昨晩の連絡によると、
「雪、1メートルくらい積もってて駐車場の車埋もれてて出せない!」
そうです。今日はどんな状況なんでしょうか?
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「海鮮問屋 海勝丸」本日のメニューは、蟹お任せコース
お通しを運んできた、いつも娘がお世話になっているという女性にご挨拶。
店長は他の店で急に人手が足りなくなってそちらに応援にいっているとのことで、会えず残念。さっき通ったアーケード街にあった店かな?
注文した飲み物を運んできた女性は、
「うちの子も遠くに行っていて何もしてあげられないから、うちの娘の代わりのつもりで見ているのですよ」
ありがたいです。こうして遠方で暮らす娘のことを自分の子と思って接してくれる人がいるということ。
娘は3月に鳥取生活を始めた。
鳥取には何の地縁もない。島根と鳥取の位置関係すらあやふやで、鳥取に関しては日本で一番人口が少ないとか、日照時間が短いなどというネガティブな数値データがあるのみ。
そこへ、「鳥取城跡はいのしし出たりするんだって」という生情報入ったために、娘が早朝1人でランニングしていて、久松山公園でイノシシに襲われ!? なんてイメージが定着してしまった。
だから娘に電話が1日通じない暁には、「イノシシ遭難」的画像が払拭できなかった。
しかし自分の目でこの地を見て、歩いて、さらにこうして人の情を直接知ることにより、あやふやなイメージは具体性をもって描き替えられ、安心は大きく膨らんでいった。
自分の子のつもりで面倒を見る、こういう思いは循環させるもの。
バネやαクラブの子ども達に、我が子と思い接している(つもり)日常を振り返る。
とともに、もっとあの子達にやってあげることあるよねと自分にたたみかける。
蟹で始まる。
蟹のお通し、蟹味噌、蟹刺し、蟹鍋。
でも残念なのは、料理の写真を撮り忘れたってこと。
正確に言うと、忘れたのではなく、撮らなかったということ。
食事の写真撮るのって、なんか「これ載せちゃいマッセ!」ってSNS女子風だし、お店の人や同席の人へのアピールプンプンだから、あえてやる時もあれば、あえてやらないときもある。
稀勢の里が横綱就任挨拶で四字熟語を言わなかった様に、行いに意気を込めて、当たり前と思われていることを当たり前にしない。そんな気分もあり、今回はあえて撮らなかった。
しかしそれがいけない。
前半料理の写真が残っていないので、実のところ何を食べたかあまり記憶にないというのが今となっては非情に残念。
夫に聞いても同じ状況。
結局は人の記憶って、何かに残されて定着していくんだよね。
コース中盤だっただろうか、
「ジャーン」(実際は効果音も、声もないけど)
と登場したのは ゆで松葉ガニ。
「こちらになります。これから食べやすく調理してきますね」
先ほどこれから調理すると披露されたその松葉ガニが、めでたく登場。
ゆで蟹。
これはコース追加メニューだったそうで、よくわからないまま一つでいいの? と事前に確認されていたけど、テーブルに置かれると、これは人数分あった方が良かったかも、と一瞬思った。
皆無言になって蟹ホジホジに夢中になるというけど、適宜食べやすくハサミが入っているからスルスルいけちゃう。
食べやすい。香り、食感、グルメ人でないわたしには、この味を表現するボキャブラがないから、何も言えない。ということで、皆何も言わないまま食す。
食べ終わるタイミングでお店の方が、地元では蟹味噌が少し残る甲羅に熱燗を注いで飲む方法があるけど、「どうしますか」と聞いてきた。
「飲みます、飲みます」
と夫は身を乗り出す。
いつか蟹をもらうことがあったら、これはうちでも再現してみよう。
「もうこれ以上たべられまへーん」て後ろにひっくり返るくらいカニをほおばってみたかったというイメージ通りに胃袋は働いてくれず、ほおばる前に満腹サインが出始めてしまっている。
また、おしゃべりも一段落したので、やっぱりここは写真撮っておこうと思い直す。
だから後半の料理は記録がある。
ゆで蟹は「1人一つで良かったんじゃない?」と先ほど公言したのに対し、同席の皆から
「さっきあれだけ豪語してたのに、もうお腹いっぱいなの?」
少し食休みにと席を外し、店内の水槽で泳ぐ魚と遊んだ。
水槽に指を付けるとツーと近づいてくる。指を動かすとツーと追いかけてくる。
何度か繰り返し遊んで、トイレに行き、トイレ後に水槽の前に立つと顔を覚えられたのか指を出さないのに、ツーと近づいてきた。
この子、意思がある。
部屋に戻り続く蟹料理
蟹の天ぷら。
蟹どんぶり。
ではそろそろ会計をと思うと、
「これ」
と娘から差し出されたのは、わたしへの誕生日プレゼントだった。
えー、サプライズー!
会社の上司に母親の誕生日プレゼント口紅送りたいけどどこのがいいですかねとアドバイス求めると、
「それは、エスティローダーよ」
大丸百貨店で、
「おばさんだったらどんな色がいいですか」
と聞くと
「でしたらこちらの番号が人気です」
わたしも母親に誕生日プレゼントで口紅送ったことがある。母は滅多に化粧しない人だからということもあるけど、大事に使ったのだろう、何年も使っていた。
せっかく買ってもらったものを大事にし過ぎて仕舞いこまわないようにという気持ちを込め、まずその場で付けてみた。
一同が
「いい色じゃん」
おばさん向きだという色を一同に「いい色」と言われ納得するとともに少々複雑な気持ち。
盛り上がったところで、さらにホールケーキも登場。
お店の方が、一番人気のケーキ屋さんに注文しておいてくれたとのこと。
帰り際に水槽をツンツンして、店を出る。
旅館に戻り、就寝前に大浴場へ行く。
誰も入っていない。
こちらも結局は貸し切り状態。高速バスで眠れぬ夜を過ごしたから今日はぐっすり眠れるなと思いながら、カニのこと、ケーキやプレゼントのことを浴槽で思い返した。
脱衣所を出た大浴場休憩所にスタッフの女性がいた。先ほどはここには誰もいなかったようだったが、静かなたたずまいの人だから入る時気がつかなかったのか。湯上がりによく冷えたレモン水をいただいた。
部屋に戻ると、夫はテレビのリモコン握りしめたまま寝ていた。
まだ明日の予定決めていない。帰りの飛行機は18時過ぎだから、明日は一日たっぷり時間がある。
倉吉に行こうかという意見が上がっていたからHPで倉吉情報収集。
観光ボランティア申し込めば、ガイド付き散策コースで楽しめるというのは分かったけど、申し込みは1週間前までにとのことだから、これは却下ですね。
そこからの記憶はない。
わたしも布団に潜り込んだらいつの間にか寝て、いつの間にか朝になっていた。
朝風呂に入り、早めの朝食をとり、宿をチェックアウト。
旅館前の駐車場には、隣に「野田」ナンバーの車が止まっていた。
いつも見ているナンバーだから当たり前過ぎてスルーしそうになる。しかし、よく考えると「ん?!」でしょ。わざわざ野田から蟹食べに来た人かな。それも車で。知っている人かな。
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さてここから我々一行は一路倉吉を目指す。
今回の蟹取県紀行、どうしても記録に残したいと思ったのは倉吉でのできごとがあったから。
鳥取から帰ってきて数ヶ月経つ今もジワンジワンと感動が止まらず、誰かに言いたくて仕方ないできごと。これを書くのが今回の究極の目的なんです。