油絵っていいなと思うのは,何度も描き直しができるところ。だめだったら違う色を置き直せばいい。だめだったら削って,引っ掻いて,色をはがせばいい。だめだったら全部塗り潰してもう一度描き直せばいい。さらにいいのは、そんな紆余曲折が思わぬ効果を生み絵に深みがでること。
絵の初心者は最終仕上がりの色で最初から向かおうとする。例えば青い空なら最初から青で仕上げる。赤い花なら赤を塗る。そんな時絵の先生は大抵こう言う。明るく表現したい部分は先に暗い色を置いて、暗く表現したければ下に明るい色を置いておくようにと。色の重ね方にも計算がある。ただ単に紆余曲折するばかりではない。
紆余曲折,この言葉はぴったりではない。
今赤を塗ったのは,その時赤がベストだと思うから。すると全体のバランスが変わる。離れて目を細め全体を見ると、そこはグリーンだという声が聞こえる。これが絶対だと心が向かう。そしてグリーンを置くと,またバランスが変わりグレーが欲しくなる。常にそれがその時のベストで,これだと思い信じて進む。しかし何か心にピッタリ来ない,納得いかない。しっくりこない。苦しい。こんなはずじゃない。なにやってんだろう。こんな気持ちが溢れ,混沌としてきて、もうめちゃくちゃになって、こんな絵二度と見たくないと思ってナイフで削ってしまう。絶望。
すると「ウワー」って声を出したくなるような深い色が思いがけなくできあがる。あのとき最良と思って塗った赤が,黒が,黄色が、それまでの色が深みになって現れてくる。捨ててしまおうと思ったキャンパスが急にいとおしくなる瞬間。
このあたりまできたら仕上げに向かう。思う方に,納得いく方に向かう道が見えて来ているから、急ぐことなくゆったりした気持ちで全体をまとめる。
人生もこんな風にいけばいいのに。
絵の初心者は最終仕上がりの色で最初から向かおうとする。例えば青い空なら最初から青で仕上げる。赤い花なら赤を塗る。そんな時絵の先生は大抵こう言う。明るく表現したい部分は先に暗い色を置いて、暗く表現したければ下に明るい色を置いておくようにと。色の重ね方にも計算がある。ただ単に紆余曲折するばかりではない。
紆余曲折,この言葉はぴったりではない。
今赤を塗ったのは,その時赤がベストだと思うから。すると全体のバランスが変わる。離れて目を細め全体を見ると、そこはグリーンだという声が聞こえる。これが絶対だと心が向かう。そしてグリーンを置くと,またバランスが変わりグレーが欲しくなる。常にそれがその時のベストで,これだと思い信じて進む。しかし何か心にピッタリ来ない,納得いかない。しっくりこない。苦しい。こんなはずじゃない。なにやってんだろう。こんな気持ちが溢れ,混沌としてきて、もうめちゃくちゃになって、こんな絵二度と見たくないと思ってナイフで削ってしまう。絶望。
すると「ウワー」って声を出したくなるような深い色が思いがけなくできあがる。あのとき最良と思って塗った赤が,黒が,黄色が、それまでの色が深みになって現れてくる。捨ててしまおうと思ったキャンパスが急にいとおしくなる瞬間。
このあたりまできたら仕上げに向かう。思う方に,納得いく方に向かう道が見えて来ているから、急ぐことなくゆったりした気持ちで全体をまとめる。
人生もこんな風にいけばいいのに。