精神科医の和田秀樹氏の著書である。
まだ70歳には時間があるが、興味深い内容なので紹介する。
健康長寿のカギは70代にある。70代の生き方がその後の晩年のあり方を左右する。
現在の70代は少し前までの70代とは健康度、若々しさが全く違う。例えば1980年当時60代後半の人のおよそ10パーセント近くの人が普通に歩行することができなかったが2000年には正常歩行できない人は2~3パーセントに激減している。
もはや70代は現役時代の延長でいられるのだ。
70代になると「意欲の低下」が顕著になるが、この「意欲の低下」こそが老化で一番怖いことなのだ。70代から80代に向けて元気に過ごすことができるかどうかは70代においていかに「意欲の低下」を防ぐかどうかにかかっている。
70代にとっては「習慣づくり」が大切。散歩、水泳、山登りといった運動をはじめ、運動以外でも観劇や絵画、囲碁将棋、俳句などの趣味を70代で習慣化している人は80代になっても続けることが多い。
仕事も何歳で辞めるという事を決めず、続けることが可能であればできる範囲で一生続けることが老化を遅らせるいい方法である。
自動車の運転においても、引退などせず、運転免許は返納してはいけない。筑波大学などの研究チームは65歳以上の男女2800人を追跡調査した結果、運転をやめた人は運転を続けた人に比べ6年後に要介護となるリスクが2倍以上にもなったと発表している。
高齢者の運転は危険だというイメージがあると思うが、実は高齢者が事故を起こす確率は高くない。警視庁交通局が発表する「平成30年の交通事故状況」によると最も事故を起こしているのは16~19歳の年齢層で次いで20~24歳、80歳以上の高齢者の事故は25~29歳とほぼ同程度、70代に至っては、30代~60代とほぼ同程度なのだ。データを元に冷静に考えるなら、高齢者から運転免許を取り上げる合理的な理由はない。
高齢になると、イライラしたり、気分が塞ぎ込むことも多いが、これは幸せ物質と言われるセロトニンが不足してくるためだ。セロトニンを分泌させるには肉を食べ、陽の光に当たることが重要である。肉も日光も悪者扱いされることが多いが、日本では70歳以上の高齢者は平均一日80グラムしか肉を食べていなくて、もっと食べるべきなのだそうだ。日光に当たることも大切で、本書では散歩などを推奨している。
高齢になると、勉強方法も考える必要がある。独りで読書をするより、サークルなどで自分の意見を述べたりする『アウトプット型』の勉強スタイルが重要だそうだ。得た知識を経験や他の知識を使って加工し、『自分の考え』として述べると前頭葉が活性化される。会話の機会がなくとも、SNSなどへ書き込むだけでも前頭葉は活性化される。
医師の言う事に従っていれば長生きできるという考えは捨てた方がいいそうだ。日本の医師は自分が担当する臓器の専門家であって長生きの専門家ではない。例えば循環器内科の医師がコレステロールを下げなさいと言うのは、そうすれば心筋梗塞で死ぬ人が減るからだ。しかし、コレステロールの低下は免疫機能を低下させるのでがんで死ぬ人は増える。コレステロールが高めの人の方が長生きできるという調査結果は多数あり、その逆はない。
つまり、日本には長生きを専門にする医者はいないのだ。
ざっと気になった個所をまとめてみた。詳しくは一読することをお勧めします。
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