新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

自殺と事故死:死について考える

2010-01-17 23:23:29 | Weblog

こんばんは

 

連続投稿です。いつもの癖でYahooの国内トピックスなどを見ておりました。

次の二件の記事を読み、いろいろ考えましたので記事にしたいと思います。

 

9階から高1男子転落死=那覇

1月17日20時49分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100117-00000073-jij-soci  

16日午後10時ごろ、那覇市壺川の市営住宅で「友人が転落した」と119番があった。救急隊員らが駆け付けたところ、2階のひさしに少年が倒れていた。病院に運ばれたが死亡が確認された。 

沖縄県警那覇署などによると、死亡したのは同じ市営住宅の別棟に住む県立高校1年の男子生徒(16)。友人2人と9階通路の手すりから身を乗り出すなどして遊んでいた際に、転落したとみられる。同署は転落経緯などの状況を詳しく調べている。 

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 京都駅近くのホテル 硫化水素自殺図る? 男性が重体

1月16日15時31分配信 産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100116-00000069-san-soci  

16日午後0時半ごろ、京都市下京区塩小路町の「アパヴィラホテル京都駅前」で、硫化水素自殺をほのめかす置き手紙を従業員が発見、110番通報した。七条署員や京都市消防局の救急隊員が出動。7階客室内の浴室で、この部屋に宿泊していたとみられる男性が倒れているのを発見した。男性は病院に運ばれたが、意識不明の重体。  

市消防局によると、浴室には硫化水素の発生を知らせる張り紙があったという。府警は男性が自殺を図ったとみて調べている。  

現場はJR京都駅に近いホテル。チェックアウトの時間を過ぎていたため混乱はなかったが、付近は一時騒然となった。

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よく言われることですが、自殺が増えています

 

僕は血液腫瘍を中心に診ておりますので、いろいろ死について考えます。もっとも、死についてよく考えていたのは小学校1年生のころからですが・・・。

 

今でこそ「死ぬまでに何をするか」ということが、僕の生き方、そして死にかたを決めると思っていますが、小学校時代はとても死ぬのが怖かったです。当たり前の話ですが・・・。

 

中学校時代は「死」をいろいろと美化していたような気もします。

 

ともかく「死」についてよく考えていました。そして死ぬまでに何かを成し遂げたいと思うようになり、今の自分がいます。

 

上の事故死した高校生に関して、まずご冥福をお祈りします。ただ、一言だけ。

命を粗末にするような遊びをするものではない。

命というのは粗末にしなくても、思いもよらないところで失うものだし…自分がいつまでも生きていられるというのは間違いです

 

同じことが自殺をはかった方にも当てはまると思います。

 

自殺に関しては確かに増えているのですが、人口が増えていますから自殺者数は普通に増えます。最近までは人口10万人当たりの自殺者数はだいたい20人前後でした。

ただ、平成10年を過ぎてから30を超え、もうすぐ40名(急性白血病は10万人当たり6名位)に達しようとしています。

 

自殺が少なかった年はいつかというと「昭和15年ころ~20年ころ」です。もちろん自決というのはあったのでしょうけど…。

 

どうしたら自殺とか「命を粗末にするような事故死」が減るのだろうか…そう思わざるを得ません。

 

生きる目的、強く何かを考えていたらそのようなことをしないのでしょうか。それともやはり「一生懸命」に生きざるを得ない状況であれば…戦時中や紛争地域のような場所であれば自殺をする人は減るのだろうか?

 

そんなことを考えたりしました。

 

本当にいろいろな理由で「死」を願う。それを選ぶ方がいると思います。医師でも「死」を選ばざるを得なかった方もいらっしゃいますし、先輩でも「死」を選ばれた方々もいます。

 

人は絶望したら死ぬのでしょうか。希望が見えなくなったら死ぬのでしょうか。

 

明日とかを考えずにその場その場をしのいでいく状況であれば、人は生き続けるのでしょうか?

 

様々なことが頭をよぎります。

どうすればよいのか。

 

宗教?宗教ではないと思います。キリスト教徒だから自殺しないか。そんなことはない。イスラム教徒も自殺まがいのことをしている。

 

僕は「死」を思うとき、今死んだらどういう葬式になるだろうか・・そう考えます。

「死」は事実でしかありませんが、その死がどういう影響を与えるのか。そして死んだときに初めて、その人物・・僕の生きてきた道が評価されると思っています。

 

坂本龍馬が33歳で死んだとしても、彼が行ったことは明治政府に引き継がれたと思いますし、高杉晋作もその生き様は素晴らしいと思います。生きて何を成し遂げたか。 何かを成し遂げようと思い、それに向かい努力すること。その達成途上であろうと、一生懸命に生きることは素晴らしいと思いますし、その信念で生きた人は周りの人に何かを残していると思います

 

一人一人がどう「生きる」のか。生き方と死に方。目的に向かって最大限努力をして、達成できなかったとしても「大きな夢を描けた」と満足できるのではないか。

 

そんなことまで考えてしまいます。

 

実際は僕には患者さんとともに、今は「いかに今を大事に生きるか。その時間を作っていくか」しかできることがあるわけではないのですが・・・。

 

このような記事を見るとどうしても考えさせられてしまいます。

 

先程、病棟に電話をしました。一人の方が戦いを終えようとしています。「肉体的な死」は…生きてきた以上必ず訪れるものです。しかし、可能であれば「精神的な死」ではなく、最後まで家族と共に…友人や仲間、多くの人たちと共に「安らかな時」を迎えてほしいと願うばかりです。

 

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なかのひと 

僕らには「時間を作る」ことしかできないのですから。

それでは、また。

 

P.S

書いていて、批判を受けてもおかしくない記事だな~と思いました。ただ、心からそう思っているのでどうしようもないです。

 

個人の問題だけではなく、さまざまな問題があるのだと思います。

環境や…様々な経験、いろいろあると思うのですが…

死んだほうが楽…ということもあるのかもしれませんが…

 

何かを成し遂げたい…と思うことがあれば、義務ではなくて「夢」を描くことで・・どうにかならないだろうか。そう思うばかりです。

 

人によっては僕は嫌なことを書いているのかもしれません。

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救急隊も大変だろうけど・・・(これはないだろ)

2010-01-17 17:21:38 | 医療

こんにちは

 

先程帰ってきました。現在、末期状態の患者さんが2人おりまして、そちらの対応に追われております。

 

通常の大学病院であれば「関連病院」があるのだと思いますが、当病院は関連病院がありません。さらに言うと周囲に血液疾患を見ていただける病院がないため、すべての患者さんが集中+看取りまで行うことになります。

 

最初(診断・積極的治療)から最後(緩和ケア)まで大学病院ですべてやっているのも珍しいのかもしれませんが・・・。

 

話を変えますが・・・3時過ぎに脳外科の当直(友人)が相談に来ました。

 

「血液疾患みたいなの?」

と聞くと…首を振って

「いや、救急隊…脳外科救急の緊急対応のために、脳外科当直のピッチ番号知っているんだけど…」

「で・・・?」

「こんな血液検査結果」

「頭の中は?」

「救急隊、時々受け入れ先がなかなか決まらないときこういうことするんだよね」

「は?」

「いや、『意識レベルが悪い(JCS2、E4V4M6くらいだそうです)患者で、脳出血なども疑えます。そちらに向かっていますので、受け入れお願いします』と言われたら断れないじゃない。来てみたら、全く脳外科領域を疑えない状況で…採血したら

「これか・・・・」

 

Hb5.0 、BUN99、Cr2.5 Glu300台、K5.8

 

「高浸透圧性…で説明がつきそうだけど…。うちの当直が今日は内分泌代謝内科だけど、消化器や腎内にも相談しないとね」

「だよな~。けど、さっき○○ちゃん(当科の当直)は急患対応していたから…。この患者さんを脳外科に回されても困るんだよな…」

 

と、頭をかきながら行ってしまいました。

 

救急隊がどういう判断で脳外科に直通したのかはわかりませんが、これは患者さんのためにはなっていないですね。

 

むしろ、このようなことをされて本当に脳外科が動かないといけない患者さんが来てしまったらどうするのだろうか?

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なかのひと 

同じタイミングで片方が脳外科疾患、片方がまったく異なる領域であった場合。そして脳外科の患者さんの受け入れ(同時には無理だから)ができなくなったらどうするのだろうか?

 

大きな問題だと思いました。

 

さて、夜中に呼ばれることも想定範囲内なので、少し本を読みながら呼び出しに備えたいと思います。

 

それでは、また。

コメント (2)
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