バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

小学校の文集

2017-08-15 08:49:34 | 別所温泉
 小学生の頃学校文集があった。全校生徒180人分ほどの作文を一冊にまとめたものを、年1回全員が配布された。文集名は「たけのやま」。別所温泉の象徴となっている山の名前からとっている。
 実家の今は使われていない部屋の本棚でそれを見つけた。
 表紙は子供の版画。全校生徒分の作文が、ほとんど同じ筆跡でガリ版が切られている。所々に子供が書いたと思われるイラストが入る。
 校長先生の言葉に続き、1年生から順に学年ごとに色紙中表紙が入り、目次、そして作文へと続く。記録によると昭和40年度が第5号。号を重ね、途中から先生、用務員さん、給食のおばさん、図書館のおばさんも、学校の人全員が作文を寄せている。

 2月頃だっただろうか。その年の「たけのやま」を持ち帰ると、家族全員で全ページを回し読みしたものだった。
 子供の作文だから、家族のことや家庭の様子が赤裸々に書かれている。だから大人たちも興味津々で読んだのかもしれない。どこそこのうちは旅行で海に行ってきたとか、親戚が大阪にいるとか、お父さんとお母さんがけんかした、など家庭の諸事情がよくわかる。今みたいに個人情報云々など言及する価値観はなかった時代だからできたのだろうか。
 子供ながらにこの作文を書く際は、大人が読むことを意識していた記憶がある。年間何度となく行事が終わるごとに作文を書く。その他読書感想文、生活作文、創作、詩など。これらから担任が代表作を一つ選ぶ。先生から「たけのやま」にこれを載せると発表される日をドキドキして迎えたものだった。なかには載せるために手直しさせられていた子がいたような記憶もある。

 これを作った先生方のご苦労は大層なものだったことが今ならわかる。
 丁寧な手書きで、印刷機のない時代に全校生徒180人分を手刷りし、製本したのだから。
 
 実家にあったものは兄が小1~6年生までの6冊だった。自分のはない。どこへやってしまったのだろう。
 だから自分の作文は1年生から4年生の分までしか読み直すことができない。

 まず最初に自分のを読む。次に同級生のを読む。そして次に兄のを読む。
 1,2年生の頃のは、ありのままが載せられていたように思う。3年生からは読者を意識して書いている。これを後にむさぼり読む村の大人たちの目を気にして脚色した部分がある。兄の記述は全く気取らず、別所弁丸出しの子供同士のやりとりが延々と書かれ、当時の子供の遊びがよくわかる。そんな話を兄にすると、「あれは嘘を書いただ」とこれまで封印してきたと思われる暴露話が披露された。遊んでいてニワトリの餌を決められた時間にやらなかった。しかしそのまま書くと、餌やりを忘れていたことが先生にばれて怒られるから、時間の流れを変えて書いたのだそうだ。
 そうか、兄は兄なりに読者を意識して書いていたんだ。
 多分全員がそうなんだろう。背伸びしたり、気取ったりして、変なことは書かないようにしたのだろう。
 それでも今読み返すと、当時の別所小学校の様子がまざまざと浮かび上がってくる。当時の子供たちや家庭の生活が見えてくる。

 こういう作文集はどこの小学校もやっているのだと思っていた。
 書き出しの校長先生の挨拶文によると、これは別所小学校独自のものだとわかった。

 素晴らしいものを残してくださった、当時の先生方に感謝の気持ちで一杯です。

 入学前の1967年、「たけの山」第六号、校長先生結びに言葉より。

 わたくしたちはこれをだいじに使って勉強の役にたてたり、おたがいの心の結びつきに利用してこれからもずっと続く「たけのやま」とともに、別所の名山たけの山のように、姿美しくがっちりした人になりましょう。


別所温泉、齋藤旅館にて

2015-07-25 19:08:13 | 別所温泉
 今年の高校生の信州夏合宿は、例年より早く7/21~7/24に行われた。
 関東と同じ19日に信州は梅雨明けし、夏合宿らしい青空の下、恒例のBBQや登山も予定通り行われた。選手達にとっては『大変』な日々だったかもしれないけれど、別所温泉で過ごす4日間はあっという間に終わってしまい、昨日雷雲に包まれている野田に帰ってきた。

 やっぱり信州はいい。
 軽井沢、佐久を過ぎ小諸のトンネルを抜けると右に浅間山山麓が広がり壮大な景色が広がる。左側眼下には佐久平から遠く美ヶ原やアルプスを望む。取り囲む、織りなす山々がブルーのグラデーションを重ねる。
 だから私は青が好きなんだと思う。
 バスに乗っている子ども達が小諸のトンネルを抜けた瞬間歓声を上げるかと思いきや、大概は寝ているというのだから、それは残念。
 この景色に包まれると、「ふるさとに帰ってきた!」を実感する。

 そうやって数日が瞬く間に過ぎ、帰る日がやって来た。
 こんな日の夕方は群馬や埼玉で雷雨に遭いそうだからと、少し早めに帰路についた。
 途中東御のSAに寄りお土産を買い、長門牧場のソフトクリームを食べていて気づいた。

 「忘れ物した!」
 ここまで来て戻るか。しばらく逡巡した挙げ句引き返すことにした。一つ先の小諸ICで降り、小諸ICですぐさま乗り、「帰ってきたぞー」を思わせる景色を複雑な気持ちで堪能し、このまま野田に戻るのをやめて別所の人になってしまおうかという気に少しなりながら上田を目指した。
 
 誰もいない実家に入り、忘れ物をバッグに収め、せっかくここまで戻って来たのだからやり忘れたことを一つ済ませようと思った。
 それは高校生達が合宿中お世話になった齋藤旅館に挨拶すること。
 今回は期間中一度も顔を出していない。
 合宿最終日の晩、女将さんが30回目の合宿を記念して選手みんなにケーキをプレゼントしてくれたというのだから、格別な取り計らいにお礼を言わずに帰ってしまったことを後悔していた。
 こうやって戻ってきたのは何かのご縁かと齋藤旅館に向かった。
 高校生が立った後の宿は、次の客を迎える前で静まりかえっていた。きれいに掃き清められた玄関が開け放たれていたので、正面から声をかけるとあいにく女将は留守だったが旦那さんに挨拶することができた。

 別所温泉は信州最古の温泉地で、歴史的建造物に囲まれた由緒ある温泉地である。そこの旅館が高校生の合宿に部屋を提供するなんて、当初はどこも引き受け手がなかった。
 ただ一つ齋藤旅館だけが受け入れてくれた。
 そうして続いたこの30年(正確には29年)。
 旅館入り口に「西武台千葉バドミントン部ご一行様」と看板が立つと、それは地元の風物詩になっているらしい。

 何事も続けることはたいしたもんです。
 お互い元気で、また来年よろしくお願いします。



美味だれ考

2013-01-09 09:01:51 | 別所温泉
 別所温泉に「はっちゃん」という美味しい焼き鳥屋があった。
 結婚当初,帰省すると父が連れて行ってくれた。そして出前をとったりした。
 ここで軟骨の味を覚えた。
 タレが絶品。醤油ベースの味付けでニンニクが強い。
 食べ過ぎると翌日胃が痛む。それくらいニンニクが強い。
 
 長野合宿で焼き肉のタレを自作した。
 はっちゃんの焼き鳥のタレを真似してつくった。一般的な材料に加え、ニンニクの他すりおろしたリンゴを大量に入れた、鍋一杯つくった。
 このタレは好評で、参加した保護者からは,肉がおいしかったではなく、「タレがおいしかった」と言われた。

 年月が経ち,はっちゃんは廃業し、あの味を楽しむことはできなくなっていたが、先日「美味(おい)だれ」なる上田産の焼き鳥のタレを発見。焼き鳥屋 鳥幸の味とある。別所温泉のあいそめの湯前のコンビニのレジ横にあった。その濁り具合、沈殿物の様子からして、はっちゃんの味再現の予感。荷物になるから帰りに上田駅で購入することにしたが、肝心の駅周辺ではどこにも売っていない。観光案内所で聞いても、売店でも「何のことだかわからない」と言われる。
 
 その日は、チャーとはっちゃんの焼き鳥を食べる気になっていたので、帰宅後すぐにタレを自作した。
 ちょっと違う。コクが足りない。リンゴが少なかったと思われる。ニンニク多すぎたらしく、少し胃が痛む。

 次の別所行きで例のコンビニで「美味だれ」を即ゲット。
 一ビンにフルーツが三分の二入っているとのこと。確かに原材料として「リンゴ、バナナ,桃、巨峰」とある。長野らしい。バナナは意外。
 焼き上げた鶏肉にかける。野菜にもかける。さすがに美味い!でもちょっと違う。はっちゃんの味ではない。
 
 「美味だれ」というのは、美味しい、好みに応じて後からタレを追いダレする、上田の方言で仲間内で親しみを込めて使う愛称である「おいだれ」の三つを掛けてネーミングしたとのこと。そして、ここが重要。タレの味は店によって異なる。
 だからこれは鳥幸の味で、はっちゃんの味ではない。

 では、はっちゃんの味とどこが違う?そう考えると,たいして違わない気もする。さらに、はっちゃんのタレの味を正確に思い出すことはできないことにも気づく。
 このタレは十分に美味しい。でも少し違う。
 
 父がいるかどうか、そこなんだろうか。



 

「芸人の対話」

2012-05-07 07:06:51 | 別所温泉
 連休は別所温泉へ。
 ギャラリー輝で店番していると、フラリと入ってきた観光客。
 「すっごーい。この絵はあなたが?」父の作品だと告げると、「そうよねー。若い人には描けないわよね。」
 若い人ってフレーズに気を良くして、その言葉流してしまったけど、盛んに感激していた作品は、父が30代の頃のもの。
 この色、構図、表情。最も好きな作品の一つ。タイトルは「芸人の対話」。
 色が踊っている、走っている。色どうしが、そして作者と色が対話している。
 この激しさは若さならでは。
 「癒されるー」って感動しきりだったから、観光客の女性には余計なこと言わずゆっくり見ていただいた。
 「この絵は売らないの?」とか「そうよねー。1点ものだから、手放さないわよね。」「こんな大きい絵は、普通の家じゃ飾れないわよね。」などと一方的に結論出して帰っていった。
 一般的に、写真みたいな絵を「うまい」と言う人多い。でもさ、写真みたいに描くなら写真でいいわけじゃん。なのに、なぜわざわざ絵にするかなー。って,絵は人それぞれだから、他人の価値観を批判してはいけない。自分の感動をどう表現するかであって、表現方法はそれぞれというわけ。また感動の視点もそれぞれっていうわけ。
 先日柏の展覧会にフラリと入ってきてアドバイスを残していった、高名なルンペン先生。その先生の言葉に触発されたけど、でも何かしっくり来ないものがあった。
 やっぱり父の絵を見に帰ってよかった。
 
 

 
 「芸人の対話」 F120

あいそめの湯の良さ発見

2011-05-10 06:54:24 | 別所温泉
 連休中の温泉は毎日「あいそめの湯」だった。いつもなら朝は大湯、昼間はうつくしの湯とかささらの湯に足を伸ばしたりするけど、一日盛りだくさんで動きあれもこれもと要件片付け気づくと夜7時を回っている。あいそめの湯なら歩いて1、2分程度。こうなると家風呂感覚でフラッと行けるからね。それだけではなく、別所温泉出身者としてはこの施設なんとかすべし、との使命感があったから、今回は徹底的に通おうと思っていた。
 あいそめの湯は入館料500円。岩盤浴は追加料金で500円。500円という設定は高くはないけど安くもない。温泉は本物。湯は入り放題で一日過ごせるのなら500円は安い。浴槽は浴場内に大きなのが一つ、露天に一つあるのみでサウナとか寝湯等いろいろな湯はない。ただつかるだけ。休憩用の大広間はあるけど、食堂がない。食事は持ち込みか出前をとることになっている。マッサージも1000円カットもない。一日過ごすには時間をもてあます、特に子どもは。風呂に入るだけで利用するとなると500円は少し抵抗ある価格設定かもしれない。だからいつもすいている。すいているのは利用する側にとっては良いことなんだけど、こんなんで大丈夫か?っていつも心配してしまうのです。
 そんな意気込みで毎晩通ったけど、今回は毎日混んでいた。脱衣かごが足りなくなる日もあった。こうなると勝手なもので、すいている方がいいじゃんとなるのです。
 脱衣場でドライヤーを使った後床にモップをかける人を目撃。一人ではない。次ぎの人も、その次の人もそうしている。こういう光景はスポーツジムではあるけど、日帰り温泉で見たことはなかった。自分もそうしようと思っていると、掃除の人が回って来てさっと片付けていった。ここはこうやって掃除が徹底している。同じ人が短時間に何度も回ってきた。延々に随所掃除し続けているのでしょう。髪1本落ちていない。だから利用者も落とさないという好循環ができていると見た。夜は10時までだけど、9時過ぎた頃には休憩所を利用する人はポツンポツンと数人しかいない。そこで今回目撃したのは、中年女性がテーブルに書類広げて仕事している姿。これと同じ光景は、千歳烏山の喫茶店で見た。テーブルに書類を広げ、コーヒー1杯で黙々と持ち帰った風の仕事していた。私だったらさっさと家に帰ってやるなと思うけど、この人にとっては適度な人の気配や音楽が心地よいのかもしれない。それと同じ空気がこの休憩所にあった。仕事に疲れたらまた温泉につかればいいわけで、これはありかもしれない。
 温泉には上がり湯の横に飲用泉の蛇口がある。これも今まで見た事無い光景なんだけど、大きなペットボトルにここで湯を詰めている人がいた。一人で数本いれていたり、行列になったりしていた。ささらの湯ではよく見た光景なんだけど、なぜか別所温泉ではあまり見なかった。あれだけ汲んで持ち帰って家でどう使うのか。洗顔用かそれとも湯船に足すのかな?お湯を入れているおばあさんに聞いてみた。「飲むんだよ。ここのは血糖値が下がるって評判だから。」
 これですっきりした。何もないけどそれで良い、というよりその方がかえって良いということがわかってきた。気の効いたレジャーてんこもりではないけど、ここには本物の温泉がある。そして集中できる空間がある。居住まいを正したくなる清潔な環境がある。

自分の生家を訪れる

2011-05-09 09:44:47 | 別所温泉
 再び、ゴールデンウィーク中の話へ。
 次ぎは自分の生家、北向観音近くの「アースワークスギャラリー」を訪れる。ここはアメリカからやって来たロベルトさんとルミさんがやっている陶器と織物のギャラリー。2階では企画展、木のおもちゃ展をやっていた。
 家の前から温泉街へ続く坂道を若い男女が前を歩いている。追い抜けそうで抜かせない速さなので、ずっと後をつける形で歩く。目指すアースワークスまで来て、ハイさよならだねって思ったら、女性の方が「ちょっとここ入って見ない?」って二人はそのまま店内へ。続いて入るからまるで3人連れ。店内でロベルトさんに挨拶するとすぐルミさんがやって来て、「2階見たいでしょ、どうぞどうぞ。」以前こちらがオープンした時に2階を見たいと申し出たら、今片付け中なので企画展の時に来て下さいとのことだった。あれから数年。覚えてらしたのですね。ワクワク感はどんどん高まる。二階へ上がる階段。エー、こんなに小さかった!ここでは兄と飛び降りて遊んだ。下に布団を重ねて思いっきりよく飛び降りた。最上段はさすがに恐くてできなかったけど、上から2段目まで挑戦した。踏み外しそうなくらい幅の狭い階段を上ると、板の間と畳の間が広がった。手前の板の間は寝室としていた。奥の畳の間は、北側半分くらいは畳を上げて父はアトリエにしていた。後から追いかけて来たルミさんは、「この疂上げたら床に絵の具がビッシリついていてビックリしたんですよ。」って最初訪れた時と同じ説明。「最初は子どものいたずらかと思ったけど、この絵の具のつき方は本物の画家だろうと思ったのですよ。」とのこと。ここで200号の作品を描いていたという事実。母曰く、引っ越す時困ったなと思ったけど、上に畳乗せてそのまま出て来てしまったとのこと。ロベルトさんの前に牛乳屋さんが借りていたから、床はそのままだったということですね。今も疂の下には今も絵の具があるのだろうか。この辺の確認は次回ということで。
 1階に戻ると次ぎはロベルトさんが店内の説明をしてくれた。「昔はここは2世帯で使っていたからいろりの後が二つあるんですね。」そうだ、疎開時で何世帯かが一緒に住んでいたことがあるって言っていたから、その時のことだ。この一階で雑貨屋をやっていた。近所の放し飼いの犬が、毎日かりん糖をもらいに入ってきた。
帰り際にロベルトさんから「おにいさんによろしく」って、家に戻りそのまま兄に伝えると「俺も家見て来る」ってすぐ家を飛び出した。別々に立て続けにやって来る兄妹って変な感じじゃない?戻って来た兄にどうだったと聞くと、「二階の部屋でゴロンて寝ころんできた。」

     

武石余里の花桃

2011-05-07 07:42:57 | 別所温泉
「生家を見てみたい」って母が言うから、また野倉のパニへ行く。パニへのアクセスは店下に車を置き山肌アプローチを歩いて登る。「あたし、無理」と急坂を見ただけで母は却下。一本上の道に車で回り、夫婦道祖神前で記念撮影。元々上側から出入りしていたという生家をチラ見。当時の面影はなかったのか、いつもならどんな些細なことにもベラベラ解説つけるのに、ここで特にコメント無し。ここは通過し、「世界で一番美しい10日間」を迎えている武石余里の花桃を見にいくことにした。GW中だし、相当混んでいるのではないかと思う。本来混むとわかっているところにわざわざ行く気にはならないのだけど、国体強化練習で通ったあの体育館、あの風景の元にもう一度入りたいという強い気持ちが、「皆が行く」とか「混む」というマイナスキーワードを押しのけていた。
 道中全く混んでいない。途中武石体育館に立ち寄った。管理人さんに、おかげさまで国体4位になりましたと報告を兼ねてご挨拶をと思ったけど、休館日。駐車場下の川は相変わらずキャンプの人々でにぎわっていた。犬も人も川で遊んでいたあの夏の日の喧噪が蘇る。
 武石体育館下の、私的にはパワースポットである神社を右手に坂をズンズン上ると余里に到着。まだ満車じゃないし、車でもその先までいかれそうなのでとりあえず行かれるところまで進むことにした。道路左手奥に桃街道になっているあぜ道が見える。あの下歩いてみたいね。途中画家のO井さんに会う。富山から来た親戚を連れて来たのだと言う。余里の花桃は、一人のおじいさんがコツコツ苗木を植えてこれまでになったのだそうです。山間の集落をピンクや白の花が包むその様は、まさに桃源郷。実は、国体練習中に体育館を抜け出して余里を偵察に来ていた。8月だったので木は一面緑で、どれが花桃なのかはわからなかった。この村がピンクに包まれている様を想像してみた。でもジリジリと肌を焼く陽射しの中、花桃はイメージできなかった。こうだったんだ。車道に沿って花街道ができているというのではなく、村全体が花桃で包まれている。山の斜面も、民家の庭先も、畑にも。一番上の茶屋を目指して皆はポチポチ歩いている。その脇をゆっくり車で上る。茶屋も車が止められる。駐車場はどこも無料。GW中は村人総出で観光客を迎え入れている風で、売店や誘導のおじさん、おばさんも、高校生らしき娘さんも、田んぼ仕事から抜け出してきているって感じがいいね。このあとそば屋に行く予定だから今食べない方がいいというのに、「あたしお腹すいちゃった」って母は焼き鳥2本食す。売店ではエリンギ詰め放題やっていて、中高年の女性が取り巻いていた。桃苗を買おうか迷いに迷ったけど、庭は木で一杯なのでとりあえず断念。桃源郷の全体図が把握できたので、やはりもっとも歩きたいと思ったあぜ道に近い第一駐車場に戻った。途中、絵を描いているO井さんとすれ違う。足下で蛙が鳴いている。懐かしい。水を張った田んぼに蛙の卵があった。花街道はいろんな世代の人がいた。風が強い。こんな風景、これ以上何を述べよう。だから写真を載せます。

 
 
 

 

櫻井穂光庵を訪れる

2011-05-06 08:01:07 | 別所温泉
 別所温泉の水墨画ギャラリー「櫻井穂光庵」を訪れた時は午後3時近かった。あいにくの留守。しかし玄関先に「少し出かけています。連絡下さい。」と携帯番号が書かれていた。明日出直そうかと思いながら電話すると、こちらの要件を言う間もなく「今すぐ行きますからそこで待っててね。」しばらくすると、橋の向こうから和服姿の女性、穂光さんが、手を振りながら駆け下りて来た。どうぞどうぞと言われるままに中に入る。入口カウンターに乗せてある、先客の代金が置かれたままのトレーに、拝観料300円を置く。
 こちらは民家をギャラリーに改築して2009年にオープンした。第1、2土日の10時~5時開館。開館時は庭の赤い蛇の目傘を目印にして下さいとのことです。水墨画のようなモノトーンな外観に、朱の傘が添えられ、立体水墨画のような仕上がりになっている。なんとも羨ましいことに、脇を流れる産川の流水音BGM付き。この川には温泉が流れているから湯気が立ち込めることもあるので、これら自然が憎い演出をしてくれるのでしょう。民家は宮大工の西島敏雄さんの手による物なので、かなりしっかりした作りらしい。
 水墨画には明るくないと言い訳しながら展示室に入った。穂光さんは気さくな方で、初対面なのにずっと前から知り合いかのように接してくれる。おかげさまで、こういったギャラリーにありがちな静寂や緊張感はなく、リラックスした雰囲気の中作品鑑賞とおしゃべりを楽しめた。隣室に招かれお茶をごちそうになった。ソファで隣に腰掛け、ここでもおしゃべりが続く。これを機会に水墨画について勉強してから再度鑑賞したいと思います。しかしこの世界はよくわからないなりにも感じるのは、水墨画の画面構成には、その緊張感と間の取り方には、日本家屋にも通ずる日本人の原風景があるのだなということ。そして何よりこちらのギャラリーには、穂光さんとのおしゃべりという癒しの時があるということ。
 油絵と水墨画のコラボが実現したらおもしろいかも、とふと思う。

 
 
 
 開館はこの蛇の目傘が目印になります。
 
 
 
 
 櫻井穂光さん 

別所温泉を散策する 野倉のパニへ

2011-05-05 20:58:35 | 別所温泉
 ゴールデンウィークは別所温泉やその界隈の魅力再発見ウィークとなったのです。ウィークとはいっても1週間滞在できたわけではないけれど、いつになく盛りだくさんにいろいろなことができた数日間。
 この数日間滞在の第一目的は納戸の片付け。これは捨てられないと母が詰め込んだ30年分くらいのごったくの山。足下に物を置くからそれ以上中へ行かれなくなり、そうやって扉さえ開けないまま、見るのが怖い状態の空間。ここを大掃除すべし!と先週末に決意し、そして今週実行というわけ。
 本人じゃ捨てられないから、私が捨てる。惜しげもなく容赦なく捨てる。足下の物をポンポン外に放り投げると、兄が分別し軽トラに乗せる。母は遠目に見ながら、あーでもない、こーでもないとしゃべり通しだけど、おかまいなしにクモの巣を払いながら徐々に奥へと進むと、そこはゴッタクの山ではなかった。箱から出してもいない和食器の数々。これは後ほど大切に使うとして、何より大発見だったのは、確か私が高校生の時に父が買ったコーヒーミル。あの頃父は急にコーヒー通になった。格好から入った父はコーヒー関係の物をいろいろ買いそろえた。さらにはコーヒーを気取って飲むための応接セットも買った。しかしこのコーヒーミルは使いにくいとかで数回使ったまま、納戸に放り込まれていたんだー。もう一つの発見は、鰹節削り。いつの時代の物なのか、これは今どこにも売っていないでしょ。カンナの歯がいたんでいるけど、ここを取り替えれば使えそうなのでこの2点はゲット。とりあえずお宝を手に入れ気をよくし、そのまま勢いで片付けを終え、予定より早く任務終了となりました。家の中に片付いていいない空間があると運気を落とすよ、という私のさりげない一言に大いにやる気を出したスピリチュアルな兄の片付けパワーがズンズン上がって来たので、そのスキにスルリと抜け出し次ぎなる目的にダッシュで車を走らせるのでした。
 次ぎは何をすべしかって、それは別所温泉の気になるところチェック。
 野倉まで一気に車を走らせる。最近評判のレストランを拝見するために。上田では口コミNo.1。野倉はへんぴなところなんだけど、鶴瓶の旅番組に取り上げられてからというもの人気急沸騰。確かにいつも見る光景と違い、観光客風の人がそこここを散策している。夫婦道祖神があるから元々観光客が立ち寄る場所ではあったけど、これまではとりあえず見学するという物見遊山の中高年が訪れる場所的だったのに、今回は違う。この土地の散策を満喫している風の人たち。テレビの力ってすごいね。さて目指す口コミレストラン、パニはどうなったかというと。木の扉を開けると、中はほぼ満席。背中がくっつきそうなくらい狭い空間に、この土地の人じゃない風の人がコーヒーを飲んでいた。ちょ 以前こちらの店主はパンを焼いていた。このパンはとにかく美味しかった。石焼風の堅焼きで、中身がギュッとしまっていた。薄くスライスしてトーストすると最高だった。これと同じものはどこのパン屋捜してもないし、もう二度とあの味には出会えないと思っていた。今回は様子を見るだけで、今度すいている時にパン食べに来よう。このレストランは母の生家だということもあり、風がない日を選んでみんな連れて来てテラスで食事しましょう。予約はできないってことなんで、混んでいたらのんびり外で待つということですね。
 そのまま野倉を車でサーッと下り、次に目指したのは別所温泉の水墨画ギャラリー。以前から一度入ってみたいと思っていた。
 水墨画ギャラリーのお話は次回ということで。

元旦を満喫

2011-01-03 00:13:33 | 別所温泉
 元旦、10時頃家を出てまずは別所神社へ行く。この神社は縁結びの神様とのことでその手のおみくじとかお守りが並べられていたけど,この筋は今のところとんと感心ないので、お神酒をいただき,無料の絵馬にメッセージを書き込むまでにしておいた。ここの舞台からの眺めは最高。景色を切りとった絵のよう。できることなら近くの木がなければ、浅間や烏帽子岳まで見渡せるのだけど、眺望のために不自然に木に手をいれないのはそれはそれで良いことでしょう。別所神社をでて保育園前を通り北向観音へ。石段入口でスッと自然な形で参拝の行列に合流してしまったけど、石段を下りてからお賽銭あげるまでに30分はかかった。こうやって並んで待たされるからこそご利益があるっていうのかもしれない。参道は一方通行にしているから道幅一杯に広がって無秩序にぎゅう詰めに並びがちなのに、道幅の半分を通路として空け横4人に整然と並ぶこの様は,ド日本人な長野県人なのです。さてそうやって参拝を終え,行列を逆流する形で戻ると、やはりどこまでも横4人を守って延々と続いている。元旦とはいえ午前10時頃でこんなに行列できるのはめずらしいですね。これまともに下から並んでいたら参拝に2時間かかったことでしょう。
 参拝後に近くの温泉「大師湯」に飛び入り入湯しようかと一瞬迷うが,ここで湯にはいるとさすがに湯冷めしそうなのでを一旦帰宅。午後2時に開く「あいそめの湯」へ行くことにした。元旦なのにすいてる。休憩所もガラガラ。元旦の温泉に人が少ないって意外なこの状況、すっごいラッキー。外は参拝客の車の列が延々と続き,駐車場は満車状態。これじゃ参拝することも温泉入ることもできず、とりあえず皆さん車中監禁状態ということなのですね。この上ないゆったりを満喫できた2011年元旦。