バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

子供はいつも変わらない

2015-01-31 20:37:09 | バネ
先日描き上げたヒマワリの絵にそれなりの額をつけたい。中川一政さんが額を手作りして彩色したように、自分もやってみたい。
額の作り方を頭の中でいろいろ組み立ててみる。家にある額を分解してみる。いろいろ考えてみるけど、そう簡単にできそうもない気がする。
考えてばかりでもしょうがないので、目指す木材が手に入るのか近所のホームセンターに行ってみた。とりあえず今日は下見。
店内をぐるぐる回っていると、通路の先に小学生軍団を発見。見た事ある顔の子。子供たちが近づいてきて、お互いにその顔を確認。
その小学生たちは、いつもサタデークラブに来ている子で、ニコニコしながら駆け寄ってきた。買い物の雰囲気ではないし、何やら皆ノートを持っているので、「学校の授業できたの?」と聞くと、皆声を揃えて「そうで~す。」
お店の商品を調べているのかと聞くと、そうではなくて買い物している人へのインタビューしているのだと言う。
では社会の授業かと聞くと、「国語です。」
よし、ではここで授業に協力してあげようと質問を待つと、ノートに鉛筆で何やら書き込んでいる。上から覗くと、「バドミントンのお姉さん(コーチ)」と書いているではないですか。お姉さん!だって。他の子はバドミントンのおばさんって書いたかもしれないけど、そこは確認せず。なんとなくもぞっとした気分のままインタビューを受ける。
「このお店ができて不便になったこととか便利になったことを教えてください。」
「不便になった事はありません。便利になった事は、何かを手作りしたいと思ったときに必要なものが買える事です。」
うーん、これでは国語の記述模範解答みたいなしゃべりになってしまいましたね。おそらくこの子たちは、コミュニケーションと話し言葉を書き言葉としてまとめる学習をしているのだろうに、まとめ風にしゃべってしまいましたね。言葉を逐一書き写して、子供たちはいつものサタクラのはっちゃけぶりなんか微塵も見せず、かしこまって「ありがとございました。」
とペコリと頭を下げ、「次は男の人に聞こうね。」と店の奥に消えていった。
子供って変わらないなと思うのはこういう時。学校で出された課題にグループで大真面目に取り組んで、ノートに鉛筆で書いているし。

今の自分は、あの頃子供だった自分に対応してくれた大人のようだったろうか。

破壊するとは

2015-01-31 18:51:41 | ライフスタイル
近所で家の取り壊しが行われている。
もうかれこれ1週間続いているかな。バリバリと壁を引き剥がす音、木材をトラックに放り投げる音。これらが響くたび、心がざわざわする。家をつくる音なら気にならないかもしれない。何かを破壊する音だから、不穏で人の心をかき乱すのでしょう。
今日は、土台のコンクリートを打ち砕いているから、1日中地響きで、家まで揺れる始末。
人でこんな調子なんだから、音に敏感なバンなんかもう右往左往しっぱなし。

日が落ち作業員引き上げ、ようやく心落ち着いたとのか、バンはテレビの前で爆睡中。




この高校生達、すごい!

2015-01-26 06:37:57 | NPO法人アルファバドミントンネットワーク




 NPO法人アルファバドミントンネットワーク主催の「幸せなら羽たたこう」の2回のレッスンが終了した。
 これは、参加した子どもたちがバドミントンを教え合う体験を通じてコミュニケーション能力を高めることをねらいとした、「子どもゆめ基金」の助成を得ての活動であった。
 参加者は小学1年生から高校3年生。中高生が小学生を教えるという形でレッスンは始まった。年齢、性別を取り混ぜてグループを作った。全体共通目標は「オーバーヘッドストロークとバックハンドの習得」「試合に出られるようにする」。グループ内のレベルはランダムであったので、始めてラケットを持つ子やそこそこに打ち合える子がグループ内に混在し、またグループ「それぞれの抱える事情」は異なった。
 さてどう進める。まずは自己紹介を終え、準備体操が始まった。他のグループの動きをチラチラ見ながら、皆が一様に素振り、コートトレーニングへと続いていく。そしてこの時点で初心者の抱える課題に気づくのです。肩が回らない。足が自由に動かない。変な癖がついている等。人に教えるってかなり難しいぞと中高生たちが感じ、全くの初心者にはどこから教えるのか、小さい子にはどうやって説明するのか、癖をどう矯正するのか、個々の事情を見つめ始めた時から、与えられた時間をどうやり過ごすかではなく、目の前の「人」にどう接するかに変わっていった。
 延々と説明するグループ、とにかく打ち始めるグループ。そうこうしているうちにグループ内に教える教えられるの個別担当ができ、「それぞれの抱える事情」への対応が始まった。このレッスンは回りの大人は子どもたちから特別なヘルプがない限り手も口も出さないというルールがあるので、もどかしい場面は多々あったが傍観者に徹した。戸惑いと緊張でスタートした第一回レッスンは、参加者の距離が縮まったのは勿論だか、教える側がいくつかの気づきを得て終わったようだった。いつもは先生に教えてもらうばかりで人に教える経験が少なくなっていた昨今、中高生は初心者に教える体験を通じ自分が教えられてきたことを反芻したり、伝える工夫を凝らした。
 それから1ヶ月半後の第二回レッスン。前回は中高生側からの参加者へのアプローチがメインとなり参加した小学生は受け身に終わったので、開始時に「わからないことやここができるようになりたいと思ったことがあれば、グループの人にどんどん聞くように」と小学生側へのメッセージを送った。
 1ヶ月半のブランクをおいた2回目。
 このブランクは、教える側にとっての熟成期間となっていた。
 前回より指導法をよく考えている。説明を工夫しているではないですか。横並びの指導ではなく、「それぞれの抱える事情」に対応している。

 グループ毎にレッスン内容をレポート用紙1枚にまとめ、最後に発表した。
 「最初はとまどったけど子どもの時に教えてもらったことを思い出しながら教えました」
 「いつもの練習を良く考えるようになりました」
 こちらが期待するような感想をグループ代表の高校生が発表していったので、ふむふむと聞いているうち、「この子たち、すごい!」と心が直立してしまった。
 2回のレッスンで感じたこと、わかったこと、工夫したこと。自分の体験を文字にして人に伝える。文字にしなければ体験で得たことは独り占めしたままだけど、レポートにまとめ発表して皆に提供する。こういう作業を与えられた課題としてこなすのではなく、自分の糧として一生懸命に取り組む。レッスンの成果や個々の成長は知る由もないが、こうして真摯にまとめてくれたおかげで、それがわかる。グループ発表を聞きながら「すごい」を心で連発していた。
 あらためてレポート内容を確認すると
 「(小学生が)うまくできなくても諦めない。」
 「コミュニケーションとる時は、大きくはっきりと声を出さないと伝わらない。」
 「分かりやすく具体的に話す」
 「分かったら必ず返事をすること」
 
 参加してくれた初心者の皆さん、ありがとう。
 


 
 

実は暇人

2015-01-21 10:25:06 | 
 12月から受験追い込みでずーっとザワザワしていた。
 そうやって怒濤の2ヶ月を過ごしたけど、公立高校受験生がいない今年は、先日でバネ生全員受験終了。こんな年もあるのです。ということでここ数ヵ月間脇に置いていたことに一つ一つ取りかかっている。

 まずは絵。 
 今回与えられた課題は、模写。
 バネ忙しいこともあり、先月開始の模写レッスンパスしようかと悩んだ。そもそも模写に興味がなかったし、というよりやりたくなかった。
 模写って人真似でしょ?という思いと、他人が完成させたモノをなぞるって作り上げる楽しさがないんじゃね?って??がつきまとっていた。でもわざわざ年間の課題に「模写」が入っているくらいだから、意味のあることなのだろうからスルーしたら損するかも?という気持ちもない交ぜだった。
 やるやらないと迷いながらも誰を模写するかをグルグル考えていた。ゴッホ、セザンヌ、モジリアニ等巨匠を思い浮かべ、あの絵なら真似して描いてみるのもおもしろいかもと思いながらも、突拍子もなく浮かんだのは「中川一政」。

 まずは実物を見てこようと、12月のとある日曜にバネ補習を入れずに片道3時間かけて真鶴の中川一政美術館に行ってみた。館内を3周し、流れるように画集と絵はがきを購入し、美術館前からバスで岬の突端まで行き、海岸に降り海を眺め無言で帰ってきた。まだこの時点で描く気は起きていないけど、もし描くとしたら風景は無理だなと思った。風景はその場で感じて色をおかなければできないということがはっきりわかった。そこでヒマワリに挑戦してみようと軽く決め、いくつかあるヒマワリから選んだのはP20サイズだったので、帰りにP12キャンバスを買い求めすぐに下塗りした。
 実物見たけど、画集買ったけど、キャンバス用意したけど、まだ模写が現実的でないという思いのまま、そしてここまで準備したにもかかわらず当日の朝まで忙しさを理由に今回の課題をスルーしようか迷っている自分がいた。
 
 模写が始まった。
 いざ描こうと思ったら、同じに描くことができない絵だということが改めてわかった。構図からしてよくわからない。どこが茎で葉で花びらで花瓶なのか。写真を見ながら画面を見ないようにして形をとっていったら、なんとなくだいたい同じ位置に花と花瓶とテーブルが納まった。次に色は。下に何色が入っているのか。想像するしかない。この青の下には白だろうとか、茶色の下は赤で塗りつぶしてあるなど。

 何度か描き込むが、盛り上げた絵の具が乾かないから先へ進まない。
 模写の意味がわかってきたので先へ進みたいけど取りかかれないもどかしさ。しっかり乾かしてから全体を汚している。自分もそれをやってみたい。乾かして汚す。乾かしてメチャクチャに色を置く。その作業が数回必要なんだと思う。
 キャンバスはバネの物置に入れているが、昨日の授業中に絵の具の乾燥を確認しようと物置の扉を開け少し絵の具に触れてみた。やっぱりまだ乾いていないと思い黒板の前に戻ると、
「先生、今その奥でなにやったの?」
 子どもはめざとい。じゃ、描きかけだけどみせちゃおうかとヒマワリの途中作品を前に出すと、「うわー。」の後、「先生って、ヒマなの?」だって。

 そうかもしれない。