11月29日、元首相の中曽根康弘氏が亡くなりました。ご冥福をお祈りします。
享年101歳。大往生ですね。
中曽根さんは、私が大学生の時に首相になりました。
首相になる前のことだと思いますが、一度、中曽根さんの家に、お中元を届けたことがあります。
私がお中元を贈ったという意味ではなく、「運んだ」という意味ですが。
大学の夏休み、友人から、アルバイトの代行を頼まれました。銀座千疋屋という高級フルーツショップの、お中元配達のアルバイトです。友人がしていたアルバイトなのですが、親戚の弔事か何かの理由で、急遽代わってほしいといわれたのです。
配達の車が貸し出されるわけではなく、車はアルバイトが自家用車を持ち込む。朝、お店に集合し、特に研修もなく、配達すべき品物と、配達先のリストが渡されるだけ。おおらかな時代でした。
もちろん、車には、今のようなカーナビもないですから、道路地図帳を頼りに配達するわけですね。
千疋屋のお中元と言えば、たいていはメロンです。値段が書いてあるわけではありませんが、1個1万円以上する高級メロンだったと思います。1日の配達件数は10件ほど。リストの中に「中曽根康弘」という名前を見つけ、どんな家に住んでいるんだろうと興味津々でした。
中曽根さんへの届け物は、メロン2つと高級洋酒の詰め合わせ。メロンの食べごろの日時が表示されていました。おそらく5万円ぐらいするものではなかったでしょうか。
世田谷区だったか杉並区だったか、お屋敷街の該当する住所の邸宅に、表札はありませんでした。
(ここで間違いないはずだが…)
と思って、門の隙間から、屋敷の内部を窺っていると、不審者と思われたのでしょう、建物の屋上から、ボクサーのような猛犬に、激しく吠えられました。
インターフォンを押しても反応は無し。
留守の場合は、隣家に預かってもらう、隣家も不在の場合は持ち帰る、という決まりでしたので、隣家を訪ねました。
「すみません。お隣、中曽根さんのお宅ですよね?」
お化粧をしている途中だったとおぼしき中年の女性が出てきました。
「ええ、そうですよ」
「お中元なんですけど…」
「ああ、またですか。今、いないでしょう? 別荘に行ってるらしいわよ」
「すみませんが、代わりにあずかっていただけませんか」
「ほんと、いつもいつもで、困るのよね。ま、いいわ、そこに置いといて」
享年101歳。大往生ですね。
中曽根さんは、私が大学生の時に首相になりました。
首相になる前のことだと思いますが、一度、中曽根さんの家に、お中元を届けたことがあります。
私がお中元を贈ったという意味ではなく、「運んだ」という意味ですが。
大学の夏休み、友人から、アルバイトの代行を頼まれました。銀座千疋屋という高級フルーツショップの、お中元配達のアルバイトです。友人がしていたアルバイトなのですが、親戚の弔事か何かの理由で、急遽代わってほしいといわれたのです。
配達の車が貸し出されるわけではなく、車はアルバイトが自家用車を持ち込む。朝、お店に集合し、特に研修もなく、配達すべき品物と、配達先のリストが渡されるだけ。おおらかな時代でした。
もちろん、車には、今のようなカーナビもないですから、道路地図帳を頼りに配達するわけですね。
千疋屋のお中元と言えば、たいていはメロンです。値段が書いてあるわけではありませんが、1個1万円以上する高級メロンだったと思います。1日の配達件数は10件ほど。リストの中に「中曽根康弘」という名前を見つけ、どんな家に住んでいるんだろうと興味津々でした。
中曽根さんへの届け物は、メロン2つと高級洋酒の詰め合わせ。メロンの食べごろの日時が表示されていました。おそらく5万円ぐらいするものではなかったでしょうか。
世田谷区だったか杉並区だったか、お屋敷街の該当する住所の邸宅に、表札はありませんでした。
(ここで間違いないはずだが…)
と思って、門の隙間から、屋敷の内部を窺っていると、不審者と思われたのでしょう、建物の屋上から、ボクサーのような猛犬に、激しく吠えられました。
インターフォンを押しても反応は無し。
留守の場合は、隣家に預かってもらう、隣家も不在の場合は持ち帰る、という決まりでしたので、隣家を訪ねました。
「すみません。お隣、中曽根さんのお宅ですよね?」
お化粧をしている途中だったとおぼしき中年の女性が出てきました。
「ええ、そうですよ」
「お中元なんですけど…」
「ああ、またですか。今、いないでしょう? 別荘に行ってるらしいわよ」
「すみませんが、代わりにあずかっていただけませんか」
「ほんと、いつもいつもで、困るのよね。ま、いいわ、そこに置いといて」
結局、中曽根さんに会うことはできませんでした。
今から40年近く前の思い出です。
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