今秋映画『ブレードランナー』の続編である『ブレードランナー2049』が公開された。前作は今から35年前に公開されたSF映画の金字塔である。原作をずっと読んでいなかったので、この機会に読んでみた。タイトルは『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディックの最高傑作と言われている1960年代の作品である。
第三次世界大戦で放射能灰に汚染された地球が舞台。
人々はそんな地球を離れ火星へと移住を開始していた。火星で奴隷として働かされていたのが人間とほとんど見分けのつかないアンドロイド(映画ではレプリカント)だ。
ある日、8人のアンドロイドが火星から逃亡して地球に来て、北カリフォルニアに潜伏した。
警察官であるリック・デッカードはアンドロイドの捜査に乗り出した。前任者が逃亡アンドロイドのうち2名を殺害したが、逆にアンドロイドに殺されてしまっていた。
残るアンドロイドは6人。
人間とそっくりなアンドロイドを見分ける方法はフォークト=カンプフ検査とういうある種の心理テストを行い、瞳孔の反応を見ることによって判断する。専門の捜査官はバウンティ・ハンター(映画ではこれをブレードランナー)と呼ばれていた。
その頃生きている動物は高価で、なかなか飼うことが出来ない。主人公のリックは本物そっくりの電気羊をもっていた。逃亡したアンドロイドを殺せば高額なインセンティブが入るため、本物の羊を買うことが出来る。
だが、アンドロイドは人間社会の中に巧みに溶け込み、発見は容易ではなかった。
リックは捜査協力をアンドロイドの製作をしているローゼン協会(映画ではタイレル社)に依頼する。協力してくれた協会の女性、レイチェルもまたアンドロイドだった。
映画ではレイチェルは最後にリックと共に行方をくらませる。映画ではリックは独身だが、原作ではリックには妻がいるのにアンドロイドであるレイチェルとのベッドシーンがある。
リックは見事に逃亡したアンドロイドを殺してインセンティブを受け取る。リックは生きた羊を買い、妻と喜びの時間を分かち合う。だが、そのことに嫉妬したレイチェルによって羊を殺されてしまうのである。
映画ではリックとアンドロイドの戦いに重点を置いているが、原作では、いかにアンドロイドを見つけるかといった面白さに加え、レイチェルとリックとの人の道を外れた関係が描かれていて興味深い。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます