犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ペットを韓国語で伴侶動物というらしい

2021-11-28 23:14:34 | 韓国の漢字語
 一つ前の記事で紹介した、次期大統領候補の「小確幸」公約7(11月18日フェイスブック)に、

ペットの標準診療報酬制度を導入する。

というのがありました。

 李在明によれば、韓国では4世帯に1世帯の割でペットが飼われているそうです。そして、飼い主はペットが病気になったときの医療費が高いので困っている。ペット保険もあるが加入率は0.3%にすぎない。診療費は病院ごとにばらつきがあって、2倍から6倍の差がある。病院と飼い主の間で診療費をめぐるトラブルもある。これらの原因は、ペットの診療報酬が決まっていないからだ、ということです。

 ところで、私が「ペット」、「飼い主」と訳した韓国語は、それぞれパッリョドンムル(伴侶動物)、パッリョイン(伴侶人)となっていました。

 日本語ではペットという外来語を使います。韓国語にも外来語のペットがあるのですが、あまり使われない。少し前までは、エワンドンムル(愛玩動物)と呼んでいたように記憶します。

 韓国標準国語大辞典を引くと、両方立項されていて、

愛玩動物:そばに置いて、かわいがって育てる動物。犬、猫、鳥、金魚など。

伴侶動物:人が情緒的な支えを得つつ、そばに置いて育てる動物。犬、猫、鳥など。


となっています。

 犬、猫、鳥は伴侶動物ですが、金魚は違う。金魚から「情緒的な支えを得る」ことはないからでしょうか。

 愛玩動物から伴侶動物への言い換えは、2010年頃から進んだようです。

 この言い換えはヨーロッパで最初に提唱されました。1983年、動物行動学者でノーベル賞受賞者のコンラート・ローレンツ博士の80歳記念国際シンポジウムがオーストリアのウイーンで開かれました。テーマは「人間とペットの関係」。(リンク、韓国語)

 そこで、「動物が人間にもたらすさまざまな恵みを尊重し、ペットを人間のおもちゃではなく、「人間とともに生きる動物」という意味で伴侶動物(Companion Animal)と呼ぼう」という提案がなされたんだとか。

 1980年代、韓国にはペットを飼う習慣がありませんでしたが、90年代以降、生活水準があがり、特に2000年代になって「ペットブーム」がやってきます。

 そして2010年代になって、ヨーロッパより30年遅れで、呼び名の変更が提唱され、マスコミがそれを使うようになり、言い換えが進んだようです。

 愛玩動物という言葉には、動物をおもちゃのようにもてあそぶ、というニュアンスがあるらしい。韓国語でおもちゃのことをワング(玩具)といいます。

 ただ、犬以外のペットについて、伴侶動物という呼び方がふさわしいのか疑問です。

 韓国では猫は不吉だといって嫌われていました。私が2005年頃に何回か行ったポジャンマチャ(布張馬車、屋台の飲み屋)で、犬と猫が飼われていました。日本とは逆に犬は放し飼い、猫は紐につながれていた。犬の名前はイエップニ(かわいこちゃん)、ご主人に猫の名前を聞くと「名前はない、ネズミ除けに飼っているだけ」ということでした。(リンク

 玩具でさえなくて、道具ですね。

 今、日本では犬より猫のほうがたくさん飼われているという統計がありますが、韓国は8:2で、圧倒的に犬が多い。

  猫が伴侶動物としての認知を得るのは少し先かもしれません。

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