バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

ラッキーとバン

2016-12-06 13:18:28 | 川上犬
庭に行かなくなった。
行く必要がなくなったから。

玄関出るといつも足下を付いて歩くバンがいないから。

でも、今ここにいる、と感じることたびたび。
そんな思いをもらすと、「自分もそうだった」と多くの人が言う。

先日90歳になった義父にも聞いてみたら、父もそうだったとのこと。
父はラッキーという名前の犬をとてもかわいがっていた。父が家を空けるときは世話を頼まれた。その日の日課の散歩を終えたばかりのところに父が帰宅し、着替えもそこそこにラッキーを散歩に連れ出そうとするから、「今行ってきましたよ」と言っても、「いいんだ」と言って散歩に連れ出していた。
「ん?」って顔でこちらを見ていたラッキーのちょっと困った風な、でも「ラッキー!」と小さくガッツポーズする風な顔が忘れられない。

犬がなくなったその日に駆けつけると、「ラッキーのために弔い酒飲んで下さいよ」とおちょこ差し出された。
その後ほとんどラッキーの話をしなかったので、父がラッキーの気配を感じていたと言ったのには正直驚いたし、これまで気がつかなくて申し訳ない気持ちになった。
さらに、「近所の人も皆そう言っていた。顔をなめられたという人もいるし、家の中を歩いている音がするという人もいる」と続いた。
そうやって父が近所の人たちと、亡き犬の想い出を語っていたということを今頃知ったなんて。

たかが犬って思われるかもしれないから実家の母にも、義父にも、バンがなくなったことはすぐに言わなかった。
告げたとき帰ってきた言葉は二人とも全く同じ。
「それは淋しいな」

淋しいっていう文字は木が寄り添って泣いていると書く。
今日の強い風に揺られながら、いつもバンが根元に穴を掘ってモグラ採りに興じていた2本のコナラも、泣いている。


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