
表:2021年度のEF EPIの順位
フィリピン人の英語力は高い。
どれぐらい高いかというと、世界で18番目、アジアではシンガポールに次いで2番目です。
日本が世界で78番目、アジアで13番目というの比べて、相当高い。
これは、「世界最大の英語能力指数 ランキング」を自称するEF EPIに基づく数字です。
EF EPI 2021
EF EPIというのは、 Education First(EF)という民間の語学学校が開発した英語力測定テスト(EF SET)に基づく指標。
英語を母語としない国々を対象にし、2020年の受験者は全世界で220万人だそうです。400人以上の受験者がいる国(100か国あまり)について、毎年ランキングが発表されています。
EF SET というのは、無料で受けられる読解力と リスニング力のオンラインテスト。作文、会話の力は測れません。
ランダム抽出の調査ではなく、英語に関心があって自ら受験した、やや若い世代(受験者の平均年齢は26歳)の数値なので、その国全体の英語力とはいえないでしょう。
直近4年間のフィリピン順位は、
14位(2018年)→ 20位(19)→ 27位(20)→ 18位(21)
アジアではシンガポールに次ぐ2位を保っています。
フィリピン人の英語力が高いのは、中等教育以上の教育が、英語で行われているからです。
フィリピンの国語はフィリピノ語(タガログ語をもとにした言葉)で、初等教育はフィリピノ語で行われますが、中等教育以上は教科書も英語、授業で使われる言語も英語になります。
英語教育に力を入れている、というわけではありません。
フィリピノ語は中学校以上の科目の学習に必要な語彙が整備されていないので、フィリピノ語の教科書を作ったり、フィリピノ語で授業をしたりすることができないのです。
それで、英語を使うしかないのですね。
英語が選ばれたのは、アメリカが旧宗主国だからです。アメリカはスペインとの戦争に勝って、19世紀末にフィリピンを領有。以後、48年間(1899~1946年)、フィリピンを植民地支配しました。
シンガポールやマレーシアも事情は同じ。マレー語の近代語彙が揃っていないので、中等以上の教育言語は英語です。ただし、旧宗主国がイギリスなので、イギリス風の英語ですが。
インドネシアは、教育に必要な語彙の整備を国家的事業として進め、高等教育までインドネシア語(マレー語をもとにしたインドネシアの国語)でまかなえるようにしたため、英語力は低い(2021年、世界で80位)。旧宗主国がオランダだったという事情もあるでしょう。
タイ語もまた近代的語彙が整備されているので、タイ語で高等教育を受けられる。また、タイは東南アジアでは珍しく、欧米の植民地になった経験がない。それで英語力が低い(世界100位)。
娘の夫のD(フィリピン人)は今、日本の中学校でALT(英語指導助手)をしていますが、きれいな英語をしゃべります。
D「バギオの人は英語がうまいです」
バギオはDの出身地です。
私「なんで?」
D「スペイン人が来なかったから」
フィリピンはアメリカの支配を受ける前、スペインの植民地でした。しかし、スペイン人はマニラや海岸沿いの町(ビガンなど)にいて、山岳地方には足を踏み入れなかった。
アメリカ人は低地の暑さを嫌って、涼しい高地を開拓し、避暑地としたのです。バギオはその中心地でした。そのときに道を建設したのが、日本人移民だったとか。
フィリピン残留日本人
三女「確かに、バギオの人たちの英語は、スペイン語なまりがないね」
三女は語学教育に力を入れている高校に通い、そこでスペイン語を習っていたので、スペイン語の知識もあります。
Dが言う「英語がうまい」というのは、「発音がいい、なまりが少ない」ことを意味しているようです。
マニラの人たちの英語の発音はスペイン語の影響を受けています。そして、フィリピノ語(≒タガログ語)の中にもスペイン語から入った単語や表現が多い。
D「イゴロットは、タガログ語ができない人もいます。でも英語はしゃべれます」
イゴロットというのは、フィリピンのルソン島北部の山岳地帯にいる部族の総称です。イゴロットは歴史的に低地の人々(マニラでタガログ語をしゃべる人々)から差別され、対立関係にあったので、タガログ語をもとにしたフィリピノ語が国語に定められた後も、完全には定着しなかったのだそうです。
山岳地方の人々は、それぞれ部族語をしゃべります。たとえばDが育ったバギオではイロカノ語、Dのお母さんの母語はイフガオ語です。アメリカ人がやってきたとき、みな英語を身につけ、部族間の「共通語」になったのでしょう。
台湾で支配民族であった漢族は山岳民族(高砂族など)を迫害し、中国語(広東語系)が普及せず、また部族間でも言葉が通じなかったのが、日清戦争の後、日本が全土に日本語を普及させ、日本語が山岳民族の共通語になった経緯と似ています。
フィリピン人の英語力は高い。
どれぐらい高いかというと、世界で18番目、アジアではシンガポールに次いで2番目です。
日本が世界で78番目、アジアで13番目というの比べて、相当高い。
これは、「世界最大の英語能力指数 ランキング」を自称するEF EPIに基づく数字です。
EF EPI 2021
EF EPIというのは、 Education First(EF)という民間の語学学校が開発した英語力測定テスト(EF SET)に基づく指標。
英語を母語としない国々を対象にし、2020年の受験者は全世界で220万人だそうです。400人以上の受験者がいる国(100か国あまり)について、毎年ランキングが発表されています。
EF SET というのは、無料で受けられる読解力と リスニング力のオンラインテスト。作文、会話の力は測れません。
ランダム抽出の調査ではなく、英語に関心があって自ら受験した、やや若い世代(受験者の平均年齢は26歳)の数値なので、その国全体の英語力とはいえないでしょう。
直近4年間のフィリピン順位は、
14位(2018年)→ 20位(19)→ 27位(20)→ 18位(21)
アジアではシンガポールに次ぐ2位を保っています。
フィリピン人の英語力が高いのは、中等教育以上の教育が、英語で行われているからです。
フィリピンの国語はフィリピノ語(タガログ語をもとにした言葉)で、初等教育はフィリピノ語で行われますが、中等教育以上は教科書も英語、授業で使われる言語も英語になります。
英語教育に力を入れている、というわけではありません。
フィリピノ語は中学校以上の科目の学習に必要な語彙が整備されていないので、フィリピノ語の教科書を作ったり、フィリピノ語で授業をしたりすることができないのです。
それで、英語を使うしかないのですね。
英語が選ばれたのは、アメリカが旧宗主国だからです。アメリカはスペインとの戦争に勝って、19世紀末にフィリピンを領有。以後、48年間(1899~1946年)、フィリピンを植民地支配しました。
シンガポールやマレーシアも事情は同じ。マレー語の近代語彙が揃っていないので、中等以上の教育言語は英語です。ただし、旧宗主国がイギリスなので、イギリス風の英語ですが。
インドネシアは、教育に必要な語彙の整備を国家的事業として進め、高等教育までインドネシア語(マレー語をもとにしたインドネシアの国語)でまかなえるようにしたため、英語力は低い(2021年、世界で80位)。旧宗主国がオランダだったという事情もあるでしょう。
タイ語もまた近代的語彙が整備されているので、タイ語で高等教育を受けられる。また、タイは東南アジアでは珍しく、欧米の植民地になった経験がない。それで英語力が低い(世界100位)。
娘の夫のD(フィリピン人)は今、日本の中学校でALT(英語指導助手)をしていますが、きれいな英語をしゃべります。
D「バギオの人は英語がうまいです」
バギオはDの出身地です。
私「なんで?」
D「スペイン人が来なかったから」
フィリピンはアメリカの支配を受ける前、スペインの植民地でした。しかし、スペイン人はマニラや海岸沿いの町(ビガンなど)にいて、山岳地方には足を踏み入れなかった。
アメリカ人は低地の暑さを嫌って、涼しい高地を開拓し、避暑地としたのです。バギオはその中心地でした。そのときに道を建設したのが、日本人移民だったとか。
フィリピン残留日本人
三女「確かに、バギオの人たちの英語は、スペイン語なまりがないね」
三女は語学教育に力を入れている高校に通い、そこでスペイン語を習っていたので、スペイン語の知識もあります。
Dが言う「英語がうまい」というのは、「発音がいい、なまりが少ない」ことを意味しているようです。
マニラの人たちの英語の発音はスペイン語の影響を受けています。そして、フィリピノ語(≒タガログ語)の中にもスペイン語から入った単語や表現が多い。
D「イゴロットは、タガログ語ができない人もいます。でも英語はしゃべれます」
イゴロットというのは、フィリピンのルソン島北部の山岳地帯にいる部族の総称です。イゴロットは歴史的に低地の人々(マニラでタガログ語をしゃべる人々)から差別され、対立関係にあったので、タガログ語をもとにしたフィリピノ語が国語に定められた後も、完全には定着しなかったのだそうです。
山岳地方の人々は、それぞれ部族語をしゃべります。たとえばDが育ったバギオではイロカノ語、Dのお母さんの母語はイフガオ語です。アメリカ人がやってきたとき、みな英語を身につけ、部族間の「共通語」になったのでしょう。
台湾で支配民族であった漢族は山岳民族(高砂族など)を迫害し、中国語(広東語系)が普及せず、また部族間でも言葉が通じなかったのが、日清戦争の後、日本が全土に日本語を普及させ、日本語が山岳民族の共通語になった経緯と似ています。
英語力は戦後からだんだんと落ちてきているという人もいましたが、確かに年配の人の方が英語が上手だった印象がありました。
婚姻やビザの申請書類などで、娘(配偶者)の名前を何度も間違えていました。