さて、本態性血小板血症(ET)は骨髄増殖性疾患の中では最も予後が良い疾患です。血小板を中心に血球増加を認める疾患で、血栓症が問題になります。
たまに血小板が増えすぎると二次性von willebrand病を発症して、逆に出血することもあります。
それでは、簡単に説明文を書いていってみます。
昔作ったやつはこちら(骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症)の説明)
Nさんは健診で白血球が軽度増加、血小板増加を指摘されて紹介になりました。
血液検査や骨髄の検査の結果が出ましたので、ご説明してまいります。
まず、血液検査では白血球が10000/µl、ヘモグロビン(Hb)は14g/dl、血小板は80万/µlと軽度の白血球増加、血小板増加を認めています。血液像という顕微鏡で血液をみた限りでは、桿状核球が5.0%、分葉核球が56.0%と好中球系が少し増え気味ですが、異常な血液細胞は認めませんでした。
この時にBCR-ABL遺伝子変異についても調べていますが、これは陰性でした(慢性骨髄性白血病ではない)。
骨髄の検査では芽球の増加や異形成はなく、線維化も認めませんでした。骨髄スメアでは成熟巨核球の増加を認めております。
血小板増加の持続期間(6ヶ月以上)の問題はありますが、現時点では本態性血小板血症の可能性が最も高いと考えます。
Nさん:本態性血小板血症とはどのような病気でしょうか?
本態性血小板血症は「巨核球」という血小板を作る細胞が増殖し、主に血小板が増えてくる病気です。血小板は止血機能を担当しますので、これが過剰にあることで血栓症、脳梗塞などを起こしやすくなります。
リスク因子などで対応を考えるのですが、Nさんの年齢が60歳以上なので、高リスク群になります。その場合はアスピリンとハイドロキシウレアを使って治療を行います。
Nさん:どの程度、生きられますか?
この病気は血栓症さえ上手くコントロールできれば、比較的長く生きることができます。平均的には20年前後ですが、個人個人によって違いますので、なんとも言えません。第一、20年経ったら治療法も変わっているかもしれません。
Nさん:確かにそうですね。では、今の一番良い治療を宜しく御願い致します。
では、当初はアスピリンだけ使用して血栓症を予防し、6ヶ月以上経過しても血小板が改善しない、もしくは急激に血小板数が増えてくるようであれば、ハイドロキシウレアを併用して治療をしましょう。
こんな感じでしょうか。本態性血小板血症の予後因子はいくつかありますが、いずれにせよ長期戦ですので、治療法が変わるかもしれないといっております。ですので、どうしても知りたいという方には参考程度にお伝えしますが、あまり触れません。
まぁ、他の悪性疾患でも、治療法に違いが出ないのであれば、細かいことは言わないことが多いですけどね。僕は・・・。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
http://blog.with2.net/link.php?602868
人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします
それでは、また。
血液内科 ただいま診断中! | |
クリエーター情報なし | |
中外医学社 |