未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




コロナ禍は今や、感染リスクよりも、経済に与える影響の方が深刻になりつつある。

実際にコロナと戦っている医療現場や関連企業の人々は、その悲惨さに日夜苛まれていることであろが、他の一般の人々にはその実感がない。

「感染しても、軽く済む確率の方が高そうだ。」

「どうせ何しても一定数の人は感染するし、そのうち何割かの死者が出るのは防ぎきれない。」

と、感染リスクに対する脅威は、正直な所では、

「自分が社内で一番最初に感染したら、後々面倒」との心配ぐらいだ。

その反面、休業を求められて店を閉めている人々にとって、現在の状況は深刻だし、コロナの影響で仕事が減って、減給や失業の危機に直面している人の方が、感染リスクを心配している人よりも遥かに多い。

最近の議論で主に野党から「補償をしっかりとやるべき」との声が多く聞かれる。

予算が無限にあるのであれば、高額補償を打ち出して、経済危機を逃れることは、た易い。

問題はその財源を、どこから充てるか?だ。

一般家庭であれば、緊急事態で金が必要になった場合、十分な蓄えがなければ、借金をして充てることになる。

日本に今、どれだれの蓄えがあるのか?

財務省発表の「公債残高累積」グラフを見てみよう。


蓄えどころか、日本は既に膨大な借金を抱えている。

グラフ中に「一般会計税収の約14年分に相当」との注釈がある。

年収500万円の世帯が、7,000万円の借金を抱えていることになる。

年収500万円の世帯が、一度に2軒分の住宅ローンを抱えているようなものだ。

普通に考えれば、生活出来ない。

そして、何の担保もなければ、それ以上金を貸してくれる所はない。

これは流石にヤバいので、健全な経営のために、借金を減らそうと、そう唱えて来た人も、もちろんいる。

借金を返すには、収入を増やすか、支出を減らすか、どちらかしかない。

収入を増やす施策として、過去に消費税の導入が行われた。

そしてそれは、何度かに渡って、値上げされた。

同じく「一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移」


と、消費税増税と経済的な大きな事件を並べた。上のグラフと比較してみよう。

1986年(昭和61年)12月 バブル経済始まる
1989年(平成元年) 4月 消費税法を施行。税率は3%。
1991年(平成 3年) 3月 バブル崩壊
1997年(平成 9年) 4月 消費税率を5%に引き上げ。
2008年(平成20年) 9月 リーマンショック
2011年(平成23年) 3月11日 東日本大震災発生
2014年(平成26年) 4月 消費税率を8%に引き上げ。
2019年(令和元年)10月 消費税率を10%に引き上げ。

リーマンショックや東日本大震災で新たな借金の金額が増えるのは仕方がない。

だが、消費税がUPされたタイミングで、新たな借金の金額には、あまり変わりがない。

大きな要因として、消費税アップのタイミングで実施される、各種の経過措置によるバラ撒きだ。

何のためにUPしたのか分からなくなる。

さて、何が言いたいのか。

消費税UPの度に、野党は反対を繰り返して来た。

「消費税反た~い!!」と。

そして有権者も皆、それに迎合して来た。

消費税UP=悪、消費税反対=正義

そんな図式が出来上がっている。

何のために消費税UPが必要なのか。その意味を考えて欲しい。

「消費税をUPしなくても、行政のムダをなくせばやって行ける。」

そう、野党は叫ぶ。だが、それを実行した人がいるのか。

私は橋本知事しか知らない。

ただ、与党の政策に反対を唱えるだけの野党。

そんな単純な図式で、世の中が回って来た平和な時代は、そろそろ終わりを迎えようとしている。

今回はなんとかなるかもしれない。

だが、次はない。

与党と野党がそれぞれの立場で、真剣に討議を行い、どちらがどこまで譲歩するかを決めて行く。

そんな命がけの真剣勝負とも言えるような政治を行い、国民の理解を正しく得る。

もっと借金が少なければ、今回は思い切った借金をして、早期の経済復旧が望めたであろう。

だが、今後何が起こるか分からない状況で、そこまで思い切った借金をしてしまうと、次回で日本は終わってしまうかもしれない。

消費税UPに、野党の何の策も工夫もないシュプレヒコールに侵され、ただ反対するだけの国民ばかりであれば、それは国の終わりである。

政治家には政党の垣根を越えて、真剣に日本の将来を考え、ちゃんとした判断が国民が出来るようにする義務がある。

堅牢なようで、実は経済など、簡単に崩壊してしまう。

チャップリンの映画の時代のような、世界大恐慌がやって来てから慌てても遅い。

朝の情報番組で「食べられる靴と食べられない靴の見分け方」とかが放送されるような世界。

民主主義でそれを防ぐためには、国民一人一人にも自覚と責任が必要である。

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