こんばんは
先程帰ってきました。今日は外来も少なめで、3時くらいに終わることができました。
一番大きいのは新患が久しぶりに0人だったことですね。
その他、病状が皆さん安定してきています。先週の土曜日には危機的状況となり、月曜日には家族を集めてシビアな話もしなくてはならなかった患者さんも、山を越えて油断をしなければ逃げ切れるというところまで来ました。
その後はカンファレンスがあり、先程終わって帰ってきたところです。
今日はこの記事を紹介します。
産科補償制度、初年の補償対象者は12人―診断医に迷いも
1月21日16時46分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100121-00000002-cbn-soci
昨年1月にスタートした産科医療補償制度の初年の補償認定者は12人だったことが、1月21日までに明らかになった。事務局は当初、補償認定後に行う重度脳性まひ発症の原因分析の開始を早ければ昨年9月と想定。それ以降4半期の補償認定者数を30人と見込んでいたが、これを下回った。同制度では、診断医が制度独自の診断基準を基に「身体障害者障害程度等級一級または二級に相当する脳性まひ」か否かを診断するものの、「再認定」は行わないことから、「診断医らに迷いがあるのではないか」と事務局の担当者は指摘している。
同制度では、昨年9月に5人の重度脳性まひ児に対して初めて補償を認定。その後、11月に3人、12月は4人に認めた。
同制度の補償認定を請求する際には、▽「肢体不自由の認定に係る小児の診療等を専門分野とする医師」▽日本小児神経学会が認定する小児神経科専門医―のいずれかの要件を満たす医師が作成する「専用診断書」が必要となる。
同制度が補償対象としている重度脳性まひについては、標準補償約款の中で「身体障害者福祉法施行規則に定める身体障害者障害程度等級一級または二級に相当する脳性まひ」と規定している。一方で、身体障害認定基準が「すべての障害を対象」「再認定がある」「主として18歳以上の者の診断を想定、乳幼児に係る障害認定はおおむね3歳以降に行う」としているのに対し、同制度では「対象を脳性まひに特化」「補償対象と認定した場合、再認定は行わない」「1歳(重症時6か月)から5歳になるまでの間のできるだけ早い時期に診断」とする独自の診断基準に基づいて専用診断書を作成する。
事務局の担当者は当初予想数を下回った理由について、同制度の診断基準が再認定を行わないとしていることに触れ、「判定は生涯にわたって、障害が残ると判断したということになる。もっとリハビリをすれば歩けるようになるかもしれないという気持ちにより、それをしないうちに補償の申請に踏み込むことに迷いが生じるのではないか」と指摘。問い合わせは相当数あるものの、「思い切るのは別次元の判断」と話している。
----------------------------------各診療科ごとにいろいろ難しいところがあると思います。
もっとリハビリをすれば歩けるようになるかもしれないという気持ちにより、それをしないうちに補償の申請に踏み込むことに迷いが生じるのではないかという気持ちはよくわかります。
これ以上無理だ…と思ってリハビリなどをしなかったら、お子さんの一生に影響します。
僕らは腫瘍を扱う診療科である以上「どこまでやるのがこの方にとってベストだろうか」ということも考えなくてはならないわけで…そういう判断に迷うことがあります。
今、Profが2004年に診断したMDS RAEB‐t(今ならAML)の患者さんが入院されています。外来輸血と内服薬だけで元気に過ごされていた患者ですが… 普通に考えると1年も持たないような病状の患者さんがこうやって元気に過ごされている。
僕の外来にも今日緊急入院してしまいましたが、1年半前発症のAML(骨髄中Blast80%、末梢血白血球数40000以上)の患者さんが外来で内服抗癌剤だけで今まで元気でした。
今日は爆発して40000超えていましたが…70歳半ばという年齢で点滴で抗癌剤を入れるよりは長生きできていると思っています。何よりも家でずっと元気に過ごされていたことが素晴らしいことだと思います。
こんな感じで「個々の患者さんに合わせて治療戦略を立てることの難しさ」もあります。腫瘍関連ですから「撤退する勇気」も必要になります。上の二つは積極的な抗癌剤治療を行わずに良い結果を得ている患者さんですが、こういう判断も重要になってくるわけで…。
本当に各診療科で様々な難しいところがあると思います。
結果だけをみるといろいろ思う人もいるのでしょうけど、診断にせよ治療にせよ「自分の決定が人に大きく影響を及ぼす判断」を決定することの難しさがそれぞれあるのだと思います。ベストの判断というのがあるのかないのかわかりませんが・・・。
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結果がうまくいかなかった患者さんがいれば…例えば移植関連死亡などおきたら…患者さんサイドは「移植なんてしなければよかった」と思うでしょう。医師もリスクの高い治療ですから「患者さんの適応を判断」してやるか否かを決めています。
医者として僕も・・・AMLで普通に治療をしていて(地固め療法MIT+AraCからA-TripleVまで)、地固め療法中に再発(2コース目の回復期にBlastが増加)してきたとき
「大量AraCだったらどうだったのだろうか?」
とか思ったりしました。実際には標準的に決められている方法でやっていくことは大事ですし、仮に大量AraCで治療をして感染症で死亡したら、何も言えなくなってしまいます。
ただ、結果だけ見たら「他の判断だったらどうだったのか」などというのは誰にでもいえることです。もし…というのはないので。
医者がそういう判断を繰り返しながら(特に僕らは外来で腫瘍などの治療をしていたりするので・・・時間がないのがつらいです)頑張っているのを・・・そのことを多くの方々に知ってほしいような気がします。
それでは、また。