バンの交友術

　庭の向こうに広がっていた１０００坪ほどの畑に建て売り住宅がびっしり建ちました。
　景観は悪くなったけど、人気のない畑よりは防犯上良いし、風の強い日の砂埃もなくなり、まぁまぁというとこかな。
　庭に住宅背面側が接しているので、住人とは互いに顔を会わせる機会がほとんどないまま生活しています。

　「ジョン。ジョン。」
　庭でなにやら人の声がするからのぞくと、隣の中学生風の息子さんが生け垣越しにバンを呼んでました。
　バンのやつったら、ちゃっかりジョンになりきって、ニコニコしている。
　なんで違う名前呼ばれてるのに、嬉しそうにすり寄るかなー。

　先日前の奥さんに、「お宅のわんちゃんはなんて名前ですか」と聞かれてはいたけど、

　今朝、「バンくん、おはよう」だって。
　いつ仲良くなったの？
　さすが、バン。

　その家ではネコを飼っていて、洗面所の窓が定位置らしく、いつもそこからうちの庭を見下ろしています。
　それをしっぽを振りながら、バンが庭からじーっと見上げて。
　まるでロミオとジュリエット状態。
　
　バンも友達ほしいんだよね、少し、気の毒。