二次性赤血球増加症は肥満や喫煙、睡眠時無呼吸症候群など酸欠をきたす状況下に置かれた体が、「赤血球を増やせ」とシグナルを送って赤血球が増えてしまうものを言います。心疾患や肺の病気で体(というか腎臓)が酸欠を感じたら、赤血球は増えます。
そういったもの以外にも「エリスロポエチン産生腫瘍」など特殊なものもあります。
酸欠が原因のためエリスロポエチン値が正常〜上昇という状況になります。正常になるのは赤血球が増えるシグナルを常に出す必要がないからです(赤血球の寿命は120日なので)。
なぜ、あえて二次性赤血球増加症を書くかと言いますと、実際に多血症で紹介されてくる患者さんは二次性が多いからです。過去にもHb 20g/dlを超えていましたが、すごいヘビースモーカーの糖尿病の方で・・・生活習慣の改善も期待できずに瀉血をして調整していました。そのうち目安の数値を記載して、紹介元でやってもらうようにしましたが。
では、書いてみます。
Lさんはこの度赤血球が多すぎるという理由で紹介されました。血液検査では白血球は5000/µl、ヘモグロビン(Hb)は19.2 g/dl、血小板は20万/µlで赤血球が多いことだけが目立ちます。
Lさんはこの多血による症状、例えばめまいや頭痛などの症状はありましたか?
Lさん:う〜ん、頭痛はたまにあるし、めまいも立ちくらみみたいなのはたまにあるかな〜。
なるほど。前の病院の先生からは特に他の病気などは書いていないのですが、受診されたきっかけはどういったことでしょうか?
Lさん:いや。会社の健康診断で引っかかって、近くの病院に行ったら、またここに回された。
会社の健診がきっかけなんですね。他に大きな病気とか治療中の病気、薬を飲んでいるものなどありますか?
Lさん:いや、病気とは言われていないけど、健康診断では多血の他に糖と脂肪も高いと言われたかな。血圧も高めだ・・・。
(生活習慣病はチェック)
でも、お薬は飲んでいらしゃらないわけですね?
Lさん:薬は飲んでいない。体調は悪くないし。
わかりました。ありがとうございます。薬は使っていなくて、他にお酒やタバコなど、運動習慣なども伺ってもいいですか?
Lさん:酒は1日にビールで1500mlくらいかな。たまにそのあと焼酎やウイスキーも少し・・・。タバコは1箱くらい一日に吸うかな。運動はしないね。この体格だし。
わかりました。血糖値や脂質なども含めて、少し検査を行いましょう。
(検査結果が出ます)
血液の数値は先ほどの数値とほとんど変わりません。乳酸脱水素酵素(LDH)という数値は190/IU/Lと正常範囲になっていますね。おっしゃられるように血糖値も脂質も高いですね。脳梗塞などを起こしやすくしているかもしれません。
Lさん:本当かい。薬飲めばいいの?
いや、生活習慣も改善させる必要がると思いますが、それについてはせっかくなので紹介元のクリニックでやっていただきましょう。
他に多血症の原因を調べる検査を行っていますので、来週もう一度受診していただけますか?赤血球が多いと、血液がドロドロになって脳梗塞などになりやすくなります。
今日はこのままだといつ脳梗塞になってもおかしくないので、少し赤血球を抜いて薄めるような処置をしたいのですが?
Lさん:なんでもやってくれ。
(瀉血が終わり、1週間後に検査を聞きに受診されます)
先週行なった血液検査の結果が出ました。まず、エリスロポエチンという赤血球を作らせる物質は正常範囲の25mU/mlでした。ビタミンB12も正常範囲内でした。LDHが正常ということや、喫煙、肥満などの因子を考えると二次性赤血球増加症の可能性が高いと思います。
これは肥満やそれに伴う睡眠時無呼吸症候群、喫煙などの原因により「体が酸欠」を感じる機会が増えて、赤血球を増産する病気です。赤血球が増えすぎると脳梗塞などを起こしやすくなりますし、頭痛やめまいなども起きやすくなります。
Lさんは他の脳梗塞の危険因子もありますので、非常に注意する必要があります。
Lさん:どうしたら良いのだろう?
基本的には原因を減らしていくこと、必要に応じて赤血球を減らすことになります。できれば他の生活習慣病のこともありますので、肥満を改善させ、禁煙をします。運動をし、状況によっては瀉血療法を行うようにするのが良いかなと思います。
Lさん:頑張ってみます。
こんな感じでしょうか。実際に多血だけであれば、二次性多血症の方がはるかに多いと思います。ただ、二次性でも他のリスク因子もあるならば、脳梗塞など注意していただきたいなと思います。
生活習慣病や肥満、喫煙などはすぐチャックできますが、予測外だったのが標高800mの山の中に転居した方が多血症になられて紹介されてきたことがありました。そういうのもあり得ます。
ちなみに真性多血症はこちらへ「僕の赤芽球ろうの説明(患者さん向け)」
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
というか、どう読むのか… 恥ずかしい。
エリスロポエチンて測るものだったのですか。
注射を2回したことを血液内科の担当医に告げたら 数値低かったの?と聞かれて 意味がわからずにいました。
エリスロポエチンが低くないのに注射しても そりゃ変化ないわけですね。 ドーピングに使うくらいだから、てきめんにパワーが出るとか筋力やスタミナが変わるのかと期待していたので…。
10日前の採血で ISが0.07になっていました。
0.1を割った。 今までで一番低い。
すごく嬉しくて明るくなったのに 「でも腎臓が一段とひどいねえ」。 医師の曇った顔は患者の心も瞬時に暗くなります。
ついにクレアチニンが5、GFRは7。 アルブミンは3.2まで戻ってきたのですが 1週間でどんどん低下します。
もう止まらないんでしょう。
進行を止める治療もこれと言ってないようですし。
再開すると決めていたのに、もう少し休薬してみよう・年明けに2日に150を1錠からはじめよう と相成りました。
0.07なら焦ることはないよ 、というありがたい慎重な判断に頭が下がる思い+思うように治療が進まず申し訳ない気持ちで 何故かわかりませんが謝ってしまいました。
透析は ぼちぼちシャントを作って準備しなきゃならないでしょう。
でも、始まったら一生を左右することだから まだ若いし出来る限り避けたいよね、って私の気持ちや体を汲み取ってくれる担当医です。
いい先生なだけに うまく良くならないことが悔しいし済まない気持ちで一杯です。
クレアチニンを下げるには で調べると タンパク質制限に塩分制限。 充分がんばってるというのに‥
検索していくと 結局怪しいサプリのバナーが貼り付いているんですよね。
運動が必要とか 良くないとかサイトによってまちまちだったり、腎機能がみるみる改善!をクリックしたら腎臓に低周波あてる療法(笑)。
東大病院○○教授推奨 なんてあると すがりつきたくもなります。 病にもがく患者の気持ちを弄ぶような商売は やめていただきたいと真面目に憤慨します。
ISが減ったことが 唯一の希望の光となりました。
白血球が一万に上がっていましたが、カゼや気管支炎の影響ですよね多分。
血液内科はこれで年内終了。
入院しながらクリスマスや年越しを余儀なくする患者さんはたくさんいるのだから ヨシとしなければ。
2日ほど前に 巨人の菅野投手とナントカ選手が大学病院の院内学級にサンタさんに見えたそうで 写真とサインが飾ってありました。
ベイスターズ的には憎い強敵ですが‥チラッと見たかったかな(笑)。
アンフェタ先生も「お父サンタ」でおうちに帰れそうでしょうか。
家族でクリスマスできるといいですねー。
ちなみに今年の人気プレゼントは トランポリンだそうです。
私にもサンタさんが来て「健康」をプレゼントしてくれないかな? と双子座流星群にお願いしました‥。
こんばんは、コメントありがとうございます。
瀉血(しゃけつ)と言います。血を抜くわけですね。余分な血液を抜いて、血がつまらないようにする治療です。ワシントンがやりすぎて死んでしまったという話がありますが、計画的に実施します。
腎性貧血の診断は「ヘモグロビンレベル」に比較して「エリスロポエチン」値が低いことです。
まぁ、腎機能から考えれば、計るまでもなくあるだろうと判断されたのだと思います。
ISが低下しているのは良かったです。主治医の先生の仰るように、焦らずじっくりと治療していけば良いのではないでしょうか。
腎機能は確かに準備をしておく必要はあると思いますが、ギリギリまで粘るというのも考え方だと思います。そこは腎臓内科の先生の方がよくわかっていると思いますので、よく相談なさってください。
腎臓に低周波をあてたら、腎機能が良くなるなら透析する患者さんが激減して、医療費も削減できるよ・・・と突っ込みたくなりますね。本当にあくどい商売をしている人がいると思います。
今年はサンタさんができるように頑張って帰ります。サンタさんも認識されたみたいなので(笑
また、コメントいただければと存じます