写真1 農協倉庫前に置かれたアゲフネ
写真2 観光用アゲフネ乗り場の近くの沼に浮かぶアゲフネ
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湛水・水害常襲地の住民は、命を守るために、田畑など財産を守るために、知恵を出し合い、育んできた。その一つ、小型舟のアゲフネ(写真1・2)を紹介する。
アゲフネは、群馬県邑楽東部地域において、かつて次のように利用されていた。
①洪水避難時に乗る。
②洪水時に米、麦など穀類や家財道具をミツカ(洪水時の避難用住宅)へ運搬
③洪水時の水貰いや水見舞いに行く際に乗る。
④冠水した稲穂を刈り取る際に乗る。
⑤沼や川で魚を獲る際に乗る。
⑥川や沼で麦や野菜の肥料用藻を刈り採る際に乗る。
アゲフネには、普通舟(長さ6.30m・巾1.02m)と幅広の馬舟(長さ6.31m・巾1.34m)の2種がある(筆者は、写真1、写真2の舟が普通舟か、馬舟か区別できない)。
アゲフネは、ふだん、母屋あるいは納屋の軒下などに縄で吊るし揚げてあった。これが呼称の由来。ヘサキ(舳先)とトモ(艫)の舟底に丸太を横にして吊るし揚げてあり、縄を切るとそのまま浮いた。あるいは、近くの川や堀、沼に浮かべ、魚獲りや藻採りに使い、水が出ると屋敷に持ってきて使った。
現在、アゲフネは谷田川で観光用に使われている。その乗り場近くの沼で、魚獲りに使われているのが写真2のアゲフネ。同型の舟は、渡良瀬遊水地(当ブログ2011年4月8日・同月15日紹介)や中川で魚獲りに使われている。
引用・参考文献:『邑楽土地改良区事業史』、40-43頁、邑楽土地改良区、昭和57年
執筆・撮影者:有馬洋太郎 撮影年月日:2007年3月24日 撮影地:群馬県板倉町