バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

二つ目の扉を開ける

2017-03-26 15:57:56 | ライフスタイル
 汚れさんの聖地、換気扇の開かずの扉を開け奥に足を踏み入れ(実際は手だけど),格闘し,ある程度制覇できたと豪語する。この勢いのまま、わたしはもう一つの開かずの扉に手をかけた。

 それは、床下。

 シロアリ検査っていうのは何かと怪しいという情報ばかりが先行し、実のところ一度も受けていなかった。
 築20年の我が家。
 いろいろネットで調べると,新築5年目に点検受けて,予防手当して、その後5年ごとに検査、予防していくのが普通(真偽はわからないが)だとのこと。
 うーん。まずい。もう20年経つのに,何もしていない。

 まずいと思い始めると,全ての現象がシロアリ被害に結びついてしまう。最近床鳴るんだよねとか、庭の木枯れたんだよねとか、引き戸に少し隙間できたんだよね、など。
 とりあえずキッチンの床下収納庫から床下覗く。目に見える範囲にアリの被害は見当たらない。さりとて這いつくばって床下に潜り込むほどの気概はない。どうしたもんかと懐中電灯で見える範囲を照らし凝視すると、なにやら下地の立ち上がり部分に砂の盛り上がりに見える箇所がいくつかある。
 蟻塚?!

 すぐに無料点検業者に連絡する。今は点検が混み合っているとかで、点検予約取れたのは2週間先。

 この2週間は長い。ただじっと待つ間にシロアリが活発に動き出し,柱に入り込み……と床下世界の映像がどんどん頭に流し込まれてくる。
 待ってらんない。
 被害にはできるだけ早く対応したい。こうしているうちにもアリ共が柱を食べているかもしれない。もし何も被害がないというのなら(そうあってほしいんだけど)、そういう安心情報を一刻も早く得たい。
 というわけで別の業者探すと2日後に来てくれることになった。

 業者到着を今や遅しと玄関先で待ち受けると、車から降りてきた職人さんは
「こちら、前にも来たことありますか?」
「いいえ、始めてお願いしましたよ」
 デジャビュなんじゃね? それとも元バネ生か? 体験授業来たとか,検定だけ受けに来たとか? そう言われて職人さんの顔をのぞき込むと,どこかで見たことある様な気がしてきた。

 早速点検開始。
 
 医者に検査結果聞くときに、なんでもないんでしょって安易な気持ちで医者の前に座ったときに限って、「実は……」と後頭部打ちのめされるような話をされるのだから、こういう時は最悪の事態まで想定しておいた方がいいのですよ。
 その最悪事態を事前にネットで調べ,そのための対応策を吟味し、万が一の場合の必要額を算段し、調べるほどに費用の許容高がどんどん頭の中で上昇し……。
 でも,希望的観測によると何もないって可能性がなきにしもあらず。

 医者は検査結果を「うーん」としかめっ面で眺めた上でもったいぶったように「何もないですよ。全く健康です」ということが多い。何もないなら何もないで、診察室の扉開けて入った瞬間に,検査結果の紙ヒラヒラさせて「だいじょうぶだよー」とか明るく言ってくれればいいのに、といつも思う。
 この職人さんは違う。心配度200%くらいのわたしの気持ちにより添ったのか,床下から這い上がる前に大きな声で伝えてきた。

「奥さーん、シロアリ大丈夫ですよー。被害ありませんよ」

 これが人の気だと思う。

 今回は見積もりまで。
 職人さんが「この家の図面ありますか?」って聞いてきた。
 久しぶりに家関係の書類引っ張り出すと、設計士さんと打ち合わせするために方眼紙に書き込んだ,手書きのイラストチックな図案がたくさん出てきた。
 犬が自由に走れる土間作りたい。玄関いらない。庭のどこからでも土間を使って自由に家に入れるようにしたいって言ったら、「そんな家は寒くてだめだ」と設計士さんに却下されたっけ。こんな家にしたいと線を引いた後がたくさん出てきた。

 家、大事にしよう。

職人さんとハイタッチ

2017-03-25 18:21:49 | ライフスタイル
チアフル鳥取チームが筑波での練習会宿舎として、うちにやって来た。
 ひと呼んでこれぞ、「チアフル野田合宿」

 二階に下宿人いた時代のベッドがあるから寝泊まりはなんとかなる。
 でもって、各ベッドサイドにスマホ充電用のコンセントあった方がいいよねって、コンセント確認するためにゴミ箱とその後ろのタンスをどかしてみると。

 焦げてる!!

 これだったんだ!

 いつもチャーが二階でパソコンカチャカチャやっていると、なんか変な臭いがしていた。どんな臭いかというと、強いているなら「さきイカ臭」。いつでもするわけじゃない。すごく臭う日もあれば、まったく臭わない日もある。臭う日の相関関係は足下のヒーターのような気がする。ヒーター付けると臭う。でもヒーターから臭うわけではない。
 鼻クンクンさせて臭いの元を探ると、ゴミ箱の辺りが怪しい。しかし中確認してもそれらしき物はない。
 なんなんだろ、これ、ってずーっと思ってきた。

 それがこれだったんだ!

 危なく発火するところだった。

 ヒーター付けると臭いって、本来コンセント確認すべきだよね。
 でもどうしたわけか全くそういう発想にならず、別のところから偶然発見に至るんだから。

 すぐに電気屋さん呼んでコンセント直してもらい事なきを得た。

「他にどこか調子悪いところありますか?」
 せっかく電気屋さんに来てもらったんだから、この際だから昨年あたりから点灯しなくなったキッチン換気扇ライトについて相談すると、

 換気扇電気パネルを外し確認。原因発見できず更にその先のパネル外し懐中電灯で照らした。
 おじさんが外したそこは開けてはいけない扉だった。だってこれまで一度も外したことも,もちろん洗ったこともない,うちの汚れの最深部なんだから。

 相当の汚れのはずなのに、そんな汚れに言及することなく,電気屋さんは
「あー、ソケットだ」
 ソケットが原因だとのこと。
「ソケットがだめなんだよ。大変だな。どうするかな。」
 独り言なのか、こちらへの説明なのかソケットを繰り返すから、
「ソケットですか……」と応答しながら即座にスマホで「ソケット」を調べる。
ソケットってここの部分か。

 電気屋さんが「大変だ」と言った時点で「新しいのか買うからいいです」って引き下がったのに、電気屋さんは引き下がらない。
「うーん、うーん」と言いながら,ここで終わりにしたくないらしい。
「ブレーカーどこ?」
電気屋さんはブレーカーを何の躊躇なくバチッとあげたから、パソコン,Wi-Fiともに電源落ちた。確かバネにつながるWi-Fiって、一旦電源落ちると正しい順でつなげるの面倒なんだよね。つなげる手順があったんだよね……とつらつら考えていると、
「奥さん、これ洗っといて」と最後に外したパネルをシンクに入れた。

 このまま新品にしちゃえ!と思わせる要因の一つが、この汚れさんの聖地である換気扇パネル。それが今や目の前に、今すぐ洗うべし!と横たわっている。

 おじさんがソケットを直している間に洗うっていうこと!
 もう汚いとか,気持ち悪いというそんな弱気はどこかに吹っ飛び、とにかくすぐ洗うべし!という使命感で洗面所にダーッと走った。
 通販で購入した最強洗剤原液を取り出し、惜しげもなくバシャバシャ掛けた。表面の油がドロリとは流れた。しかしこれを全て流したら今度は配水管に問題出そうだ。まずは油を紙で拭き取ることにした。拭き取り、薬をかける。また拭き取り、かける、を繰り返す。

「たいへんだなー」
 ブレーカーを上げたり,下げたりしながらソケット調整している電気屋さんが人ごとのように言う。そうか、確かに人ごとだ。
 ふと時間が気になった。
 コンセント直すだけで来た職人さんが、一緒になって換気扇掃除つきあっているわけだから。
「このあと行くところあるから,あんまり時間ないんだよね」

 やっぱり。
「もういいです。別にここの電気点かなくても他で代用できるから、もういいです」
って譲歩するのに、職人さんってすごいね。「うーん」って言いながら何か方法はないかとあの手この手をやるんだから。

 そして、ソケットは直った。
 電気屋さんは自分の仕事は完了したとばかりに余裕ある口調で、「だいぶきれいになったね」とシンクで掃除中のパネルを見ながら言うが、まだ80%だ。

「あれ、これどうやって組み立てたっけ?」
 え?まじ?洗う手のスピードは落とさないまま,換気扇を組み立てるおじさんのつぶやきを拾い、おじさんが付け戻すネジで迷っている手に、「最後に外したのはこっちです」と手がふさがっているから顎で正しい方のネジを指す。
「うーん、どうやって戻すんだ。パズルだな」
 外した部品を元に戻すのに迷っているらしい。やっぱり、ここで買い換えに切り替えるべきか?

 おじさんはネガティブ発言つぶやき派とみた。
 結局は何度か部品をあてがって、最後今洗っているパネルを戻して終了と言うところまで来たらしい。そんなこんなで時間切れとなったおじさんの焦りが見えてきたので、
「あとはいいです,自分でやりますから」
と言うと、
「そう? じゃそのパネルはこの隙間に斜めに刺して最後このネジでここを留めればいいから」
とパズルを解いたおじさんが,完成までの解き方を教えてくれた。

どうする,自分。残りの20%を完成させ自分でパズルを解くか。それとも……。

「もうこのままでいいので,パネル付けちゃって下さい」

「だよね」とほほえむおじさん。

 おじさんとわたし。
 得も言われぬ達成感。
 
 今日から久しぶりにコンロの手元ライトが付く。