犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

バレンタイン21年

2015-07-03 23:16:55 | 大阪暮らし

 韓国から知り合いが会いに来てくれました。

 韓国駐在中、私の事務所で働いていた韓国人職員ですが、その後退職し、今はフリーの通訳・翻訳をしているとのこと。

「仕事はどう?」

「最近はメルスで大変ですよ。日本人の観光客も減っちゃって」


「日韓関係も悪いからね」


「これ、犬鍋さんにプレゼントです」


 見ると、韓国人作家の小説でした。


「私が翻訳しました。翻訳大賞をとったんですよ」


 パク・ミンギュ著『カステラ』(2014年、クレイン)という本です。

「翻訳大賞! すごいね。売れたの?」

「あんまりです。日本では韓国の作品は人気がなくて」


「でも、韓国人が韓国語の作品を日本語に翻訳することって多いの?」


「本当は日本の作品の韓国語訳をしたいんですけれど、村上春樹とか東野圭吾とか、人気作家はもう翻訳者が決まっていて、そこに割り込むのは難しいんですよ」

 新大阪駅構内のレストランで昼食をとり、新幹線の乗り場まで送りました。お母さんが日本人と再婚して横浜に住んでいるとのことです。

「あと、これもどうぞ」

 別れ際に手渡された紙袋には、バレンタインが入っていました。

「21年もの! ありがとう。大事に飲むよ」

 最近は国内の量販店やネットショップで安く買えるので、空港の免税店で洋酒を買うこということはないのですが、韓国ではそういう習慣が残っているようです。

 バレンタインは17年までしか飲んだことがなかったので、ありがたいことです。


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