韓国便り～新村

　二日目の夜は、現地駐在員と会食。仁寺洞（インサドン）の観光居酒屋へ行きました。

　チヂミとかヘムルタン（海鮮なべ）とかケーランマリ（韓国式ちゃわんむしというか玉子焼き）にミッパンチャン（基本的なおかず）が３種類ぐらいがついて、４人セットで６万ウォン。それに日本ではあまり食べないカルチ（太刀魚）の焼き魚をもらいました。

　インサドンのお店はたいてい観光客相手で、類型化した韓国料理を安くない金額で食べることになるのであまり好きではないのですが、会社から近いという理由で、出張期間に一回はこの界隈で食べることが多いです。

　二時間弱で切り上げて、韓国人の同僚とともに二次会へ。ソウルの飲み友達の一人に電話をかけると、ちょうど今、新村で飲んでいるというので、新村のコムチャンオ（ヌタウナギ）の店に向かいます。

　ここは駐在していたころからのタンゴルチプ（行きつけの店）で、店の名前は「サンコムチャンオ」。「サン」は山ではなく、「サルダ（生きる）」の名詞修飾形。「生きているヌタウナギ」の意です。

　私がこの店に初めて行ったときは、その名のとおり、生きていてまだのたうち回っているヌタウナギを、炭火網の上で火炙りの刑に処しながら賞味したものでした。しかし、最近はすでに焼き上がった死骸を温め直す形になったのが残念。

　味は二種類あって、白焼きにしたものをチャムキルム（ごま油）とソグム（塩）で食べるもの、もう一つはコチュジャンにからめたものを焼いて食べるもの。どちらもそれぞれおいしいので、いつも半々にしてもらいます。

　やや遅れてやってきた友人は、別の友達を連れてきた。どこかで見た顔です。聞けば、光化門のそばのアンゲッコッ（霧花＝かすみ草）というバーで働いていたアジュンマ。何年ぶりの再会でしょうか。

　アンゲッコッについては、トイレに特徴があって当ブログの記事に書いたことがある（→リンク）。トイレと言えば、サンコムチャンオのトイレもユニークでした（→リンク）。今は面積が半分になりましたが、手動水洗システムは健在です。

　ひとしきり昔話に興じたあと、話は人生論に。

　「今幸せか」に始まって、「金があれば幸せになれるか」、「結婚すべきか」、「結婚したら子どもを生むべきか」…。

　ここに集った４人（男２、女２）は二人が独身。先のアジュンマは「結婚するのはいいが子どもは産むべきではない」という意見。自分は息子が一人いるが、今大学生の息子はこの年になって反抗期を迎えているらしく、家庭内での親子喧嘩が絶えないふう。旦那の話が出てこないところを見ると、今はいないようです（確認しませんでした）。

　あとの二人はいろいろ事情があって婚期を逃している。一度は結婚してみたかったという意見です。

　私は結婚も子どもをもつのも賛成ですが、子どもの数についてはいろんな思いがあります。４人じゃなくて２人または１人だけだったらお金のかかり方も違っただろうし、旅行ももっとできただろうなあ、とか。

　そんなことを語り合ううちつまみもなくなり、サムチャ（三次会）に向かいました。新村は学生街で安い飲み屋がたくさんあります。

　昔通っていたホープにいってみると、店の名前は変わっているけれども、メニューと価格は同じ。昔はブーＢａｒという名前でしたが、今は「スムース」に変わっていました。

　ビールは、外国のものもたくさんあって、ベルギーのビールなんかは高いけれども、国産（韓国産）ビールは１９００ウォン！　韓国のビールはどれもまずいけれども、唯一許せるのがハイトから出ている「Ｍａｘ」。こちらは２３００ウォンでした。そのほか、テキーラが１８００ウォン。つまみは頼まなくてもよく、ポップコーンが無料で出てきます。チャージは一人５００ウォン。ありがたい安さです。

　実はその日、会社で最近結婚したアガシから、お披露目の「パンケーキ」をもらい、それがかばんの中にありました。そこで、堂々とそれを取り出してみんなで食べた。店の人は何にも言いませんでした。こんなふうにおおらかなところも韓国の魅力です。

　１２時を回ったところでお開きに。次の日も仕事があるのに、少し飲みすぎました。