で月約6万円と、保険がきくのに未承認の時よりも高くなった。
調査は1~3月の服用者が対象で、日々の服用や管理状況などを尋ねる。協力金は1回の調査につき3万円で、70歳未満の患者は最大4回、70歳以上は1回のみ参加できる。協力金は、薬の開発を支援する国の基金から支払われる。服用者は1300人ほどと推定される。
厚生労働省安全対策課の森和彦課長の話「類例がない厳しい管理システムで患者さんに大きな負担をかけている。調査結果を踏まえ、患者負担の軽減と安全管理の確保を両立できるように改善したい」
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医師、患者双方の負担になっているサリドマイドの安全管理システムですが、このシステムのために確かにやたらと高額な薬(月に18万~)になっています。
本来ならファーストラインで使用したい薬剤だけに、もう少し安価になってくれるとよいのですけど。
ちなみにベルケイドに比べると、保険適応薬になったためこちらのほうが使用している患者さんが多いです。というよりは、僕はサリドマイドだけになりました。
サリドマイドが一番手間もかからない。この面倒な管理システムさえなければ。
ベルケイドだと週に2回注射に来てもらわないといけない。維持療法なら週1回と休薬一週とかですかね。いずれにせよ、患者さんは大変。お金も月60万くらいかな?
藤本製薬としては管理システムを改善して、薬価を下げて(って無理なのかな。一度薬価収載されると)需要が増えるあたりあでいけばよいのでしょうけどね。
医者も、患者もそのほうがありがたいし。
http://blog.with2.net/link.php?602868
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もう1個いきます。
サリドマイド個人輸入量が半減
1月8日17時10分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100108-00000004-cbn-soci
厚生労働省は1月7日、サリドマイドの昨年度の個人輸入数量が26万2882錠(カプセル)で、前年度の49万8892錠の半分程度に減少したことを明らかにした。サリドマイドは、藤本製薬(本社=大阪府松原市)が多発性骨髄腫治療薬として一昨年10月に承認を取得し、昨年2月から販売を開始しており、同省の担当者も「サリドマイドの承認が一つの大きな要因になった」と指摘している。
サリドマイドはかつて、催眠鎮静剤などとして販売されていたが、つわり止めとして服用した妊婦の胎児に重い障害が生じるなどの薬害事件を引き起こし、1962年に販売が中止された。しかし、90年代に海外で多発性骨髄腫への治療効果が報告され、米国、オーストラリアなどでは厳格な安全管理の下での使用を条件に承認されており、国内でも藤本製薬が多発性骨髄腫治療薬として昨年から販売を開始していた。
同省は承認に当たって厳しい条件を付けており、同社のサリドマイドによる治療は原則として、「日本血液学会研修施設」の「日本血液学会認定血液専門医あるいはその指導を受けられる医師」に限定されている。また、処方医師や患者などは、同社の「TERMS(サリドマイドの教育と安全使用に関する管理システム)」への登録が義務付けられている。
サリドマイドの個人輸入数量は2001年度に15万6600錠だったが、02年度は44万454錠と急増。06年度には59万590錠に達したが、07年度は49万8892錠に減少し、昨年度はさらに半減した。 同省の担当者は「国内で販売されているのは100ミリグラム製剤のみで、それ以外の剤形のニーズもあるので、今後も個人輸入がゼロになることはないだろう」と話している。
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手間と値段だけ考えると「個人輸入」のほうがよいのでしょうけど、保険外の治療を行うことによるリスクもありますよね。 いくら手間がかかろうと、保険外診療を併用するわけにもいかないですから(当然、個人輸入するなら他のクリニックで個人輸入してもらうしか方法はないわけで)…。
さて、この後は少し本を読んで…明日に備えて寝ます。本当に当直明けから翌日も夜まで働いて…が続くと、結構眠くなるんです。何故なら当直室では自室以上に深い睡眠がとれない(後輩に言わせると寝られない)から・・・。
患者さんが「病院に入院すると周りが気になって眠れない」という方がいますが、それ以上に当直医はアラームや看護師さんの動き、患者さんの動きに敏感になっていますから。あと、当直携帯に…。
それでは、また。
P.S:
今日も当直の日も「年金対策」「税金対策」などの電話がありました。いい加減取り締まってほしいです。
向こうも必死なのかもしれませんが…