デジタル修復版
大岡昇平原作
昨年の塚本晋也監督のと見比べもできてうれしうござんした。
というか、原作の戦争の悲惨さや限界状況下の人間のふるまいへの問いを受け取るよりも、見比べのほうに意識が行ってしまった(汗)。
ちなみに塚本晋也監督版が6日からユーロスペ一スで再上映とのこと。未見の人は是非。
見比べて思うのは、ロケの違い。
市川崑監督の方が山と谷が深い地形を使っているな、と。
あと、市川監督版は、台詞が早口すぎて聞きとれなかったところがあったり。
それから、田村上等兵の視点が引きかアップかという違いもあったような。たとえば、米兵が捕虜にする日本兵に対して煙草を吸わせるところとか。
丘越えの時の米軍攻撃も、市川崑監督は広角が続いていたような。迫力という点では、塚本監督版の方があったかも。
個人的に気になるのは、キャスティング。
船越英二。
ハンサム過ぎるというか、泥クサさがもっと欲しいというか、まだまだ上品にまとまり過ぎている感じだったかな。
それから、これは劇場の問題なのかもだけれど、音楽のボリュームを抑え過ぎだったかな、と。
せっかく芥川也寸志が頑張って、要所を迫力キメていたと思うのだけれど、ちょっと消化不良気味かな。