田中克彦氏は著書「漢字が日本語をほろぼす」の中で、「どう書くかを聞かないと意味がわからない言語は欠陥がある」と、漢字を多用する日本語に文句を言っています。
「それはカテイの問題です」
(家庭? 仮定? 過程?)
確かにそんな面もありますね。
一方、日本語は読み方がよくわからないのに意味はわかっちゃう、なんて場合もあって面白い。
震災のあとの放射能汚染についての報道記事に、こんなのがありました。
「土壌のセシウム最高値 福島県浪江町」(産経新聞→リンク)
この中の「最高値」はどう読むのか。たぶん「サイコウチ」なんでしょうね。
普通、「最高値」といえば株価や為替などによく使われる。その場合は「サイタカネ」です。反対語は、「最安値(サイヤスネ)」。
しかし放射性物質の場合、値段の高い低いを言うわけじゃないから「サイタカネ」はおかしい。
でもサイコウチって聞いたことないなあ。反対語は最低値(サイテイチ)?
結局、読み方はよくわからないけれど、意味は「最高の値」で実によくわかる。
こんな現象も、漢字ならではでしょう。英語などの表音文字を使う言語で、読めないけどわかるなんていうことは考えられません。
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「漢字悪玉論」には困ったものです。英語や朝鮮語も同音異義語が相当に多いですから、書いた場合ですら文脈がないと意味の確定しない単語が多いだろうと思います。文脈と切り離しても、漢字を見れば意味が分かる日本語の方がはるかにマシだと思うのですけどね。
和語を多様した柔らかい文章、漢語を多様したお堅い文章、これらを適宜使い分ければ良いだけの話であって、何も漢字を廃止して云々というのは極論です。漢字廃止の弊害については、すでに韓国ですら散々提起されていますしね。漢字廃止のメリットもあるのでしょうが、要は損得計算した上でどちらが便利かということに尽きると思います。
これからも愉快で良質な記事を楽しみにしています。感謝!
測定値などの数字は最大・最小を使うのが一般的だと思います。
結局、どの言語にしろ、状況に合わせて意味をとるしかないのだと思います。
強いて言えば、わかり易さを追求するとインドネシア語になる?
コメントありがとうございます。
往年のベストセラー、「試験に出る英単語」にpsychologyを「プシチョロギーなどと読まないように」という注意書きがあったことを思い出しました。子どもが本を一人読みできるようになる年齢は、世界の中でも英語圏が遅いほうだそうです。
田中さんは、韓国内の「漢字廃止の弊害論」も批判しています。いずれご紹介する機会があるかも。
私も基本的には漢字賛成論者なのですが、漢字が(非漢字圏の)外国人にとって、日本語学習の壁として立ちふさがっているのは確かなので、最近、この考えがぐらついています。
たしかに「セシウム 最大値」で検索すると、けっこうヒットしますね。
ご教示、ありがとうございました。