犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

能楽鑑賞の思い出

2024-04-28 22:05:57 | 思い出
写真:橋弁慶の一場面

 私の祖母が謡曲を教えていた関係で、私も大学生の時、祖母に謡曲の手ほどきをしてもらっていました。

 月一回は、渋谷の観世能楽堂の定期能を観に行っていたことも。

 大学を卒業してからは、自分でやることも、観に行くこともなくなりました。

 私がソウルに駐在していたとき、日本から能楽師、狂言師が来て、能狂言の公演が行われたことがありました。

 子どもたちに能狂言がどんなもの見せてやろうと思って、ちょっと高かったけれども、家族で観に行きました。

 場所は、徳寿宮のうらのほうの、「NANTA」なども行われていたホールだったと思います。

 意外なことに、お客さん(韓国人)はけっこうたくさん来ていました。

 若い人が多いのは、大学で日本語や日本文化を勉強している学生だったのでしょう。

 ただ、前のほうの席は高いのでほとんど空席。みな後ろのほうの廉価な席に座っていました。

 開演直前に、「まもなく公演が始まります」というアナウンスが流れたときのことです。

 後ろのほうに陣取っていた若者たちがいっせいに席を立ちました。

 何事が起こったのかと振り返ると、若者たちは、雪崩を打って前のほうに押し寄せるではありませんか。

 そして次々に空席のS席やA席に座ります。

 係の人が制止しようとしていたようですが、多勢に無勢。とても押しとどめられるものではありません。

 私たち家族は呆気にとられました。

「大人になっても、真似しちゃいけないよ」

 子どもたちに言い聞かせました。

 翌日、出勤したときに事務所の韓国人にその話をしました。

「それが普通ですよ。だって、前の席が空いていたんでしょう?」

「そりゃそうだけど…」

「だれにも迷惑かけないでしょう?」

(ちゃんと高いお金を払ってS席やA席に座っていた人は、不愉快なんじゃないかなあ)

 20年以上前の話ですから、今はどうかわかりません。


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