昨晩の夕食は親子丼でした。
D(娘の夫)が娘にスプーンを渡しながら言いました。
「スプーンでいい?」
「うん、スプーンでいいよ。ありがとう」
受け取ったあと、
「D、そんな言い方、どこで覚えたの? ネイティブみたい」
「え? スプーンは「で」でしょう。スプーンで食べる」
「さっきの「で」は、その「で」じゃないよ。やっぱりわかってなかったんだ」
日本語初級のDは、「で」という助詞の用法として、
家で食事をする。(場所)
バスで会社に行く。(交通手段)
スプーンで親子丼を食べる。(道具)
などは知っているはずです。
でも、
スプーンでいい。
という表現は知らなかったけど、たまたま正しく使ったようなのでした。
D「スプーンがいい、が正しいの?」
「えっと、「スプーンでいい」と「スプーンがいい」は、ちょっとニュアンスが違うんだよね」
「どんなふうに?」
「ほんとうは箸のほうが少しいいんだけど、スプーンも悪くないね、っていう感じかな?」
「???」
娘はいずれ日本語教師をやりたいと思っていて、日本語教師養成講座を受講したこともありますが、とっさには説明できないようです。
三省堂国語辞典(第八版)では、「いい」という項目に次のような説明があります。
いい ⑧かまわない。さしつかえない。「この案でいい〔『この案がいい』より低い評価〕」
なるほど。
娘が「スプーンがいい」と言った場合、娘のスプーンに対する評価は高く、「スプーンでいい」と言った場合、評価は低い。何に比べてかというと、「箸」ですね。
明鏡国語辞典第二版は、「で」の格助詞の用法として、次のように説明します。
で ⑦《「…でいい」「…で構わない」「…で差し支えない」などの形で、次善や最低条件の意を表す体言を受けて》許可・許容を表す。「金メダルでなくとも入賞でいい」「元気なら腕白で構わない」
(箸じゃなくて)スプーンでいい。
という場合、箸が最善であり、スプーンは次善あるいは最低条件だったのです。
「…でいい」に似た表現に、「…でもいい」があります。
明鏡は、「でも」(副助詞)の項でも、ほぼ同様の説明をしています。
でも 二〘副助〙④《「…でもいい」「…でも構わない」などの形で、次善や最低条件の意を表す体言を受けて》許可・許容を表す。…だっていい。…でいい。「すしがだめならウナギでもいい」「条件次第では未経験者でも構わない」
さらに、「~でもいい」と「~でいい」を比べています。
【表現】「…でもいい/…でいい」は意味が近いが、前者のほうが譲歩する気持ちが強い。
ふむふむ。
「譲歩する気持ちが強い」というのは、どういうことか?
じょうほ【譲歩】自分の主張をひっこめて相手の主張を受け入れること。(明鏡)
娘が「スプーンでいい」と言ったとき、「親子丼は箸で食べるのがよい」という自らの主張を引っ込めて、「親子丼はスプーンで食べるのがよい」という相手(この場合、最愛の夫のD?)の主張を受け入れた。
そして、このとき「スプーンでもいいよ」と言っていれば、譲歩の気持ちがもっと強く出たはずだ…。
明鏡の説明を解釈すればそうなります。
(ホントかね?)
いずれにしても、この「~でいい」という表現は、日本語を学ぶ外国人には、難関でしょう。
D(娘の夫)が娘にスプーンを渡しながら言いました。
「スプーンでいい?」
「うん、スプーンでいいよ。ありがとう」
受け取ったあと、
「D、そんな言い方、どこで覚えたの? ネイティブみたい」
「え? スプーンは「で」でしょう。スプーンで食べる」
「さっきの「で」は、その「で」じゃないよ。やっぱりわかってなかったんだ」
日本語初級のDは、「で」という助詞の用法として、
家で食事をする。(場所)
バスで会社に行く。(交通手段)
スプーンで親子丼を食べる。(道具)
などは知っているはずです。
でも、
スプーンでいい。
という表現は知らなかったけど、たまたま正しく使ったようなのでした。
D「スプーンがいい、が正しいの?」
「えっと、「スプーンでいい」と「スプーンがいい」は、ちょっとニュアンスが違うんだよね」
「どんなふうに?」
「ほんとうは箸のほうが少しいいんだけど、スプーンも悪くないね、っていう感じかな?」
「???」
娘はいずれ日本語教師をやりたいと思っていて、日本語教師養成講座を受講したこともありますが、とっさには説明できないようです。
三省堂国語辞典(第八版)では、「いい」という項目に次のような説明があります。
いい ⑧かまわない。さしつかえない。「この案でいい〔『この案がいい』より低い評価〕」
なるほど。
娘が「スプーンがいい」と言った場合、娘のスプーンに対する評価は高く、「スプーンでいい」と言った場合、評価は低い。何に比べてかというと、「箸」ですね。
明鏡国語辞典第二版は、「で」の格助詞の用法として、次のように説明します。
で ⑦《「…でいい」「…で構わない」「…で差し支えない」などの形で、次善や最低条件の意を表す体言を受けて》許可・許容を表す。「金メダルでなくとも入賞でいい」「元気なら腕白で構わない」
(箸じゃなくて)スプーンでいい。
という場合、箸が最善であり、スプーンは次善あるいは最低条件だったのです。
「…でいい」に似た表現に、「…でもいい」があります。
明鏡は、「でも」(副助詞)の項でも、ほぼ同様の説明をしています。
でも 二〘副助〙④《「…でもいい」「…でも構わない」などの形で、次善や最低条件の意を表す体言を受けて》許可・許容を表す。…だっていい。…でいい。「すしがだめならウナギでもいい」「条件次第では未経験者でも構わない」
さらに、「~でもいい」と「~でいい」を比べています。
【表現】「…でもいい/…でいい」は意味が近いが、前者のほうが譲歩する気持ちが強い。
ふむふむ。
「譲歩する気持ちが強い」というのは、どういうことか?
じょうほ【譲歩】自分の主張をひっこめて相手の主張を受け入れること。(明鏡)
娘が「スプーンでいい」と言ったとき、「親子丼は箸で食べるのがよい」という自らの主張を引っ込めて、「親子丼はスプーンで食べるのがよい」という相手(この場合、最愛の夫のD?)の主張を受け入れた。
そして、このとき「スプーンでもいいよ」と言っていれば、譲歩の気持ちがもっと強く出たはずだ…。
明鏡の説明を解釈すればそうなります。
(ホントかね?)
いずれにしても、この「~でいい」という表現は、日本語を学ぶ外国人には、難関でしょう。
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