犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ラグビー最終戦

2019-11-30 23:29:39 | 大阪暮らし
 秩父宮ラグビー場で試合があった日の次の週の日曜日、今度は娘婿のチームの本拠地、茨城県日立市で今季最終戦が行われ、妻と一緒に観に行きました。

 今季で引退を決めている娘婿にとって、今季最終戦はすなわち「引退試合」。

「でも、まだ入れ替え戦が残っているからね。最後の試合ってわけじゃないよ」

 チームメートのトンガ人選手の奥さんとお子さんを途中で拾い、日立市の市民グラウンドに向かいました。

 気温は低かったですが、風はなく、穏やかな日和でした。地元ということもあって、観客はほとんどが娘婿のチームを応援しています。ホームの大きな声援を浴びながら、前半から押し気味で、次々にトライを決めます。

 スタンドオフマンの娘婿は、トライが決まると、そのあとのコンバージョンキックを蹴ります。そのたびに娘はカメラを向けます。コンバージョンキックの成否が試合の勝敗を左右する場合がありますから、重要です。

 けっこう難しいキックを成功させるかと思えば、とてもイージーに思えるキックを外したりして、そのたびに私たち家族は一喜一憂します。

 終わってみれば58-28、ダブルスコアの快勝でした。

 試合後、競技場の外に選手たちが出てきて、応援の観客たちと写真を撮ったりします。

「最後の試合、勝ててよかったです。応援ありがとうございました!」

「でも、もう1試合あるでしょう?」

「9位チームの最終戦の結果しだいだけど、たぶんこれで終わり」

「えっ、そうなの!」


 娘が絶句します。

 今、チームはリーグ8位。下位2チーム(9位、10位)が来シーズンの残留をかけて下のリーグの上位チームと入れ替え戦を行います。9位のチームはあと1試合を残しており、最終戦に負ければその時点で、娘婿のチームの残留が決まります。最終戦の相手は強いらしく、残留が濃厚だというのです。

「もう1試合あるつもりで観てた。これが最後の試合になるなんて…」


 知り合ってから約4年間の選手生活が、娘の脳裏に走馬灯のようによぎったのでしょう。娘は急に涙がこみ上げてきたようです。

「最終戦にふさわしい、いい試合だったね」

「はい、ありがとうございます」


 娘婿のほうは、すがすがしい顔をしています。

 今年、トップイーストの1部リーグチームに昇格したチームには、久しぶりにまとまった人数の補強があり、娘婿ほかベテラン選手の何人かは、新人に押し出されるように、引退の選択をしました。

 仲良しのトンガ人は、もともとラグビーのみの1年契約。ここに来る前はトップリーグのチームにいたんだとか。昼間は業務をする必要がなく、ラグビーだけで給料をもらう契約だそうで、来期は別の契約先を探さなくてなならないそうです。

 来年は、それぞれの生活が始まります。

 これまで、生活の半分以上がラグビーであったのに、急にそれがなくなるのですから、新生活に慣れるまで、少し時間がかかるかもしれません。
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