新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

万能治療があれば良いけれど(笑:Yahooの記事より

2017-11-25 06:28:02 | Weblog

おはようございます。

 

昨日は出版社さんへ行ってまいりました。2冊目の本の打ち合わせです。正直イラストをどうするかという話だったのですが、意外とあっさり終わり40分程度でその話と担当者はブレイクしました。

 

そして3冊目の本の打ち合わせに入り・・・と。

 

その後、自宅に戻ってきたという感じです。

 

さて、今朝は朝4時から起きて色々3冊目の本はどうしたら良いかなと考えておりましたが、ブログのチェックをしていないと思い、先ほど見たところでした。その流れでYahooを見たら、すごい記事が出ておりました。

なんでも治るのであればいいのですけど、ありえないと思いますよ・・・。感覚的にも理屈的にも・・・。

 

 

 がん、認知症、うつ病、リウマチに「効果あり」…!? 社長自ら「治らない病気はない」と語る電子治療器が11月上旬、東京・板橋区長が実行委員長を務める産業見本市に登場しました。会社のサイトには、かつて厚生労働大臣を務めた坂口力さんの名前で「国を挙げて研究に着手すべき」と称賛するような文章が載っています。いやいやそんな夢のような話、さすがに信じがたいのですが…。と思い、調べてみました。(朝日新聞・長野剛記者)

板橋区の見本市に出展

 その治療器、「ドクターイオン3D」という名前で11月9~10日、「いたばし産業見本市」で公開されていました。出展したのは区内にある理研プロジェクトという会社です。「理研」という名前ですが、有名な研究所、理化学研究所と直接のつながりはないようです。

 私にこの話を教えてくれた板橋区議、松崎いたるさんによると、会場になった体育館に設けられたブースで実際に「治療」も行っていました。松崎さんから頂いた写真では、ボードの説明に、がんやうつ病、認知症などの病名を明記し「特に医療機関で治せない難病に効果あり」と書かれています。

 松崎さんが現場で「効果効能をうたうのは違法じゃないのか?」と聞いたところ、「私たちの機械は本当に治せるので違法ではない」と回答。さらに「厚生労働大臣だった坂口力さんが認めたものだから大丈夫だ」とも言われたそうです。

会社を訪問

 薬機法(旧薬事法)は、医療機器などについて「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」と言っていますし、医師法では「医師でなければ、医業をなしてはならない」となっています。

 しかし、これだけおおっぴらにしている以上、何か考えがあるんじゃないか。そして、効果に関しても何か、根拠があるのではないか。そう思い、理研プロジェクトを訪ねました。

(中略)

 

厚労省「本当ならアウト」

 本当にそれで、法律的に大丈夫なのでしょうか。理研プロジェクトへの取材後、早速、薬機法と医師法を担当する厚生労働省に聞いてみました。

 まずは薬機法。担当者に「何でも治る」と言うことは誇大広告にならないのか、と聞きました。

  「本当にそう言っているとすれば、アウトです」

 正直なところ、この手の取材で官公庁から、こんなにハッキリした答えを聞いたのは初めてで、驚きました。医療機器については、承認時に国に認められた効能効果を逸脱した広告をすれば誇大広告になるのですが、「何でも治る、はあり得ませんから」とのことでした。

 ただ、「何でも治る」は私の取材に対して言ったこと。念のため、タカダイオン電子治療器で承認されている効果効能を調べると、「肩こり」「慢性便秘」「不眠症」「頭痛」の四つだけでした。少なくとも区の見本市会場で明示していた「大腸がん」「乳がん」「認知症」などは、その中にないことは確かです。

 (中略)

坂口さんの文章で「医師の問い合わせ増えた」

 さて、「勝手に使われた」ともとれる坂口さんの回答ですが、これを再度、野中社長に聞いてみました。

 「取り下げてくれ、というのは聞いていません」と、野中社長は全く違う認識を示しました。

 坂口さんの文章は実際、野中社長にとってどういうものだったのでしょう。

 「文章を載せてから、病院医師からの問い合わせが増えました。それまではなかったものです。やはり、説得力は増しました

(以下略)

別にこの機械のことを知っても、「またありえないことを言っている人がいる」と思っただけで、坂口元大臣(そういえば医師免許は厚生労働大臣は坂口元大臣だな)が言っていようとなかろうと、「ありえない」で終わるだろうと思います。

 

増えたと言っても大して増えもしないだろうとは思いますが、患者さんが機械のことを知って、主治医に相談したら増えるかもしれません。

 

さて、メカニズムはよくわからないが、細胞をリセットする・・・って。リセットしたら大変だと思いますが・・・。

 

リセットする=それぞれの働きに合わせて分化した細胞(心臓は心筋細胞に、白血球が白血球になっている)を未分化に戻すという意味?

 

それって・・・未分化がんになってしまいます(笑

 

リセット=新しくする

→人間の体の構成分子は1年で全て置き換わっているので、何もしなくても新しくなっている。

 

 

そして記事によると、よくわからないけど「効くはず」なので「量子医学」と呼んでいる・・・

 

少し笑いました(w

 

「がん」はがん細胞が「なんらかのメカニズム(少し前の記事に書いてありますが)」で免疫細胞から逃げることができるようになった時に増えていきます。

 

認知症も細かいメカニズムは色々あると思いますが(もう、全てをアップデートするには医学は細分化されすぎています。大まかにしかいえません)、タウ蛋白の蓄積による小胞体ストレスで神経細胞がアポトーシス(細胞死)していくもの。

 

リウマチなどは「免疫細胞」の暴走のようなものですし・・・。

 

何にでも効くのであれば・・・それに越したことはありません。医師も楽で良いです。機械任せでいいのであれば、診断すら必要でなくなります

 

何にでも効くので、定期的にこの機械を使ってマイナスイオンを浴びたらよくなるのであれば、病院も何もいらないです(笑

 

もちろん、ありえなさすぎるので・・検証する話にもならないとは思いますが、検証するとしたら末期ガンで打つ手がないと言われている人たちに対して、この機械を使用した場合と使用しなかった場合でどうなるかを検討するのでしょうか?

治るのであれば(特になんでも治るのであれば)、この検討でも治るはずですし・・・ねぇ。

 

記事の中にあるように「治し方がわかっていないだけ」などという言い方があるならば、なんの検討も意味をなしませんが・・・。

 

世の中にはこんな話でお金を設けようという方がいらっしゃるのでしょうか。それともこの会社の社長さんは「本当に」なんでも治ると思っているのでしょうか・・・(汗

 

僕にはわかりませんが、少し笑えたので紹介程度に・・・。

坂口元大臣は医師ですので、この記事のような話には乗っからないと思いますが、免疫細胞療法とかには色々関わられているのですね。

免疫細胞療法にも色々あるとは思いますが、それはターゲットを絞って対応するからまだ可能性があるのであって、なんでも有効などというふざけた話は基本的にはないだろうと思います。

 

まぁ、「万能薬」ができるようになれば本当に良いとは思いますが。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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2 コメント

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本当にあるなら欲しい(笑) (女王様)
2017-11-28 23:18:39
なんでも治る。
それなら誰も苦労はしないし つらい治療なんかしません。
ガンが消えた!とか 痛みがなくなった! とか通販でありますが、藁にもすがる思いは誰にでもあります。
これはたまたま坂口さんですが 医学博士○○氏推奨 なんてコピーについ騙されてしまうんでしょう。

不定愁訴が気分的にラクになるなら まあそれもありでしょうけれど。
私の知人も よかれと思っていろいろ勧めてくれます。
イオン水がいいらしい、酵素水はむくみがとれるらしい、クロレラが効くよ 云々。
ありがたいといえばありがたいけれど、それで結果的にまた悪くなった時の責任は やはり自分になりますからねぇ。

月曜、血液外来に行きました。

5日薬をやめたくらいじゃ変わらないとは思っていたけれど 濾過率が10。 クレアチニンはさらに4.4に。1週間前は3.99でしたから急速に悪くなって 医師も頭を抱える有り様でした。

困ったねえ。といいながら 本当にタシグナかなあ?と首をひねる。
悪化スピードが加速したのは 増量とリンクするし、タンパク質も塩分も気をつけてきたのだから もう他に原因はわかりません。
なんとか透析は避けたいよね、と理解を示してくれて しばらく休薬し、ギリギリの量から再開してみようか と相成りました。
濾過率が低下しているので なかなか残留分は抜けないかもしれないけれど‥と前置きをしながら。

他の薬はさらに循環器に影響が強いので、タシグナが無難だろう みたいな結論でした。
タシグナを休んで それでも悪化の一途だとしたらどうしよう。
気持ちが沈みかけます。
良くはならないにせよ せめて悪化が止まって今の数値で止まってくれたら と祈るばかりです。
主治医は、タシグナが腎機能悪化とは書いてないし‥と
どうしてかねぇ?などと腕組みをしながら考えこんでいました。
だんだん 治療しにくい患者であることが申し訳なくなってきたところです。

血液検査ですが
白血球はまあまあ、ヘマトクリットやヘモグロビンは相変わらず低い貧血状態。
今回初めて網状赤血球にLやHが並んでおりました。
これはもしかして 悪化でしょうか。 ISは当然ながらしばらくわかりませんが‥。
芽球等はありません。白血球像はややリンパ球が減りました。

今まで正常だった欄に LやHがつくとドキッとしますね。
CMLに関わるものか はたまた腎機能からきた異常なのか。

あちこち良くないと 精神が参ってきます。
おいしいもの食べて寝て、という解消法が出来ないことがまた追い打ちをかけるようです。

朝晩はずいぶん冷えてきました。
油断してハナタレになっちゃいました( 泣)。 鼻は寝不足になるし気をつけなければならないのに。

いよいよ師走です。医師も走る、かな?
ゆっくり今年を振り返れる時間があるといいですね。
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貧血は腎臓だと思います (アンフェタミン)
2017-11-29 06:32:55
>女王様さん
おはようございます。コメントありがとうございます。

おっしゃられるように「藁にもすがる思い」の方がいらっしゃるので、このような治療(?)が横行してしまうのだろうと思います。

キャッチコピーに利用されてしまう(もと)大臣も医師も嫌な思いをすると思いますが、それで不利益を被る患者さんがもっとも辛い思いをすると僕も思います。

タシグナが腎機能悪化に直結しているかはわかりませんが、一時休薬するのは女王様さんの気持ちを整理する上でも重要だと思います。
情報からは少しの休薬は問題ないと思いますし、このまま治療を無理やり続けたら「悪化」した時に医師-患者関係が壊れてしまうと思いますので。

CMLは大丈夫だと思います。悪化するならば白血球も増えているはずです。そもそもIS 0.1前後であれば1ヶ月くらいは血球数は変わらないのではないかと思います。

寒くなりましたので、風邪など気をつけてください。

また、コメントいただければと存じます
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