私の性の初体験は、18歳の時でした。
アメリカ人に比べると遅いかもしれませんが、日本人としては標準的でしょう。もっとも、日本人は、一生経験しない人もけっこういるのですが。
1979年、大学に入学した私は、教養課程の第二外国語として、フランス語を選択しました。
最初の授業で、フランス語には男性名詞と女性名詞があることを習いました。
これが、私の「文法的な性」との出会いでした。
多くの日本人同様、私は中学1年生のときの英語を学び始めましたが、英語には、文法的な性がなかったのです。
もちろん、英語にも、男性だけを表す名詞、女性だけを表す名詞があります。
man/woman、son/daughterのように。
あるいは、語の一部を変えて、男女を言い分ける単語もあります。
prince王子/princess王女のように。
でも、こういうのは男性名詞/女性名詞ではないんですね。
フランス語の王子、王女は
prince(プランス)/princesse(プランセス)
英語とそっくりです。そして、これらは男性名詞/女性名詞です。
何が違うのか。
冠詞をつけるとその違いがわかります。
英語は、不定冠詞なら、a prince/a princess、定冠詞なら、the prince/the princess。
どちらも同じ冠詞がつきます。ところがフランス語では、次のようになります。
不定冠詞
un prince(アン・プランス)/une princesse(ユヌ・プランセス)
定冠詞
le prince(ル・プランス)/la princesse(ラ・プランセス)
男性名詞か女性名詞かによって、それにつく冠詞の形が変わるのです。
形容詞が名詞を修飾する場合、形容詞も形が変わります。
le petit prince(ル・プチ・プランス、小さな王子)
la petite princesse(ラ・プチット・プランセス、小さな王女)
英語は、名詞の性に応じてそれを修飾する形容詞の形が変わることはありません。
このように、名詞の性によって、その名詞と文法的に関連する語(冠詞や形容詞)の形が変わる言語が、「文法的な性をもつ言語」ということになります。
そして、フランス語の場合、「男性名詞や女性名詞がある」というより、「すべての名詞が男性名詞か女性名詞のどちらかである」と言ったほうがいいかもしれません。
人間や動物のように、自然の性別をもつ名詞だけでなく、机とか、椅子とか、太陽とか、月とか、性別とは無縁のすべての名詞が男性名詞、女性名詞のどちらかなのです。
フランス人は、生まれたときから「文法的な性」のただなかで育ちます。
アメリカ人は、多くの場合、中学校や高校で、フランス語(やドイツ語、スペイン語)など、文法的な性をもつ言語を外国語として学ぶので、初めての性体験は、10代前半です。
日本では、高校までは英語以外の外国語を学べる学校が少ないので、初体験は普通、大学入学時になります。大学に第二外国語がなかったり、中国語や韓国語のように文法的な性をもたない外国語を選択した場合、初体験が遅れたり、もしくは童貞(処女)のまま一生を過ごすことになるでしょう。
私は、大学2年生の時、第三外国語として、ロシア語の授業をとりました。
驚いたことに、ロシア語には、男性名詞、女性名詞以外に、中性名詞というものがありました。ロシア語に冠詞はないのですが、形容詞は、3つの性に応じて、3通りに形を変えます。あとで知りましたが、ドイツ語やスペイン語にも、3つの性があります。
ロシア語の特異なところは、形容詞だけでなく、「動詞の過去形」が、性に応じて変化する点です。
たとえば「落ちる」はロシア語でупасть(ウパースチ)ですが、
みかん(男性名詞)が落ちたときは、упал
梨(女性名詞)が落ちたときは、упала
りんごが(中性名詞)が落ちたときは、упало
となります。
また、私が(たとえば木から)落ちたとき、私が男であればупал、女であればупалаを使います。
これはフランス語やドイツ語にはない特徴です。
ところで、フランス語には男性名詞と女性名詞しかないのに、ロシア語には中性名詞まであるから大変か、というと、必ずしもそうではありません。
フランス語の場合、ある名詞が男性か女性かは、特別な手がかりがないので、丸暗記しなければなりません。
一方、ロシア語の場合、語末が子音で終わっていれば男性、「ア」や「ヤ」で終わっていれば女性、「オ」や「エ」で終わっていれば中性というふうに、スペルから識別ができる(例外はあります)ので、この点ではフランス語より楽といえそうです。
アメリカ人に比べると遅いかもしれませんが、日本人としては標準的でしょう。もっとも、日本人は、一生経験しない人もけっこういるのですが。
1979年、大学に入学した私は、教養課程の第二外国語として、フランス語を選択しました。
最初の授業で、フランス語には男性名詞と女性名詞があることを習いました。
これが、私の「文法的な性」との出会いでした。
多くの日本人同様、私は中学1年生のときの英語を学び始めましたが、英語には、文法的な性がなかったのです。
もちろん、英語にも、男性だけを表す名詞、女性だけを表す名詞があります。
man/woman、son/daughterのように。
あるいは、語の一部を変えて、男女を言い分ける単語もあります。
prince王子/princess王女のように。
でも、こういうのは男性名詞/女性名詞ではないんですね。
フランス語の王子、王女は
prince(プランス)/princesse(プランセス)
英語とそっくりです。そして、これらは男性名詞/女性名詞です。
何が違うのか。
冠詞をつけるとその違いがわかります。
英語は、不定冠詞なら、a prince/a princess、定冠詞なら、the prince/the princess。
どちらも同じ冠詞がつきます。ところがフランス語では、次のようになります。
不定冠詞
un prince(アン・プランス)/une princesse(ユヌ・プランセス)
定冠詞
le prince(ル・プランス)/la princesse(ラ・プランセス)
男性名詞か女性名詞かによって、それにつく冠詞の形が変わるのです。
形容詞が名詞を修飾する場合、形容詞も形が変わります。
le petit prince(ル・プチ・プランス、小さな王子)
la petite princesse(ラ・プチット・プランセス、小さな王女)
英語は、名詞の性に応じてそれを修飾する形容詞の形が変わることはありません。
このように、名詞の性によって、その名詞と文法的に関連する語(冠詞や形容詞)の形が変わる言語が、「文法的な性をもつ言語」ということになります。
そして、フランス語の場合、「男性名詞や女性名詞がある」というより、「すべての名詞が男性名詞か女性名詞のどちらかである」と言ったほうがいいかもしれません。
人間や動物のように、自然の性別をもつ名詞だけでなく、机とか、椅子とか、太陽とか、月とか、性別とは無縁のすべての名詞が男性名詞、女性名詞のどちらかなのです。
フランス人は、生まれたときから「文法的な性」のただなかで育ちます。
アメリカ人は、多くの場合、中学校や高校で、フランス語(やドイツ語、スペイン語)など、文法的な性をもつ言語を外国語として学ぶので、初めての性体験は、10代前半です。
日本では、高校までは英語以外の外国語を学べる学校が少ないので、初体験は普通、大学入学時になります。大学に第二外国語がなかったり、中国語や韓国語のように文法的な性をもたない外国語を選択した場合、初体験が遅れたり、もしくは童貞(処女)のまま一生を過ごすことになるでしょう。
私は、大学2年生の時、第三外国語として、ロシア語の授業をとりました。
驚いたことに、ロシア語には、男性名詞、女性名詞以外に、中性名詞というものがありました。ロシア語に冠詞はないのですが、形容詞は、3つの性に応じて、3通りに形を変えます。あとで知りましたが、ドイツ語やスペイン語にも、3つの性があります。
ロシア語の特異なところは、形容詞だけでなく、「動詞の過去形」が、性に応じて変化する点です。
たとえば「落ちる」はロシア語でупасть(ウパースチ)ですが、
みかん(男性名詞)が落ちたときは、упал
梨(女性名詞)が落ちたときは、упала
りんごが(中性名詞)が落ちたときは、упало
となります。
また、私が(たとえば木から)落ちたとき、私が男であればупал、女であればупалаを使います。
これはフランス語やドイツ語にはない特徴です。
ところで、フランス語には男性名詞と女性名詞しかないのに、ロシア語には中性名詞まであるから大変か、というと、必ずしもそうではありません。
フランス語の場合、ある名詞が男性か女性かは、特別な手がかりがないので、丸暗記しなければなりません。
一方、ロシア語の場合、語末が子音で終わっていれば男性、「ア」や「ヤ」で終わっていれば女性、「オ」や「エ」で終わっていれば中性というふうに、スペルから識別ができる(例外はあります)ので、この点ではフランス語より楽といえそうです。
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