韓国の漢字語には、日本で作られた「和製漢語」が多い、ということはこのブログにもたびたび書いてきました。
とは言っても、完全に同じわけではない。日本では使わない漢字語もあるし、同じ漢字なのに意味が違う場合もあります。
最近、韓国のマスコミを賑わせている言葉に、ピソンシルセというのがあります。
漢字で書くと「秘線実勢」。
「秘線」と「実勢」という二つの漢字語の複合語と思われます。
「秘線」という言葉は、日本の辞書にはない。
一方、「実勢」は、「実際の勢力」で、「実勢価格、実勢レート」などのように使う。
韓国語の辞書を見ると、「秘線」小さい辞書には出ておらず、標準国語大辞典(ネット)には次のような説明がある。
秘線
ひそかにある人物や団体と関係を結んでいること。またはそうした関係。
「実勢」のほうは、小さい辞書には日本語の実勢と同じ意味しか出ていませんが、上記の大辞典にはそのほかに、
実勢
実際の勢力や活力。またはそれを持っている人。
という意味も出ています。
で、報道における「秘線実勢」が何を指すかと言うと、今話題の崔順実(チェ・スンシル)氏のことなんですね。彼女は、朴槿恵大統領の親友として、民間人でありながら国家機密に属する文書を漏洩されていたり、大統領の権威をかさにきて財閥に対し、自ら作った財団への巨額の寄付を強要し、それを私的に流用したり、娘を名門大学に不正入学させたりと、さまざまな疑惑が報じられています。
つまり、秘密のライン(線)で大統領につながり、実権を握っている人物、ということになりましょうか。
韓国の新聞の日本語版では、「秘線実勢」が「影の実力者」などと訳されています。韓国では、帝政ロシアの怪僧ラスプーチンにたとえる向きもありますが、日本でいえば児玉誉士夫みたいなものか。「黒幕」と訳してもいいかもしれません。
この言葉、韓国人に聞いても、今回の事件で初めて聞いた、という人が多い。昔からあった言葉ではないようです。
人間関係を表すときに「ソン(線)」という言葉を使うので、それに「秘」をつけて、「秘密の人間関係」という意味を表す漢字語を作ったのでしょう。「韓製漢語」と思われます。
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