大阪に戻ってから、中津(梅田から地下鉄で1駅)にあるインドネシア料理屋に行きました。2か月ぶりぐらいです。
このお店は、日本に10年以上いるインドネシア人の店長さんと、大阪の大学に留学中のアルバイト男性の二人でやっています。
留学生は、大学で「測地学」という難しそうな学問を勉強中。日本語学校から大学に入学したときは、授業の日本語のスピードが速すぎてついていけないと言っていました。
「大学の授業、どう?」
「ええ、なんとかやっています。今はドローンを勉強してます」
「ドローン?」
「ええ、災害復旧の授業で、ドローンを使って支援物資を運ぶんです」
「でも、あまり重いものは運べないでしょう?」
「いえ、ドローンも進化してますから」
インドネシアも地震や津波、火山の噴火など災害の多い国ですから、母国に帰ったらきっとすぐに役立つことでしょう。
「そういえば、家族がインドネシアを旅行したよ」
「インドネシアのどこですか」
「ムンジャンガン」
「ああ、バリ島のね。よく知ってるよ」
と店長。
「ぼくの出身はジャワ島だけど、ムンジャンガンはジャワ島から海を渡ってすぐだよ。きれいだったでしょう?」
「いえ、ぼくは行ってないんですよ。妻と娘が二人。ダイビングをしたみたい」
アルバイトの学生のほうは、ムンジャンガンをあまり知らない様子。
「彼もジャワ島だけどね、ぼくは田舎だから方言。ぜんぜん通じない、ハハ」
「バリ島の言葉も違うんですよね」
「違う。でも、ぼくは少しわかる」
「インドネシアの国語はインドネシア語ですよね」
「そう。学校に入ったら習う。インドネシア人はみんなインドネシア語ができるよ」
インドネシアは500を越える言語があると言われます。最大の言語はジャワ島のジャワ語。しかし、インドネシアが独立したとき、国語をジャワ語にすると、ジャワ人だけが特別に有利になるため、あえてジャワ語を国語にしなかった。だからといって、二番目に大きいスンダ語にすると、スンダ人が有利になる。それで、だれの母語でもない「マレー語」を国語にするという大胆な言語政策をとったのです。
「インドネシア語とマレー語は同じ?」
「うーん、似てるね。でもちょっと違うよ。聞けばわかるけど」
「じゃ、家ではジャワ語なの」
アルバイトの学生に聞いてみました。
「そうです。学校ではインドネシア語。高校に入ると授業は英語になります」
「へぇー。今は日本語もできるから、ジャワ語、インドネシア語、マレー語、英語、日本語で5つの言葉ができるんだ?」
「中国語も少し。大学のときに習いました」
「すごい」
「犬鍋さんも、インドネシア語を勉強したらどうですか」
「いや、ミャンマー語で手一杯だよ」
「インドネシア語は易しいですよ。文法がないから」
「文法がない? そんなことはないでしょう」
「本当です。動詞が活用しないんです」
彼の言う文法とは、動詞の活用のことのようです。となると、やはり動詞の活用のない中国語、タイ語も文法がないことになってしまう。
「確かに文字はアルファベットだから、勉強しやすそうだね」
タイ語とミャンマー語は、文字が大きな壁となって学習者の前に立ちはだかります。
「ところで、ジャワ語とインドネシア語は、どっちが得意なの?」
「そうですね。ジャワ語かな」
「じゃ、本を読むときはジャワ語の本?」
「それは無理です。ジャワ語は難しすぎて。若い人で、正しく書ける人はいないと思います」
「そうなんだ」
インドネシアの言語事情は複雑そうです。
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