犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

南北首脳会談

2018-04-28 23:55:35 | 韓国雑学

 世界が注目する北朝鮮と韓国の首脳会談が行われました。

 韓国のマスコミをざっと見ると、保守系も含め、この会談に一定の評価を下しているようです。

 以下に、日本語版のない進歩系の京郷新聞の4月27日の社説を訳出します(原文)。

[
社説]核なき韓半島と平和への偉大な旅を始める

 南北は、完全な非核化を通じた核なき韓半島という共同の目標を確認した。南北はまた、停戦協定締結65周年の今年、終戦宣言を行って、停戦協定を平和協定へと転換し、これに向けた南・北・米、または南・北・米・中首脳会談を推進することにした。厳しい緊張を緩和し、戦争の脅威を解消するために、双方がいかなる武力も使用しないという不可侵の方針も確認した。また、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今秋平壌を訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と南北首脳会談をもつことにした。文大統領と金委員長は27日、板門店南側地域の平和の家で歴史的な南北首脳会談を開き、こうした内容の「朝鮮半島の平和、繁栄、統一のための板門店宣言」を発表した。南北は、両首脳の決断と合意により分断と対決の歴史に終止符を打ち、平和と協力の時代へと進む大きな契機を作りだした。この日の合意は、自由韓国党を除くすべての野党と国際社会から肯定的な評価を受けた。

 両首脳がともに発表した「板門店宣言」は、すべての韓半島問題の冷静な診断と解決策を包括する「韓半島の平和報告書宣言」と言うべきだ。過去二回の首脳会談とは異なり、具体的な実践と措置を提示していることが際立つ。韓半島の平和を阻害する根本的な障害を取り払うことができるという希望を持たせてくれる。特に「完全な非核化」と釘をさしたのは、北朝鮮による非核化の言及の中で最も踏み込んだ表現である。両首脳は、「完全な非核化」が何を意味するかについて説明しなかった。しかし、これはいわゆる「完全かつ検証可能で後戻りできない非核化」(CVID)というアメリカの非核化原則と似ている。このため、南北首脳会談をもとに約1か月後に開かれる米朝首脳会談の中心的な議題である非核化論議の見通しを明るくする。

 北朝鮮は非核化の条件として、当初、体制の保障と米国の対北朝鮮敵視政策の廃棄を提示していたが、これに先立って核実験とミサイル発射の停止、核実験場の閉鎖を行っており、今回の完全な非核化と、いよいよ進展する様相だ。今回の南北首脳会談では、核廃棄の方法や期限などの具体的な非核化計画は出されなかったが、これ米朝首脳会談で議論し、確認すべき問題である。北朝鮮側では、米朝首脳会談で、体制保障と対北敵視政策の廃棄など、非核化の見返りとともに、具体的な非核化のロードマップを議論するとみられる。この日の南北首脳の非核化の議論は、韓国が核問題の当事国として、非核化をリードする役割を果たしたという点で意味がある。核問題が韓半島の平和を脅かす最大の懸案であり、韓国が最大の当事国であるにもかかわらず、これまで北朝鮮は韓国との二か国による核問題の議論を、宣言の水準に抑えてきた。

 終戦宣言と、停戦協定から平和協定への転換は、朝鮮半島において冷戦の終結と平和の時代の幕開けにとっての大きな障害を取り払うための避けられないプロセスである。両首脳が、国際問題でもあるこの問題の解決期限を今年に定めたことは、それだけ強い意志を表明したものと見ることができる。両首脳が平和構築のための三者もしくは四者会談を積極的に推進することにしたのは、北朝鮮の体制の安全を国際的に保障するためだと解釈できる。 また、韓半島への平和の定着は、非核化と密接な関係があるので、二つ問題を連動させて解決していく必要がある。しかし、緊張緩和のために、南北が独自に合意して実践すべき領域も存在する。そうした点で、両首脳が不可侵の確認と軍事的衝突のもとにある敵対行為を全面的に中断し、西海(黄海)の北方限界線一帯を平和水域にすることに合意したことは、朝鮮半島問題の二つの軸である非核化と軍事的対峙の同時解消への期待を持たせる。

 両首脳は、次の平壌南北首脳会談の開催を決定し、開城に南北共同連絡事務所を開いたことは、南北間にトップから民間に至るまで、多方面の交流とコミュニケーションを画期的に活性化させるだろうことが期待される。両首脳が、民族経済の均衡的発展と共同繁栄のために、これまでに合意したすべての南北事業と京義線など鉄道の接続も積極的に実践することにした。北朝鮮の非核化措置にともなって、国際社会の対北朝鮮制裁が徐々に解除されれば今後の協議を経て、具体的な日程や青写真を用意するものと見られる。特に北・米首脳会談で、非核化問題にかなりの進展があれば、開城工業団地・金剛山観光など南北間の経済協力も活発に再開されうるだろう。来る815光復節に離散家族再会のイベントを開くことにしたのは、高齢の離散家族が相次いでこの世を去っていく現実を考えるとき、喜ばしいことである。

 文大統領は会談後、「韓半島にもはや戦争はないこと、新しい平和の時代が開かれたことを厳粛に宣明する」と宣言した。金委員長は「対決の歴史に終止符を打つために来た」と述べた。今、南北は分断と戦争、敵対と対決の時代を後にし、平和への偉大な旅立ちを始めた。

 保守系に比べ、会談の成果を手放しでほめているのは、進歩系の京郷新聞らしいところです。

 でも、北朝鮮はこれまで一度も約束を守ったことがないし、文大統領も、慰安婦合意などの対応を見れば、似たようなもの。とても手放しで楽観することはできません。

 北朝鮮の最大の希望は「金正恩体制の保障」。しかし、国内で何百万人もの国民を粛正したり餓死に追い込み、叔父を残虐な方法で処刑し、兄を暗殺するなどしてきた金正恩をそのまま免罪することは、人道的にも許されない。

 北朝鮮の人々がみな痩せ衰えているのに、金正恩のあの肥え方は何なのでしょう。生活習慣病で短命に終わることを切に願います。


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