東京・大田区では、休日などによく多摩川沿いの土手を散歩しました。
大阪では、淀川が徒歩圏にあるので、連休の一日、早起きをして淀川河畔に行ってみました。
河川敷に野球グランドやゴルフの練習場が作られているのは多摩川と似ています。
ジョギングのための道路も整備されていますが、多摩川と違うのは、ジョギングやウォーキングする市民の数が少ないこと。多摩川では、人が多いうえに、サイクリングの自転車がけっこうなスピードで飛ばすので、ただ歩くにも注意が必要でした。
こちらは人影がまばらなので、気持ちよく散歩することができました。
この、ジョギングロードにおける人口密度の差は、淀川周辺が住宅地というより、商工業地であることが理由かもしれません。
河原に入るところに、看板がありました。
「野犬に注意」
今どき、こんな都会に野犬なんているんだろうか。
1980年代に出た藤原新也の『東京漂流』という本に、「東京最後の野犬、有明フェリータの死」という一章があったことを思い出しました。東京湾の埋め立て地である有明に野犬が住み着いていたが、それがしかけた毒薬によって殺された。その死体の写真が載っていたと記憶しています。
ところが、いたのですね、野犬が。
ジョギングロードは、橋桁のそばなどでところどころでカーブしていて、ぐっと川に近づくところがあります。川と道の間には、草刈りなどがされていない雑木林が広がっています。
最初に見た野犬は、雑木林からぬっと出てきて、一瞬、びくっとしましたが、犬のほうは人間に慣れているらしく、ゆうゆうと歩き去りました。かなりの大型犬で、長い毛が手入れされておらず、見るからにきたならしい感じ。
さらに歩いていくと、こんどは野球のグランドの中に、別の二匹の犬がいました。一匹は朽ちかけた首輪らしきものをつけていましたが、付近に飼い主らしき人影は見当たらないので、飼い犬が野犬化したものと思われます。淀川河川敷に何匹の野犬が生息しているのかはわかりません。
「野犬に注意」という看板を立てながら、放置しているのは、人に危害を加えた事件が起きていないのでしょう。
有明フェリータのような、可哀相な最期は迎えてほしくないものです。
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