朴裕河教授に対する刑事裁判が、8月30日に行われました。
この裁判は、朴教授が「国民参加裁判」の申請をして、その可否を判断するための準備期間が設けられていたために延びていましたが、朴教授は、「『帝国の慰安婦』に対する誤った認識が広まり、国民が公正な判断をできる環境にない」と判断したため(→毎日新聞)、7月19日に申請を取り下げ、この日、一般的な裁判として初公判が行われたものです。
公判に関しては、日韓のマスコミによって簡単に報道されています。(産経新聞、聯合通信)
朴教授は、『帝国の慰安婦』を誰もが読めるようにするため、出版社の了解を得て、著書全体を無料でダウンロードできるサイトを開設。裁判に関する情報もリンクしています。このサイトが立ち上がったとき、ブログでも紹介しましたが、その後アドレスが変更になったため、あらためて紹介します。
朴裕河『帝国の慰安婦』、法廷から広場へ(→リンク、韓国語)
ここには、今回の刑事訴訟の公判記が載っており(→リンク、韓国語)、その翻訳版はハフィントンポストに掲載されて、サイトからリンクが貼られています(→リンク、日本語)
なお、この公判記は、公判で行われた攻防を忠実に文字起こししたものではなく、公判に被告人として立った朴教授がやりとりを聞きながら考え、その後に文章化したものだそうです。
「以下に掲げるのは、検事の主張を聞いて思ったことだ。だが、この中で実際に話すことができたのはごく一部だ。私には、発言権が簡単には与えられないからだ。もし発言権が与えられたとしたら、言いたかった反論を書いておく。」(公判記、韓国語版)
裁判の中で検事が言及している『帝国の弁護人』とは、『帝国の慰安婦』を批判するために、十数人の学者、評論家など(日本人、在日コリアンを含む)が書いた文章をまとめたアンソロジーで、一部の文章のひどさはこのブログでも紹介したことがあります。
6月10日『帝国の弁護人』の表紙デザイン
6月16日 慰安婦15万人死亡説
7月4日 日帝、3500万人虐殺説
この本の刊行は今年の5月1日、朴教授が在宅起訴されたのが2015年11月18日です。起訴のあとに刊行された本の内容が、検察の冒頭陳述に使われるというのは、ちょっと理解できません。
検事の冒頭陳述は、朴教授も公判記で書く通り、ほとんどが批判者の議論の受け売りで、「完璧な代理戦争」(公判記韓国語版の表現)です。
検察と朴教授(その弁護士)とのやりとりを聞いて、最終的に判断を下す裁判官が、きちんと『帝国の慰安婦』を読み、まともに読解してくれることを願います。
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