犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

タヴァーリシチ(友達、同志)

2020-11-21 23:16:54 | 言葉
 帰省時、昔、ロシア語を勉強していた時の教科書を探しました。

 最初の中村先生の授業で使っていたのは、日本の出版社から出ていた薄手の文法書。捨てたはずはないのに、見つかりませんでした。

 2度目の故森安先生の授業で使った教科書は出てきました。ソ連で発行された当時最新の教科書ということで、先生は最初の授業のときに15冊持ってきて学生に有料で配布しましたが、受講生は20人以上。足りなかった生徒には、コピーが配られました。

「途中で挫折した人は、残った人に譲ってあげてくださいね」

 私は、3か月ほどで挫折したのですが、先生の言葉に従わず、コピーを使っている級友に譲ることなく、今も私の手元にあります。

 表紙には、

УЧЕБНИК РУССКОГО ЯЗЫКА(ロシア語教科書)
ВВОДНЫЙ КУРС(入門クラス)
ДЛЯ ПОДГОТОВИТЕЛЬНЫХ ФАКУЛЬТЕТОВ ВУЗОВ СССР
(ソ連の大学準備のため)
КНИГА ДЛЯ СТУДЕНТА(学生用図書)

と書いてあります。

 中身はオールロシア語。

 1979年発行で、フルカラー。豊富な写真とイラスト入りの学習書です。

 別冊の小冊子が挟みこまれていて、各課の新出単語、指示文、例文、練習問題の答えの英語訳、それに提出単語をアルファベット順に並べた単語リストが載っています。

 ソ連の大学に留学する外国人向けのロシア語の教科書のようです。

 第5課まで鉛筆の書き込みがあり、若き日の私が、この課で挫折したことがわかります。

 大阪に戻って最初のオンラインレッスンのとき、SKYPE画面を通じて、今の先生に見せました。

「私が大学生のときに使っていたテキストです」

「へえ、ずいぶん古めかしいですね」

「1979年発行です」

「文法はそのときと変わっていませんが、単語は今とは少し違いますね。もしかして、
товарищи(タヴァーリシチ)なんていう単語がたくさん出てきませんか」

「出てきます、出てきます!」

「ハハハ、今は使いませんよ。フランス語のcamaradeですね。共産党用語」


 ソ連時代には、товарищи(同志)が、「友だち」の意味で使われたり、姓につけて「~さん」のように使われてたりしていたそうです。

 今のロシア語では、友だちは、もっぱらдруг(ドゥルーク、男)、подруга(パドゥルーガ、女)を使うそうです。

 韓国語で昔、友だちのことを동무(トンム)と言っていたのを、今は친구(チング、親舊)を使い、동무のほうは北朝鮮でしか使われないのと似ています。
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